【感想】ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム

谷口忠大 / 文春新書
(90件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
18
27
23
3
1
  • 公式ホームページでは読めないビブリオバトルの世界

    ちまたで流行りのビブリオバトルについて知りたい人。発案者が書いた本書を読むのが一番だろう。
    が、実は公式ホームページもかなり充実しているので、本書を読まなくても特に問題はない(笑)

    ・・・と身も蓋もないことを書いてしまったが、それでもやはり、本書は一読に値する。
    つまり、「ルールを知る」以上の、読み物としての面白さがあるのだ。

    本書の最初の方と最後の方は小説仕立てで、実際にビブリオバトルをやってみたら・・・?
    という設定で描かれている。この部分とコラムの部分は何が面白いって、
    実際に本が紹介されていること(笑)。
    相手に「読みたい!」と思わせる。
    これが勝負のゲームなのだから、本の紹介パートは面白い。
    読んでみたくなる。そして、こういうレビューを書くときの参考にもなる。

    真ん中の部分はちょっと真面目なお話。
    コミュニケーションって何だろう、というような、
    ホームページには書き切れないような踏み込んだことが語られている。

    ビブリオバトルを発案した著者、文系だと思われがちらしいが、
    実は理系で、修士課程・博士課程ともに、「人間とコミュニケーションするロボット」
    について研究していたという。
    ソニーのAIBOを素晴らしい存在だった、と思う一方で、
    「何を実現したら、人間とロボットがコミュニケーションできたと言っていいのだろうか」
    という根本的な疑問を持つようになる。

    人と人、人と本の新たなつながり方を提示した著者。
    ビブリオバトルのルールは小学生でもすぐに理解できる、シンプルなもの。
    しかし、その必要充分なシンプルさに行きつくまでに、
    ロボットとの葛藤、人との葛藤が数多くあった。
    それが、ホームページでは読めない、本書の面白さ。
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    投稿日:2014.10.31

  • 単なる書評ゲームではない

    巷で噂のビブリオバトル、気になっていたので発案者の本を読んでみた。
    ルールはいたって単純。

    1)発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
    2)順番に一人5分間で本を紹介する。
    3)それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う。
    4)全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員で行い,最多票を集めたものを『チャンプ本』とする。

    のみと参入障壁は低い。読む前は、自分の気に入った本を紹介して一位を争う競技だろうと単純に考えていたがいろいろな効果が期待できそうでやってみたくなった。

    1)参加者で本の内容を共有できる(書籍情報共有機能)
    2)スピーチの訓練になる(スピーチ能力向上機能)
    3)いい本が見つかる(良書探索機能)
    4)お互いの理解が深まる(コミュニティ開発機能)

    設計思想は「知識は人に紐付いている」であり、その人が人を介してもしくは理解して知識を得たり、得られたりする「コミュニケーションの場づくり」を行うのがビブリオバトル。あなたもやってみてわ。
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    投稿日:2014.08.20

  • 読書好きから話し上手に

    「趣味は読書です」「最近何が面白かった?」「ええと・・・」
    本ばかり読んでいるので、知識は増えていくけれども、自分の中で完結してしまってコミュニケーションが下手という読書家さんは多いと思います。
    何とかしたいとは思っていても、いわゆるビジネス書の類は二の足を踏んでしまって、「まあ、いいか」と諦めてしまっている、そんな人におススメの本かもしれません。

    「書評ゲーム」というタイトルから、面白い本を知るきっかけになればと思い、手に取った一冊。早速読んでみたいと思う本もありましたが、それ以上に「本を通じて人を知る」というコミュニケーションの広がりを期待させてくれる一冊になりました。
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    投稿日:2014.08.31

ブクログレビュー

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  • smyle(スまイル)

    smyle(スまイル)

    ビブリオバトル、面白いですよ!
    やり方を知りたい人は、
    本を読むよりHPを覗いた方がいいですね。
    本書は、ビブリオバトルの歴史が綴られ、
    それを味わうための本。

    投稿日:2023.10.07

  • yonogrit

    yonogrit

    838

    学校で読書感想文じゃなくてビブリオバトルやった方が100倍良いと思う。読書好きな人で読書感想文好きな人見た事ないし、読書感想文こそが読書嫌いにさせる要因だと思う。

    【公式ルール】
    1.発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
    2.順番に一人5分間で本を紹介する。
    3.それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2〜3分行う。
    4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加 者全員一票で行い、最多票を集めたもの『チャンプ本』とする。

    本との出会いは「縁」だ。その本が自分にとって面白いかどうかは実際に本人が中身を読ん でみないとわからない。とはいっても、本屋さんに並んでいる本を、左上から順に棚ごとに大 人買いして、片っ端から読んでいくということはできない。自分のポケットに入った財布の中 身を考えても難しいが、それよりも時間だ。実際問題として、冷静に計算してみよう。お金は なんとかなるかもしれない。もし僕が何かで財をなして大富豪になったら、全ての本を購入す るだけなら可能であるかもしれない。しかし、時間は誰にとっても平等であり、有限だ。 一冊を一時間で読める速読術を学んだとしても、一日に読めるのは、せいぜい八冊程度だろ う。これを八十年間続けたとしても、一生に読めるのは約二十三万三千冊。

    人に本を薦める、薦められた本を読むというのは、一つのコミュニケーションとして重要で あるし、そういうことを通じて、お互いを知り合う機会にもなる。「この人も読んでいるなら、 面白いに違いない」という、人に依存した選択は意外に正しい場合も多い。また、間違ってい たとしても、人から薦められた本だからこそ、読んだ後のコミュニケーションが弾むこともあ る。

    「読書はどちらかというと一人で読んで一人で納得するものだったけど、ビブリオバトルなら 読書をみんなで分かち合える。公共図書館だからこそ、『みんなで分かち合える』という面が 大事なのかなと思います」

    ビブリオバトルの後は、上下関係や部署などの枠を超えて、今までにないコミュニケーションが起こるそうだ。秦社長はまた「設立五十年目から百年へという会社の歴史の中で、ビブリオバトルによって、会社の未来のクオリティが変わったと思っている」と、話された。僕自身にとっても、これほど嬉しい言葉はない。ビブリオバトルを様々な会社内のインフォーマルコ ミュニケーションの活性化に役立ててもらえれば本望である。
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    投稿日:2023.07.16

  • ますたぁ

    ますたぁ

    ビブリオバトルのルール、成り立ち、目的、効果効用、世間への浸透具合が説明された本

    最近、初めてビブリオバトルに参加してみてイメージしてたより楽しかったので読んでみた
    読書会にはよく参加するけど、ビブリオバトルはやったことがなかった
    「チャンプ本」を決める、という行為が本に優劣をつけているように思っていた
    本はあくまであるだけで、それを読んでどう感じるかは人それぞれであって、どんな本でも特定の人にとっては唯一無二の本
    なのに、限られた集団の中で発表の内容も含めてチャンプ本を決めるのは乱暴な気がしてた

    でも、実際に参加してみると、チャンプ本に選ばれるのはその本を面白いと感じて他の人にも伝えたいという想いが伝わってくる発表をされた本
    なるほど、確かに本を知ると共に人を知る事ができるなぁと思った


    ビブリオバトルの発祥は工学部の情報系研究室の輪読会の選書からとのこと
    著者が所属していた研究室の輪読会
    発表者以外は読んでこなかったり、自分の担当意外の部分は理解は浅かったり、そもそもどの本を選ぶかという最初の問題がある
    そこで、次に読む本を皆で持ち寄ってプレゼンし合い、一番得票数の多かった本を次回まで読んでくることにしたのが始まり
    その後、本について話したい人は研究室内で話すし、読みたい人は勝手に読むという事で、チャンプ本を決めるだけの形式に落ち着いたらしい


    ☆ビブリオバトルのルール
    1.発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる
    2.順番に一人5分間で本を紹介する
    3.それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う
    4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ本』とする

    基本ルールはこれだけ
    他には、テーマを設けても良いとか、質疑応答は4チャンプ本を決めるための参考となるような質問にするとか、審査員等を設けずに参加者の投票で決めるとか
    あと、紳士協定として発表者は自分以外の本に投票するとかくらい

    その他の決まりは特になく、順番の決め方やタイトルの発表方法などは適宜決めて良い
    レジュメや原稿の使用を禁止していないのは、チャンプ本に選ばれるためにはそういった物を使わない発表が必要になるため、必然的になくなるとのこと


    ビブリオバトルの意義としてはいくつかあって
    その一つは「本とどうやって出会うか?」という事
    リアル書店で買うか、ネットで買うかといった議論よりも前に、その本を買おうと思ったのは何がきっかけか?
    ネットでのレコメンドなどいくつかあるものの、自分の好みと類似したものがオススメされるので意外性がない
    他の人に薦められるという経験はなかなかない
    そこで、ビブリオバトルでの本の出会い

    あと、ビブリオバトルは
    「人を通して本を知る。本を通して人を知る」
    という行為

    そもそもチャンプ本を決める意義としては
    ささやかな心理的インセンティブとしてのチャンプ本という動機づけ
    発表者はチャンプ本に選ばれるように、発表するコミュニティに沿った選書になる
    そこで聴衆への理解というコミュニケーションが発生する

    聴講参加の人は、チャンプ本を決める一端を担うという責任感で発表を真剣に聞くようになる

    だからこそ、単なる本のプレゼンだけで終わらずにチャンプ本を決めるルールが必要

    チャンプ本に選ばれるため、チャンプ本を選ぶため、参加者は本をううじてお互いを理解しあう


    ビブリオバトルの効果効用としては
    まずは、本と出会える
    本の内容を共有できる
    お互いの理解が深まる
    スピーチの訓練になる



    著者としては、ビブリオバトルをもっと気軽に楽しめるようなもとして普及させたいとのこと
    固有名詞ではなく一般名詞になるくらいになってほしいらしい

    今はビブリオバトルがイベントとして行われていたりするが
    フットサルやドッヂボールのように、気軽に人が集まって行われるようなもの

    例えば、家族内でもいいし、最少人数3人でも開催できる




    私は冒頭でも書いた通り、読書会にはよく参加するけどビブリオバトルの経験はまだ少ない
    でも、小説や「BISビブリオバトル」、藤野恵美「ふたりの文化祭」でのビブリオバトルのシーンなど、何かと影響を受けて本を読んでいるわけで
    普通の読書会だけじゃなくて、もっとビブリオバトルにも参加してもいいかもしれないと思った
    続きを読む

    投稿日:2023.02.15

  • ミイ

    ミイ

    ビブリオバトルというものがあるというのは聞いたことがあったけど、起源が明確なものとは思わなかった。京都大学の輪読会が発祥というのはなんか納得できた。
    書籍情報共有、スピーチ能力向上、良書探索、コミュニティ開発、いろんな効果があるんですね。続きを読む

    投稿日:2022.12.05

  • まりぽん

    まりぽん

    ビブリオバトルという書評ゲームの奥深さを知れた本です。
    これまでビブリオバトルのルールなどは、他の物語形式の本を読んでわかっていたけれど、ビブリオバトルができた経緯、存在意義などについて知ったのは初めてで、感動しました。
    私もこんな風に何かを作りたいなと思います!
    続きを読む

    投稿日:2021.10.10

  • 1080magic

    1080magic

    書評紹介なら、勝ち負けはいらないと抵抗感があったが、観客を意識して本を選び、プレゼンの仕方を工夫するというところで、闘争心をあおるきっかけとしての勝ち負け。そのうちに技術論、ビブリオバトルの勝ち方なんて言う事にならないだろうか。続きを読む

    投稿日:2020.01.27

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