われらの時代

大江健三郎 / 新潮文庫
(31件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
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ブクログレビュー

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  • 酒井高太郎sakaikotaro

    酒井高太郎sakaikotaro

    (01)
    東京のひと夏の物語である。一組の男女がいて、三人一組のバンドマンたちがいる。その二組を兄弟の血縁が繋いではいるものの、物語はほとんどそれぞれの組を交互に描きながらパラレルに進んでいく。兄弟は近くこともあり、特に終盤では兄の人生の選択に、弟たちの失敗が絡まっていく展開をみせる。
    テロリズムが示され、性が示され、国家と天皇とが性的な言葉と並列して語られていく。プール、トイレ、ベッドが舞台になり、それらの近代的な施設や設備は、どこか人間と馴染んでいない。アメリカ人やフランス人、アラブ人(*02)がここでも現れているが、日本人とどこかで噛み合っていない。近代や近代国家の行き詰まりが、若者たちの生を依代として語られていく。友情や連帯、性愛は、彼らの「われら」を強く結合させる(*03)ことはない。

    (02)
    ジブラルタルと呼ばれる猫が現れる。地中海の西の出口にあり、ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸の接点でもあるこのジブラルタルの絶妙な地理は、そのまま物語の妙となり、言葉を語ることのない猫に変換されている。

    (03)
    本書では、直接に宗教や道徳が語られることはない。その信仰のない危うさを逆に示しているとも言えるだろう。
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    投稿日:2020.08.12

  • までりん

    までりん

    このレビューはネタバレを含みます

    敗戦を否定的に捉えた写実小説。めちゃくちゃ面白い!現代人からしたら、当時の若者が戦争に希望を抱いていたことは信じ難いことなのかもしれない。でも、これを現代におきかえてみると、彼らの心境を理解できると思う。
    私達にとっての絶望ってなんだろう。
    この本を読むことで息苦しさについて考えることができると思う。

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    投稿日:2020.07.27

  • yasudawataru

    yasudawataru

    若者は何を考え、活動に耽るのか?今の時代とのギャップは何なのか?想像してもきりがありませんが、果てしない世界がそこには広がっているんだとおもいます。

    投稿日:2017.11.12

  • stanesby

    stanesby

    初めての大江健三郎。自分にとって大江健三郎は、人の良さそうなおじいちゃんというイメージだったのでびっくり。


    時代の違いなのか、描かれている若者達が持つ焦燥感、閉塞感、性へのこだわりや嫌悪感、その場限りの衝動、くだらないこだわり等自分には理解できない。

    突飛に感じる箇所も幾つかあり、正直言えば、大江健三郎の作品でなければ、途中で止めていたかもしれない。物語終了間際のストーリー展開には否応なしに引き込まれる。
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    投稿日:2015.11.24

  •  MIYATA.

     MIYATA.

    3.5
    らすとの畳み掛けは読みながら死ぬかと思った

    p90
    弟は幸福な人間を見るようにかれを見つめて笑っていた。靖男は弟を殺したかった。肉親にたいしてもちうる感情は殺意か愛かの二つしかない。

    投稿日:2015.08.18

  • meicrane

    meicrane

    状況からの脱出をはかる兄弟。兄はフランス留学による現状打破を目指すが外人相手の娼婦を職業とする愛人との関係から逃れられない。閉塞した状況の中、暴発寸前の弟とその仲間は一発の手榴弾に希望を見いだそうとするが惨めな失敗の中、最悪の状況に墜ちていく。
    自ら状況を悪化させていくような彼らの生き方は当時の若者からは共感を得られたけど、今の時代には流行らないかもしれませんね。
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    投稿日:2015.01.23

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