【感想】物語 エルサレムの歴史 旧約聖書以前からパレスチナ和平まで

笈川博一 / 中公新書
(16件のレビュー)

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    笈川博一. 2010. 物語 エルサレムの歴史:旧約聖書以前からパレスチナ和平まで. 中公新書(2067)/中央公論新社.

    投稿日:2024.03.09

  • 横

    物語 エルサレムの歴史
    旧約聖書以前からパレスチナ和平まで
    著:笈川 博一
    中公新書 2067

    おもしろかった、中東は複雑すぎて、1つの都市の歴史を追うぐらいで分かりやすのかなと感じました。

    エルサレムとは、宗教上の聖地であること以外では、たんなる地方都市にすぎない、農業が経済の基礎だった時代、ろくな水源もなく、山の上にあって本格的農業をする土壌にも貧しい
    歴史上は、超大国である、ギリシア、エジプト、メソポタミア=バビロン=ペルシャが、パレスチナを通過するときの小さな拠点の1つにすぎない

    旧約聖書とは、BC3世紀ごろまでのユダヤの歴史である

     ・モーセ5書=トーラー
     ・ダビデのカナン統一
     ・南北朝時代
     ・バビロニア捕囚
     ・捕囚からの帰還以後(BC3世紀ごろまで)

    エルサレムは、BC4000年くらいから人が住んでいる痕跡があるが、世界最古の都市は、エルサレムの東で、死海の近くにある、エリコという都市である。エリコは、BC9000年にもさかのぼることができる
    エルサレムが初めて歴史に現れるのは、エジプトで、侵攻を受けているので援軍を送ってほしいという、文書がのこっている。それが、ユダヤの者かどうかはわからない

    出エジプト記は、旧約聖書に残っているが、エジプトの歴史には、ユダヤ民族の移動はのこっていない。60万人が移動すれば、当時としては大事件であったにもかかわらずだ。
    ヨシュアに率いられたイスラエル人のカナン征服物語は大幅に誇張されているようだ。

    ダビデが、エルサレムを首都にしたのは、カナン平原のちょうど真ん中にあったから

    ユダヤの神は、すべて子音で、YHWHと称す、やがて神の固有名詞は、忘れ去られてしまった

    バビロン捕囚まで安置されていた、契約の箱は中身の十戒の石板とともに行方不明になった。

    ダビデの欠点は女色がすぎたこと、イスラエルの民はやがてくる、救世主は、ダビデの子孫であると思い込むようになっていく、そして、それは、ベツレヘムで生まれる必要があった

    BC922、統一王国は、南北に分裂した
    BC625、新バビロニア王国のネブカドネザルが大軍を率いて来襲した、運の悪いことに、イスラエルは、下り坂のエジプトの配下にはいってしまう
    交通が発達していない古代において、領域を統治するにあたっては、委任をするか、その地域の支配層を捕囚して自国の首都に連れてきてしまえば叛乱はおきない。
    バビロニア人は、カナン統治について選択したのは、後者であった、それをバビロン捕囚という
    捕囚の対象になったイスラエル12部族のうち、10部族は、やがて、バビロニアの文化に同化していった
    神殿を失ったイスラエル民族は、神に祈るというのは、持ち運びができる、携帯でできるようになった

    BC539年ペルシアがバビロニアに勝利して、ユダヤ人を解放した、ペルシア王キュロスは、ユダヤ神殿の復興を赦す(第2神殿)とともに、ユダヤ人の帰還をゆるした
    エズラ記、ネヘミヤ記はこのころのユダヤ民族を描いている

    ヘロデが統治していたユダヤはその後叛乱を起こす、AD70年。ローマ軍は、これを焼き払ったとある、亡くなったのは、110万人
    130年ハドリアヌス帝治世下に、ユダヤの大規模叛乱が起きた。58万人のユダヤ人が殺害されたが、ローマ軍の損害も大きかった

    638年、ムハマンドが現れて、イスラム教が伝播していく
    691年、ウマル朝がエルサレムを制圧して、ユダヤ神殿のあとに、モスクを立てる
    1099年~1187年 十字軍がエルサレムを席巻、ビサンチンの影響も受ける
    1187年 サラディンがペルシア軍を率いてエルサレムに入城、ユダヤ人は、捕囚から救ってくれたペルシア軍を歓迎し、キュロス王の再来と称えた

    1516年 オスマントルコのセリム1世がエルサレムに無血入城
    1799年 ナポレオンがエジプトからパレスチナを通過、そのきっかけで、エジプト王ムハマンド・アリが、エルサレムの近代化を始めた
    1914~1918第一次世界大戦で、オスマントルコは、滅亡。中東は、3つの協定で分割翻弄されることになる
     ①マクマホン書簡
     ②バルフォア宣言
     ③サイクス・ピコ協定

    1947~1967 英国が統治機能を失い、中東は混乱の中にほりこまれる
    エルサレムは、ヨルダン王国に組み込まれる
    1967年 イスラエル軍が、エルサレムを急襲、以後、現在まで、エルサレムは、イスラエルの統治下にある

    目次
    第1部 諸王国の興亡
     1 BC1000年まで
     2 BC1000年~BC925年まで ダビデ、ソロモンの統一王国時代
     3 BC922年~BC720まで 南北朝時代
     4 BC539~AD70まで 第2神殿
     5 70年~614年まで ローマ、ビサンチン時代
     6 614年~629年まで ササン朝ペルシアによる征服
    第2部 イスラム興隆の中で
     7 638年~1099年まで 第1次イスラム時代
     8 1099年~1187年まで 十字軍時代
     9 1187年~1516年 第2次イスラム時代
     10 1516年~1917年まで オスマン・トルコ時代
     11 1917年~1948年まで 英委任統治時代
    第3部 イスラエル建国ののち
     12 1947年~1967年まで ヨルダン王国時代
     13 1987年~2010年まで イスラエル建国ののち
    あとがき

    ISBN:9784121020673
    出版社:中央公論新社
    判型:新書
    ページ数:328ページ
    定価:880円(本体)
    発売日:2010年07月25日
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    投稿日:2023.12.28

  • snowman

    snowman

    複雑怪奇すぎる。
    ユダヤ教、キリスト教、イスラム教
    元を辿れば同じなのに争い
    それぞれの宗教の中で宗派を作って争う。
    そこに民族、文化、国家という枠組みが存在する。
    争いの歴史の中で何が正しかったのか
    わからないが、民衆はただ生きていくための
    選択をしていかなければならない。
    助けられることもあるが、
    弊害になることもある。

    本書は聖地エルサレムを巡る歴史である。
    ローマ帝国、オスマン帝国、アラブ諸国、
    十字軍にレバノン戦争、湾岸戦争、などなど
    いろいろな出来事がこの聖地中心に起こり
    今のイスラエルとパレスチナの紛争にたどり着く。
    今後のこの地域で何かある時に
    本書で得た知識がどう影響するのだろうか。










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    投稿日:2023.01.02

  • 鈴華書記

    鈴華書記

    本書は以下のような三部構成となっている:

    第Ⅰ部→紀元前からペルシャ時代まで,旧約聖書の吟味を含む。

    第Ⅱ部→イスラム時代からWW2まで,支配者の母体の変化を手早く確認。

    第Ⅲ部→ヨルダン王国を経てイスラエル時代(2010年)まで,著者のヘブライ大学留学でのルポともとれる。続きを読む

    投稿日:2020.11.21

  • y-mitsu

    y-mitsu

    紀元前1000年の諸王国の興亡から現代に至るまでのエルサレムの歴史。特に戦後の記述には臨場感迫るものがあるが、その背景には聖地を巡る壮大な歴史があることを改めて認識する。

    投稿日:2019.12.29

  • じゅたろう

    じゅたろう

    聖地として有名なエルサレムの実際を、歴史的に物語として追いかけていく内容になっています。そこには過去に何があったのか。そこからどのような物語が伝説が生まれたのか。そしてそれが現代の人類にとってどのような意味があるのか。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教と、それぞれにとっての意味とは。それを知ることで、今の中東として有名な問題について理解を深めることができます。
    この地域が、地域としては全く魅力が無いにもかかわらず、重要な地として、歴史の主要舞台にありました。それは、重要と思っている人々と、そうではなく実利的な面での扱い方をしてきた人々との、意見の食い違いの歴史でもあったのではないかというところも考えさせられる内容になっていると思います。
    続きを読む

    投稿日:2018.07.30

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