【感想】きみの鳥はうたえる

佐藤泰志 / 河出文庫
(47件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
7
19
12
3
0

ブクログレビュー

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  • 小さな図書室

    小さな図書室

    1970年代の青春のひとつだったと思われる
    この作家の夏と暑さと汗の描写にいつも感心してしまう
    すこしみじめでみっともない感じがなんか懐かしい
    タイトルの意味するところがまたもや判らないけどかっこいい続きを読む

    投稿日:2024.02.23

  • 琳

    再読。本当に大好きな作品。
    ひと夏の幸福な時間を描いているはずなのに、最初からずっと暴力的な予感がある。

    「僕は率直な気持ちのいい、空気のような男になれそうな気がした」と言うように、「僕」は意識的に静雄や佐知子に自分の中を通り抜けさせているように思う。この話は「僕」から見た静雄や佐知子の物語なんじゃないかと思うくらい。

    「僕」はバイト先の誰とも関わろうとせず、バーの飲み仲間ともつるまず、自分にも全然興味を持っていないのに、静雄にだけは心を開いている。
    オールナイトの映画に連れ出されるシーンや、カンダタのくだりに見られるように、「僕」は生活の中で静雄に引っ張られたり影響を受けているところがかなりある。静雄がどんなに情けなくても、「僕」はずっと静雄に心を寄せ続けている。

    そこに佐知子が現れて、2人が近づいていくごとに、「僕」の気持ちも、「僕」から見える静雄も変わっていく。
    静雄が佐知子に「もう一度お休みを言ってくれないか」と頼んだときから、「僕」は佐知子を通して新しく静雄を知り続けているんじゃないかな。

    静雄が持つ独特の愛嬌やナイーブさはとても魅力的だけど、静雄が主人公だと独り善がりの苦しい物語になっていたと思う。「僕」の目を通して初めて
    静雄が憎めないキャラクターとして浮かび上がってくるのではないかなと思う。

    そう考えると、「僕」の周りとの距離のとり方はすごく切ない。まるで「僕」自身に実体はなくて、静雄や佐知子やバイト先の人達といった周りの人たちとの関係によってゆらゆらと形作られた陽炎だと思っているみたい。
    「空気のような男」になる必要なんてない、あなたの人生の幸福はあなただけのものにしていいのに。最後、悲劇に巻き込まれるのは静雄だけど、本当に悲しみの底にいるのは静雄も佐知子も失った「僕」なんじゃないだろうか。

    続きを読む

    投稿日:2024.02.17

  • み

    若者たちのひと夏の話でしたね、この瞬間が永遠に続けば、と思っても、人は変わるし、同じ夏も二度とはこない。若さゆえの倦怠と、根拠のない万能感、優しさと非情さと、気まぐれと。成人していても老成しきれない微妙な年頃の若者の描写が巧みです。佐藤さんの本は海炭市叙景を読みましたが、そこはかとなく漂う寂寥が、今作にもあるなと思いました。
    読了後、本の内容と自身の記憶と思い返して苦しくなりました。映画も観たいです。
    続きを読む

    投稿日:2023.11.11

  • kaorukaeru

    kaorukaeru

    短中編2作品収録
    青春小説で主人公に起こる出来事を
    たんたんと読んでいた感じです
    表題作はタイトルから謎です

    投稿日:2023.08.09

  • も

    『きみの鳥はうたえる』
    知らないはずの昭和の夏のにおいがする。(自分とは縁のないような)眩ゆいきらめきに満ちた日々の中に、ときおり恋愛・家族・生きることについての鈍い痛みがはしる。「僕」の捉えどころのなさ、佐知子の軽(やか)さ、静雄のナイーブさ…時に首を傾げる点もあったが、決して広くはない世界で、一見飄々と生きているようでも実は各々抱えたものがあるという物語は、時の流れによって色褪せることのない普遍的な題材だと思う。夏の入り口のこの時期に読んで非常に心がヒリついた一編だった。

    『草の響き』
    映画のビジュアルを見ていて、てっきり妻が出てくるものだと思っていたから意外だった。走ることを通じて内省する感覚はなんとなくわかる部分がある。

    両作ともに主人公に名前がないこと、別の名前をつけられた男性との関係など、共通点もいくつか。作家が自死したという情報をあらかじめ知っていたので、作品自体をどうしても死のイメージから切り離すことができなかった。良いのか悪いのか。

    『きみの鳥はうたえる』『草の響き』ともに映画を観ようと思う。
    続きを読む

    投稿日:2023.07.02

  • はる

    はる

    原作が小説とは知らず先に映像を見てしまった(あまりやらないようにしてる)
    こんなに古い原作だったとは
    これからあの映画を作ったって考えるとあの映画は成功してる気がする(映画好きだった)

    投稿日:2023.06.30

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