The Indifference Engine

伊藤計劃 / ハヤカワ文庫JA
(131件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
28
53
32
1
1
  • 『虐殺器官』から『屍者の帝国』までのエッセンスが凝縮。

    表題作『The Indifference Engine』はルワンダ虐殺と少年兵問題を題材にした『虐殺器官』につながる一篇。その他にも、「007」や「メタルギアソリッド」などを元ネタにした短編小説、漫画が収録されていますが、どれも円城塔が書き繋いだ『屍者の帝国』と共通したイメージが感じられ、出所はこのあたりからかと思われます。
    もう新作は読めないんだなと思うとさびしいですが、いかに伊藤計劃が多才な作家だったのかということを思い知らされる一冊です。
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    投稿日:2013.11.23

  • 作者が長命でさえあったなら…。

    私たちは、伊藤計劃のセンスオブワンダーと独特の暗く狂気に満たされた21世紀の日本SFの極端を覗き見ることができたのかもしれません。
    近代以降、全ての哲学者、表現家にとって問題となるのは一神教下のプレディスティネーション上における自由意志の存在の有無についてです。
    伊藤計劃はこの点に非常に深く切り込んで一定の回答を得ながら、平易勝つスリリングに物語を紡げる非常に稀有な作家だったのでしょう。
    感銘を受ける作品がいくつかあると思います。
    短編ゆえのこなれないパロディも作者が死んでしまった今となっては厳しく評価する必要もないでしょう。
    短命にもかかわらず輝いた一個の才能に!
    星5つ。
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    投稿日:2016.11.30

ブクログレビュー

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  • chokusuna

    chokusuna

    このレビューはネタバレを含みます

    内戦と少年兵の問題を深くえぐった「The Indifference Engine」。家族を辱めて無残に殺した連中がなんのおとがめもなく歩いているのに、こいつらは憎むな恨むな手を出すなと念仏のように言いやがる、という言葉の強さ。そして、部族の区別がつかなくなるような注射をされて外界へ逃げ出した主人公の苦難は、まるで"時計仕掛けのオレンジ"。「戦争のためにうその歴史を作ったんだろ」と攻めてものらりとかわす元上官の卑劣さ。最後は...一方的な融和の押し付けがどういう結果を産むかの一つの答え/「Heavenscape」は、もう一つの「虐殺器官」。/「フォックスの葬送」は、「地獄の黙示録」へのオマージュと感じられた。諜報機関の優秀な元部下をジャングルに送り込んだら、連絡が途絶え、現地人を武装、訓練し、王国を作り上げた、と。"私の言う自由は、羊皮紙に独立宣言を書き刻んだ建国の父たちが言ったような意味での自由" "最大利益なんてクソだ" "屍の荒野なら、ここがすでにそうさ" 国家の提示する最大利益なんてもののために、自分が愛した者たちが死なねばならないとしたら、そんなものは...という悲痛な叫びが聞こえる/「From the Nothing,With Love」は、意識と無意識、どこまでが私か、という問いを根源から揺さぶる力を持つ。/飛浩隆「自生の夢」は、伊藤計劃「ハーモニー」へのアンサーとして書かれたのだとか。読んでみたい。

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    投稿日:2019.06.30

  • 白い駄洒落王

    白い駄洒落王

    「虐殺器官」「ハーモニー」著者のSF短編集。
    短い作品ですが「セカイ、蛮族、ぼく。」の情け容赦ない塩梅が秀逸。
    「the indifference engine」は認識とは何か訳が分からなくなる。
    学物質によっていくらでも変えられてしまう儚いものなのですか?
    SFの世界に引き込まれる良質な短編集でした。
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    投稿日:2019.05.24

  • sisitake

    sisitake

    二度目の読了
    From the Nothing, With Loveはやはり名作だった。彼が自分の寿命を常に考えていたからこその話だと思う。意識とは自分とは、それを短編に落とし込んで、綺麗にミステリに仕上げている。
    なぜあんなに早く亡くなってしまったんだと、作品を読むたびに、涙が止まらない。
    もっとあなたの作品が読みたかった。
    次はハーモニーを読み直そうと思う。
    続きを読む

    投稿日:2019.03.09

  • ykikuchi

    ykikuchi

    "短編集、The Indefference Engineという表題の作品が強烈な印象を残す。
    ホテルルワンダの世界そのまま。
    007への愛情あふれる作品もいくつかある。
    最後に収録されている「屍者の帝国」は最近別の作家の手を経て発売された。"続きを読む

    投稿日:2018.10.28

  • minoreal

    minoreal

    007好きの人にぜひお勧めしたい。本書の著者にこそ継承"する価値があったと思うのに、もう彼は失われてしまった。流れを引き継ぐ人々がたくさんいるということは喜ぶべきことだけれども、それとこれとはまた別の話。"続きを読む

    投稿日:2018.03.03

  • yamada3desu

    yamada3desu

     書籍というきちんとした形でまとめられていなかった作品を集めた作品集。
     6つの短編に、2つの劇画、1つの他の作品の解説、という構成になっている。
     やはり6編の短編はどれも極上。
    「セカイ、蛮族、ぼく。」という短編だけは少し毛色が違っているが、残りはどれも伊藤計劃らしさが漂ってくる作品となっている。
     きっちりと論理立てされており、だからといって息苦しさを感じさせることもなく、読むものを良質のエンターテインメントへと誘ってくれる。
     最後の「屍者の帝国」のみ未完(遺稿でもある)。 
     のちに円城塔が後を引き継いで完成させているが、購入してはいるがまだ未読(評判はあまり芳しくないようだが……)。
     どの作品も面白いのだが、やはり一番強く心に残ったのは「本当に惜しい才能を失ってしまった。もっと彼の作品を読んでみたかった」という残念な気持ち。
     特に未完に終わっている「屍者の帝国」の「これから先、どんな展開が待っているんだろう」と期待に胸を躍らさせてくれる内容を読んでしまうと、本当に残念でならない。
    続きを読む

    投稿日:2018.01.04

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