【感想】新編チョウはなぜ飛ぶか [フォトブック版]

日高敏隆, 海野和男 / 朝日出版社
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
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  • 「ものを探している」が答え

    世界の動物行動学の第一人者、日高敏隆。

    残念ながら2009年に他界してしまいましたが、
    没後も著作が出版されつづけるほど、年齢性別を問わず広く愛された学者でした。

    75年に出版された「チョウはなぜ飛ぶのか」に、
    日高の教え子である昆虫写真家・海野和男の美しくも神秘的な写真を追加。
    読むだけでなく、見てわかるという構成。

    『チョウは「なぜ飛ぶか」といったら、「ものを探している」が答えだ。
    探すものは三つあって、食べものであるミツをもつ花と、卵を産む場所と、それからメス』

    チョウは、ふらふらとどこへ行くのかわからないような不安な飛び方をします。

    ところが実際は、そこにチョウ道と呼ばれるすすむ道があるのだそう。

    地形や光、温度、木の葉の種類などを1mしか見えない視力で見分け、
    上に下によろよろと羽をはためかせているのだそうです。
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    投稿日:2016.03.31

ブクログレビュー

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  • みかりんこ

    みかりんこ

    蝶に興味があり、蝶の生態などについて知りたくて図書館で借りてきました。

    少年時代のなぜ?の答えをずっと追い求めた日高さん。楽しそうに研究されていたのが優しく分かりやすい文章から伝わってきました。

    知りたかった蝶の生態だけでなく、生き物をよく観察して、気づいたことや見えてきたこと、疑問に思ったことや閃いたこと、そういうことを大切にしていきたいなぁと、子どもの頃のような純粋な好奇心を思い出させてくれました。

    海野さんの蝶の写真も素晴らしく、ただの虫だと思っていた蝶が、今では愛おしく感じます。
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    投稿日:2024.03.29

  • kiginoto

    kiginoto

    このレビューはネタバレを含みます

    昆虫の写真絵本でよくお目にかかる海野和男さんの美しい蝶の写真と共に、日髙さんが優しい言葉で蝶の不思議について教えてくれる。
    海野さんは、日髙さんの教え子だったってことにも驚く。
    日髙さんが高学年の頃、東京では見かけることがないモンキアゲハを見かけたという話にも、海野さんの撮られたモンキアゲハが添えられていて、どんなチョウなんだろうという好奇心も満たしてくれた。

    驚いたのは、日髙さんが小学校の時にチョウは決まった道を飛んでいるということを発見し、その“チョウ道“についての探究心を戦時戦後変わらず持ち続け、20年以上たった後にチョウ道のしくみにたどり着いたというその好奇心と根気である。
    粘り強く観察し、記録し、しくみを予測して、証明する。
    読みながら、次にチョウを見た時にぜひ予測したいなぁと、こちらもワクワクする思いだった。
    チョウ道を予言できたというのは、面白い。

    タイトルにもなっている「なぜ飛ぶか」にしても、様々な実験を繰り返していて、答えにたどり着いていた。そういうことを調べていくうちに、昆虫の思考や昆虫の見えてる景色にも考えが及び、次々に調べたいことが生まれていく。こんなふうにして世界がさらに広がっていき、新しいものが見えていくことに自分も刺激されながら読んでいった。

    “モンシロチョウは紫外線が見えるけれど、赤色は見えない。
    アゲハチョウは紫外線も赤色も見えるし、オスとメスは翅の匂い違いで区別する。“
    観察を経て、仮説を立てて、調べていく。そして、推理が正しいかどうか実験していく。
    そして、たどり着く答え。

    「彼らは、世の中をぼくらとまったくちがったふうに見えている」という日髙さんの言葉が心に残った。
    その考え方は、私にとって、いつも興味をもつ視点。どんな時もその視点を持ち続けたいと思う。

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    投稿日:2020.06.29

  • koishi-2018

    koishi-2018

    2011/8/25 新刊棚で見つけて借り、読み始める。

    動物学の権威が書かれた本なので、むずかしい内容かと恐るおそるページを開いたら、
    なんとまぁ 蝶の写真が、すばらしいこと。
    そして文章は読みやすく、思わず引き込まれてしまいます。
    子供のきらきらとした探究心、その心を失わずに研究をつづける過程が、わかりやすく書いてあって、楽しく読めます。
    これから、蝶の観察やってみたいと思う人も多いのでは!
    さっそく、カメラをもって GO!!

    内容 :
    どうしてチョウはいつも同じ道を飛ぶのだろう? 
    チョウの飛ぶ道、花にとまるとき、メスの見つけかたなど、チョウへの素朴な疑問にこたえる。
    大人も子どもも楽しく読めるサイエンスブック。

    著者 : 日高 敏隆
    1930〜2009年。東京生まれ。東京大学理学部動物学科卒業。京都大学名誉教授。
    日本動物行動学会設立、初代会長。毎日出版文化賞など受賞。
    著書に「ぼくの生物学講義」等。

    写真 : 海野和男
    1947年東京生まれ。昆虫を中心とする自然写真家。
    日本自然科学写真協会会長、日本昆虫協会理事。海野和男写真事務所主宰。
    著書に「すごい虫の見つけ方」「世界の珍虫101」など。
    続きを読む

    投稿日:2019.01.12

  • mikiyabuchi

    mikiyabuchi

    日本の蝶の生態について、平易な言葉で書かれたとてもわかりやすい本です。
    蝶に興味を持った際の入門書として優れており、当時の日本の背景も織り交ぜながら楽しく読めます。
    美麗な写真とテキストが同じくらいの割合で盛り込まれているので、気軽に楽しめることも魅力です。続きを読む

    投稿日:2015.11.24

  • sasanqua

    sasanqua

    子供の頃の好奇心と疑問を大人になってから足と頭で解決…なんて理想的な研究なんだろうって思う。うらやましいというのはおこがましいけれど、うらやましい。
    写真も美しく、装丁もしゃれていて、写真集としてもとても素敵。続きを読む

    投稿日:2013.04.06

  • tantan

    tantan

    動物行動学者、京大名誉教授、日高敏隆先生の本。小学生の頃から、なぜチョウは決まった道を飛ぶのか、といったチョウに対する疑問を持ち続け追求していく様子が描かれています。文章も平易でわかりやすく、昆虫に対する興味を喚起します。続きを読む

    投稿日:2012.08.08

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