【感想】ニューヨークを読む 作家たちと歩く歴史と文化

上岡伸雄 / 中公新書
(3件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
0
2
1
0
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • 本屋さんが大好き!

    本屋さんが大好き!

    17,8年前に新聞の書評で知り、即購入。
    以来塩漬け…なのに突然読めたのです。そして、とてもおもしろかったのです!

    87分署や、映画を観たりして、行ったこともないのにニューヨーク好き。それもきっかけでした。
    ニューヨークの成り立ちから、刊行当時まだ記憶が生々しかった911まで、歴史をふり返りながらそれぞれの時代を映す純文学が紹介されています。

    ニューヨークを好きと言いながら、ほとんど何も知らなかった。ギャツビーもライ麦畑もオースターも読んでいない…反省。これから読みます…

    なのにアメリカンサイコだけ読んでました…今思うとちょっと気恥ずかしい…と思いながら、今読んだらどうなんだろう、とも考えています。

    ドンデリーロ、ジェイマキナニーも、これから読みます。

    なくならない人種差別、911、アイソラでも語られていた大停電、確かに昔は汚い印象だったニューヨークのゴミ問題…
    これからも気になり続ける場所です。



    続きを読む

    投稿日:2022.09.10

  • rururu

    rururu

    ニューアムステルダム入植から、9.11までのニューヨークの姿を、その時代の文学と共に見ていく。ハーレム文化の章から9.11を連続して見ていくと、ニューヨークの始まり、多様な人種、差別、格差と、ゴチャゴチャしたニューヨークの面白さと悲しさ、希望がごちゃごちゃになって現れる。続きを読む

    投稿日:2022.03.13

  • yy10

    yy10

    2020年4月4日読了。

    ●ウォール街
     →1653年、当時のピーター・スタイヴサント
      総督がが先住民とイギリス人の襲撃に備え、
      イースト河からハドソン河まで達する714mの
      壁(ウォール)を築いた。この壁がのちに撤去
      され、ウォール街となる。当時のウォールはい
      わば文明社会と自然との境界線と言え、
      オランダ人たちが資本主義経済を守るための
      壁でもあった。

    ●コーネリアス・ヴァンダービルト
    (1794〜1877)
     →1810年、弱冠16歳で中古の帆船を使って、
      ステタン島とマンハッタン島を結ぶフェリーを
      始めている。ヴァンダービルトはこれをきっか
      けに莫大な財を成し、後に鉄道会社を次々に
      買収、鉄道王となった。ヴァンダービルト家は
      ニューヨーク上流階級に君臨することになる。
      ニューヨークの大富豪と言えば、ヴァンダービ
      ルト家に並び称されるのがアスター家である。
      その祖であるジョン・ジェイコブ・アスターは
      毛皮商人として成功し、それを元手にマンハッ
      タンの不動産を買い漁って、莫大な富を築き上
      げた。
     →ド・ウィット・クリントン(1769〜1828)が
      市長の時、格子状の街路(グリッド)で覆い尽
      くそうという計画を発表。

    ●P33 ホレイショ・アルジャー
     →少年向けの成功物語を量産して、19世紀末に
      一世を風靡した大衆作家。高く評価されたわけ
      ではないが、アメリカ人の精神に与えた影響と
      いう点では、どんな文学作品も及ばないだろ
      う。

    ●P39 ハーマン・メルヴィル「白鯨」(1851年)

    ●P67 イーディス・ウォートン
     →「歓楽の家」(1905年)
       …世紀転換期のニューヨーク上流階級の社交
        界。
      「無垢の時代」(1920年)
       …1993年に映画化「エイジ・オブ・イノセン
        ス」。アカデミー賞優秀衣裳賞。
        上流階級の人々は冬になると好んで音楽院
        に集まる。

    ⚫️P81
     →ナポリ出身者はマルベリー通り付近、
      西シチリア出身者はプリンス通りとエリザベス
      通り、東シチリア出身者はキャサリン通りとモ
      ンロー通りといった具合である。
      映画監督のマーチン・スコセッシはシチリア移
      民の子供で、エイザベス通り付近のイタリア人
      街に育った。

    ●P85 ジェイコブ・リース(1849〜1914)
     →「いかに残り半分は暮らしているのか」(1980年)
      ロワー・イーストサイドのスラム街を取材。
      最下層の人々の悲惨な現実を記し、
      アメリカ中に凄まじい衝撃を与えた。

    ●P89 オー・ヘンリー(1862〜1910)
     →19世紀後半から20世紀初頭にかけてのニュー
      ヨークで、どの作家よりも有名で、
      今でも人気のある作家。
     →「最後の一葉」
      
    ●19世紀の富豪と言えば鉄鋼のカーネギー、石油の
     ロックフェラー、コークスのフリックなど、素材
     や燃料の生産者であり、彼らは生産性を高めるこ
     とで巨万の富を築いた。

    ●P130 スコット・フィッツジェラルド
     (1896〜1940)
     →「楽園のこちら側」(1920年)。
      この時代の若者たちの風俗、性的な奔放さなど
      をあからさまに描き、センセーショナルを巻き
      起こした作品。
     →「グレート・ギャツビー」(1925年)

    ●ワールドシリーズの八百長話
     →シューレス・ジョー・ジャクソンが関わった
      ブラックソックス・スキャンダルのこと。
      シカゴ・ホワイトホックスの8選手がワールド
      シリーズで八百長し、永久追放になった事件だ
      が、これを買収したのは実在したユダヤ人マフ
      ィアであると言われている。少数民族として
      軽蔑的に扱われていたユダヤ人がこの時期すで
      にかなり力を得てきていること。

    ●ハーレムとは元々、南北130丁目から145丁目、
     東はマディソン街、西は7番街あたりまでを指
     す。中心地は五番街と七番街の間の135丁目で
     ある。この地は1636年、オランダ人によって
     築かれ、「新しい土地」を意味する
     「ニュー・ハーレム」と呼ばれていた。
     19世紀初頭までは孤立した田舎の村にすぎなかっ
     たが、1930年代にハーレム鉄道が作られ、
     さらに19世紀後半に高架鉄道が作られるに及ん
     で、ベッドタウンとして発展していく。
     最初は中流のドイツ系市民、さらに19世紀末には
     イタリア系やユダヤ系の市民が暮らす場所と
     なっていった。
     〜1900年、地下鉄IRT線の建設が発表。
     アパートが大量に造られたが実際には住む人が
     おらず、ここに黒人がどっと流入することに
     なった。

    ●19世紀後半から大量に流入した新移民たちの中
     でも、ユダヤ人は二世、三世の時代になり、
     教育や言語のハンディキャップを完全に克服し
     た。こうして音楽の世界ではレナード・バーンス
     タインやアイザック・スターン、学問の世界では
     ダニエル・ベルやハンナ・アーレント、文学批評
     ではアルフレッド・ケイジンやアーヴィング・ハ
     ウなど、様々な分野で第一人 者を排出するように
     なった。小説の世界ではバーナード・マラマッ
     ド、ソール・ベロウなど。

    ●ブルックリンを描いた映画
     「スモーク」「ブルー・イン・ザ・フェイス」
    続きを読む

    投稿日:2020.04.04

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。