【感想】聖書を語る

佐藤優, 中村うさぎ / 文春文庫
(24件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
9
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2
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  • 侃々諤々のキリスト教概論

    中村うさぎと佐藤優が、聖書について語り明かすという異色の対談集。
    共にキリスト教を学び、同志社大学出身という共通項があるものの、ふたりはお互いの意見、思想をぶつけあっていきます。

    例えば、カルヴァン派に所属する佐藤は、バプテスト派の先例を受けた中村うさぎの「人間は努力をすれば報われる」という考えに賛同しません。救われる人間というのはすでに決まっており、人間の行動によって成功するか否かは決まっている。むしろ、努力するのは当たり前のこと、というのが彼らの主張なのです。

    とはいえ、常にバチバチとした意見の応酬をするわけではありません。
    キリスト教の持つ矛盾点を面白おかしく語り合ったり、『エヴァンゲリオン』と聖書の関係など、幅広く聖書を読み倒していくふたり。彼らの手にかかれば、聖書も立派なエンターテイメント読み物へと早変わり。
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    投稿日:2015.01.15

  • キリスト教の多様性を垣間見せてくれる対談

    本書はキリスト教の概説書ではないし、二人の聖書観は独特である。
    標準的なキリスト教徒はこんなものだ、と思わない方が良いが(笑)、
    「キリスト教」に対して堅苦しいイメージや狂信的なイメージを持っている人には、そのイメージを払拭し、
    その多様性と可能性を見せてくれる良書。
    本書では様々なサブカルチャーをはじめとする作品が紹介されているので、そういったものに興味がある人にも面白いと思う。
    個人的には中村さんの語る「エヴァンゲリオン」、佐藤さんの語る村上春樹が面白かった。
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    投稿日:2014.07.16

ブクログレビュー

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  • コウトク

    コウトク

    佐藤優の一連の自叙伝のファンだが、この本もおもしろかった。中村うさぎ、名前だけは知っていたが、教養の高い人なんだなあ。あの知の巨人、佐藤優と対等に対談しているのだから。対談の時期から、東日本大震災についての考えを語っているし、見方は参考になる。しかし、何よりおもしろかったのは、村上春樹とサリンジャーについての考え方。深く洞察するとそうなるのか、と改めて興味を持った。1Q84は読んでないのでぜひ読んでみようと思った。フラニーとズーイは、10年ほど前に途中まで読んだが完読できなかったんだよな。再読しよう。続きを読む

    投稿日:2021.08.29

  • nonbe777

    nonbe777

    「聖書を語る」読んでる。今エヴァと村上春樹のトコ。もしやして一番面白い部分じゃなかろうか。中村うさぎ、言っちゃれ言っちゃれ。ニヒニヒしながらチューハイを友に読む。

    キリスト教に入りたい気はするんですよ。救われたいとかでなく考え方嫌いじゃない。葬式が仏式より簡単だというのも利点。でも「頬を殴られたら反対の頬を」は賛同できない。私は殴り返すか、それをしないまでも睨み付けると思う。宗教はむつかしいです。

    ”宗教とは全体主義である。”それに不満はないが、全体の中身を探ればやはり個である、などとも思う。個別でなれ合う。それでいいじゃん。ねぇ。

    聖書を語る」読了。中盤までは面白かったが、後半震災の話になるのでイマイチ。対談集なのでするすると読める。
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    投稿日:2020.06.08

  • pya

    pya

    もうすごくすごく面白かった。
    中村うさぎってとても頭の切れる人だって初めて知った。
    フラニーとゾーイーやエヴァンゲリオンの考察、うんうんと頷きたくなる!
    佐藤氏は中村うさぎの言う通り、乾いていて本当に客観的な物事の見方をすると思うんだけど、そんな人がカルヴァン派の予定説を心底信じているってのは、なんというかちぐはぐな不思議な印象を受けた。続きを読む

    投稿日:2018.06.21

  • そっぽ

    そっぽ

    佐藤優と中村うさぎの対談集。キリスト教のプロテスタントであるが、カルヴァン派とバプテスト派であり、互いの考え方の違いを分析した上で、聖書について、エヴァンゲリオンについて、村上春樹について、震災について話し合う。うさぎさんが終末遅延問題を「出るはずのものが出ない、便秘」例えるのが笑えて、とても分かりやすかった。あとアダムとイブが食べた「智恵の実」は自己と他者の存在の認識なのではとか興味深い。後書きのうさぎさんのブログの引用文で泣けた^^; 続編もあるそうなので、読みたいな。続きを読む

    投稿日:2017.03.20

  • snow222

    snow222

    [図書館]
    読了:2017/2/12

    どちらも頭の回転の早い人だから読んでて小気味良い。

    村上春樹の小説は「こんな女いねーよ」の8文字で終わると思ってるので中村うさぎの批判には同感。佐藤さんはポルノとしての消費、ディテールが評価されてる点、プロットを作ってないだろうという点に触れている。こちらも納得。

    p. 51 中村 つじつまが合わなくなると知らんぷり、か。
    佐藤 都合が悪いことについては黙る、というのが優れた神学者に求められる資質です。
    中村 政治家みたいだね。
    処女マリアは誤訳、問題について。ヘブライ語では単に「年頃の女」だったのに、ギリシア語では「処女」に訳してしまった。
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    投稿日:2017.02.12

  • immrm

    immrm

    佐藤優と中村うさぎの対談集。

    聖書そのものを語っているのは最初だけで、宗教や哲学を中心に話はあちこちに展開する。村上春樹をけなし、エヴァンゲリオンを考察する。最後は3.11の震災の問題から、人はどうつながるか、と展開。

    中村うさぎという人は初めて知ったが、両者とも知識量とその言語化能力がすごい。


    以下は読書メモ:
    プロテスタント
    カルヴァン派 自分は神に選ばれている
    バプテスト派 人間は努力すれば報われる(清教徒)

    終末遅延問題 すでに2000年遅れている。
    クロノス 座標軸を流れる時間
    カイロス 点 事件史
    終末はカイロスの感覚では歴史、決まっている未来、だから終末は来ないのではなく遅れていると考える。

    震災の既視感、エヴンゲリオンでの原体験
    全体主義と揺り戻し

    ライプニッツの単子論で言うモナドでつながる
    全体主義はオーケストラ、各パートは自由

    宗教=洗脳という刷り込み
    最大の洗脳は貨幣

    全体主義に対立する概念は普遍主義。ナチスは普遍主義。全体主義は多元的。

    メメントモリ 死を想え。
    続きを読む

    投稿日:2016.10.21

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