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大江健三郎 / 新潮文庫 (72件のレビュー)
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sota
ー 土間の焚火は殆ど消えかかろうとし、谷を囲む森の獣の吠え声、鳥の不意の羽ばたき、そして樹皮の寒さにひびわれる音が響いた。僕は眠るために苦しい努力をしながら、腹立たしく絶望的に重苦しい死のイメージに圧…倒されていたので、安らかに天使的な弟の寝息が聞えはじめると嫉妬のあまりに弟への優しい感情をすっかり無くしてしまうほどだった。村の内側では見棄てられた者らと埋葬されない死者があるいは眠り、あるいは不眠に苦しみ、村の外側では、悪意にみちた数しれない者らが、これは一様にぐっすり眠っていた。 ー 何となく大江健三郎が読みたい今日この頃。 初期の作品は面白いよね。味わい深い。 反抗的精神というか、客観的にはちっぽけな自由意志の問題とか、服従すべきか自分の価値観を守るべきか、そんな意固地な少年の葛藤が今となっては新鮮。続きを読む
投稿日:2023.09.09
マサ
大江健三郎さんの本は亡くなってから読み、これがまだ4冊目だが、こんな面白いとは思わなかった。難しくて自分には合ってないと思ってたのかもしれない。恥ずかしい。 この作品も、人間の嫌なところ、人間の習性を…、独特の文体でこれでもかと、読み手の心に刻み付ける。 大江さんはそんなに人物に感情移入させないので、少年たちが虐げられるシーンも第三者の目で読める。続きを読む
投稿日:2023.07.08
nuhuaueo0
過去課題本。ストーリーは全くのフィクションだが、日本社会に今も厳然として存在する排他的な村社会の縮図がリアルに描かれていて、これが著者が20代の時に書かれた作品なのに驚く。タイトルの意味は最後まで普通…に読めばわかる。続きを読む
投稿日:2023.06.07
ウォーリー
疫病などに接した際の人間の暴力性が見事に描かれている。最近のコロナの中の同調圧力でも分ったように人間は閉塞された環境ではこういうことをする生き物なんだなぁと、そういう本質を突きつけられた。
投稿日:2023.05.26
ひーら
このレビューはネタバレを含みます
舞台は戦時中。「やっかいもの」として扱われる感化院の少年たちは、疎開先の村でも虐げられる。疫病を恐れた村人たちが逃げ出した後の村で、取り残された弱者たちと貧しくも希望のある山村の共同生活を作り上げるが、戻ってきた村人たちにそれは破壊されてしまう。物語は極限状態での人の関わりや集団の関係性の難しさ・醜さを描いているが、今の時代でも変わらないかな。「芽むしり仔撃ち」の意味は最後にわかる。
投稿日:2023.05.22
ひたき
小説における舞台としては現実から遠い感じはするが、世間から一方的な印象で除外されてしまう少年たちの姿はいつの時代にも通じる。 置かれた状況から否応なしに犯してしまう行動は残酷なのだが、登場する少年た…ちには仲間意識、心底にある強さや優しさがある。 そしてところどころにみられる詩的な表現に動揺しながら、樹木や土、腐蝕した(何者かの)匂いまでもが漂う錯覚があり、疫病を恐れて無人になった山里の陰鬱な情景の中に引き込まれていく。 リアルな表現なだけに不快な気分になりながらも、差別問題や疫病に対する意識などの重大なテーマがあり、必要な読書ではあった。 大江健三郎さんが「監禁状態」をテーマにして描いた小説であると割り切って考えれば客観的に読み進めることはできた。 だが『変身』や『砂の女』のように閉じ込められた状況から生じる中での人間的な面白さは感じられなく、絶望的な読後感が残るのは、主人公が子どもであるということや、追い込まれた状況から仕方なくであれ、動物を殺してしまうシーンに耐えられない自分がいるからだろう。 大江健三郎さんの小説では『死者の奢り』『飼育』を読んだことはあるが、この機会に何か読もうと思って出会った本小説が私に与えた影響は、詩的な文章表現であり、その感動を大切にしたいと思う。続きを読む
投稿日:2023.05.07
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