マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女

岡田温司 / 中公新書
(31件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
6
13
7
1
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ブクログレビュー

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  • hollyhocksin

    hollyhocksin

    このレビューはネタバレを含みます

    キリスト教には二人のマリアが存在する。聖母マリアと罪深きマグラダのマリアである。西洋世界におけるマリア信仰の歴史についての本を読み、マグラダのマリアに興味を持った。原田マハの小説に「まぐらだ屋のマリア」と言う題名のものがある。原田さんの作品の代表作の一つと思っているが、何故この題名なのかと思っていたが、マグラダのマリアの話を題材としている意味が今回改めて理解でき再読しようと思った。
    マグラダのマリアは聖女でもあり、娼婦でもある。正しく言えば自らの罪を回心し、聖女になったということである。聖女マリアは言うまでもなく聖なる存在、人々を疫病、災い等から救済する、あたかもキリストのように。一方で、罪深きマリアは罪を悔い、キリストに仕え、聖なるマリアよりもキリストにキリストに近い存在として聖書等に伝えられている。西洋絵画でマグラダのマリアは多くの作品の題材とされているがとても矛盾した要素を含んでいる。貞節と淫ら、美しさと官能。聖女マリアがより神に近い存在であるに比して、マグラダのマリアは人間に近く、人の罪深さを象徴していると感じた。多くの宗教が人間は本来罪深い存在とするところから始まるが、人はいつまでも罪深いものであり、罪から逃れられないのではないだろうか。

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    投稿日:2020.12.20

  • Yu Kino

    Yu Kino

    前半のスリリングさは後半にはないんだけども、面白かった

    インターネット以降の時代には、こういう情報の流転はどうなってくんでしょうね
    出版印刷より前の時代、一次資料ってものにあたれない時代に起こる情報の編集というのは面白い

    ポストトゥルースというけども、トゥルースな時代なんてあったのかな、それっぽいのがあったとしてもめっちゃ短い一瞬だったんだろうな、インターネットが一瞬描いた夢なんだろうな

    新約とか読んでもマグダラのマリアとかほとんど出てこないのに、どっからあんなイメージ出て来てんのかな、と思ってたのが納得できる

    これで外典とかあたり始めたらまた大変なことになるからそこは避ける
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    投稿日:2018.11.19

  • ギーディ

    ギーディ

    新約聖書に於ける"マグダラのマリア(マグダラと呼ばれたマリア)"の認知度はイエスと聖母マリアに次いで大きなものとなっており、ある程度の教養を得てある程度の年齢に達した日本人ならば知らない人はいないであろうというイメージがありますが、では実際に新約聖書でどれほどの活躍がなされているかと言えば「キリスト磔刑の立会」「キリスト埋葬の立会」「キリスト復活の証人」という限られた一部の章に登場するのみであるという事実にまず驚かされます。

    また例外としてルカの福音書のみに七つの悪霊をイエスに追い出していただいた女であり、使徒たちとともにイエスに従って福音の旅をする旨が記されているとのことです。

    新約聖書への登場はそれだけだというのにイエスと出会う以前は娼婦であったとか、イエスが一番愛した人であったとか、イエスの子孫を受け継いだ女性であったとか、実は黒人であったとか色々な説を見聞きする機会も多く、またマグダラのマリアに対して信仰する方々も世界には多く親しみさえ覚える存在であるかと思います。

    そんな"マグダラのマリア(マグダラと呼ばれたマリア)"に的を絞って14世紀のナポリではどのように受け止められていたのか、15世紀のフィレンツェではどのように受け止められていたのか、16世紀のローマではどのように受け止められていたのかなどを紐解いていく内容となっています。

    本書の魅力はマグダラのマリアに関する絵画や彫刻の写真も多く掲載されており、それら1枚1枚を丁寧に解説してくれることです。同一人物であるはずなのに芸術家によって暗い印象を受けたり、エロティックな印象を受けたり、躍動感ある印象を受けたりするのが面白いところであります。

    ときにはヴィーナスと見紛うような絵画も登場しますが、香油の壺が描かれているか描かれていないかで判断できるなど目から鱗の連続であり、マグダラのマリアという人物に興味がある方には大満足の1冊かと思います。
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    投稿日:2017.07.12

  • shingkawaknow

    shingkawaknow

    女性史やキリスト教についての内容以上に、芸術についての記述が多数を占めている。
    それにがっかりしたわけではなく、むしろそこから女性史やキリスト教が見えてくる。

    古代キリスト教から世界宗教となった現在に至るまで、淫売、娼婦であったマグダラのマリアが尼僧の象徴のようになり聖女として崇拝され、現在ではイコンとなっている。

    大変面白く読むことができました。
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    投稿日:2017.02.03

  • reso100

    reso100

    マグダラのマリア,聖書に出てくるのは知っていたが,ヨーロッパの世界でこれまで注目を集めている存在であったとは驚きだ.確かに元娼婦で悔い改めたことは事実だが,女性の象徴的な存在となり,数多くの絵画や詩に出現している.なぜここまでこのマリアに囚われるのかよく理解できない.カラヴァッジョとレーニの絵画での扱いを考察した第3章「娼婦たちのアイドル」が楽しく読めた.著者の考えの推移が文章の流れで把握できる,のめり込むような書き方が良い.続きを読む

    投稿日:2016.12.08

  • 本≒人生

    本≒人生

    大変な力作である。エヴァでも、マリアでもない、マグダラのマリア。絵画、彫刻、文学を題材に、時代を経ながら、豊かなイメージの源泉であり続ける彼女を浮かび上がらせた著者の該博さと構想力は見事。

    投稿日:2016.05.21

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