【感想】リライト

法条遥 / ハヤカワ文庫JA
(94件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
12
33
31
10
1
  • 読者を引きずり込む迷宮

    本作は「時をかける少女」(筒井康隆)の設定を意識的に踏襲した、「時かけ」へのオマージュとも呼べる作品です。内容としては、筒井版をひねってひねって、仕上げに毒を振りかけたような感じでしょうか。
    読み進むうちに、読者はだんだん混乱してくるはずです。何章か戻って読み返しても、頭の中は「???」ばかり……。でも、たぶんそれは正常な反応です(少なくとも私は混乱しまくりました)。この物語はそういう物語なのですから。
    もちろん最後には謎が解けます。ただ、この終わり方は好みが分かれるところでしょう。それでも、この迷宮をさまようような読書感覚は体験する価値があると思います。
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    投稿日:2013.10.24

  • 王道か邪道か

     「バクマン。」で主人公の二人が、自分たちが目指すべきなのは王道か邪道か、みたいな議論をするシーンが何回かありまして。もちろん王道だから良いとか、邪道だから悪いとかいうことではなく、あくまでも売れるための<戦略>としてどちらを選択するか、というようなことを話し合うわけです。

     で、本作なわけですが、これはもう思いっきり邪道ですね。この手のお話を読んだ後に残る余韻もへったくれもありません。もちろんだからダメなわけでは全然無く、「あり」か「なし」かで言ったら「あり」です。特に、NHK少年ドラマシリーズで「タイムトラベラー」(筒井康隆の「時をかける少女」を原作とする一番最初の映像化作品)をリアルタイムで観たことがあるような、すれっからしのSFファンにしてみれば、ふふん、そうきますか、なるほどね、などとツッコミを入れつつ楽しく?読めるのではないでしょうか。

     ただ、邪道というのは王道があってこその邪道(逆もまた真ですが)、とも思うので、あまりこの手のタイムトラベル物を読んだことが無い人には勧めません。例えばケン・グリムウッドの「リプレイ」とか、北村薫の「《時と人》三部作」とか、高畑京一郎の「タイム・リープ-あしたはきのう」とか、新城カズマの「サマー/タイム/トラベラー」とかが未読だったら、先にそちらを読むべきかと。まぁ、他にもこのジャンルでの佳作、傑作は多々あるのですが、ある程度の代表作と言われる作品を読んでから読む方が楽しめる、本作はそういう作品だと思います。
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    投稿日:2013.11.11

  • オマージュ作品を読んでいない立場の感想として。

    単体の作品として、普通に楽しめた。
    2002年の「現在」と、1992年の「過去」。未来から来た少年が、とある中学のクラスに残した影響。そして10年後にそれが引き起こす事件。
    タイムパラドックスを扱ったSFだが、ミステリーやホラー的なドキドキ感も併せ持つ作品。「過去」の青春タイムトラベル感と、「未来」のブラックな展開のギャップがおもしろい。
    終盤の加速で最後は一気読み。ラストは好みの別れるところだとは思うが、個人的にはアリ。

    以上「時をかける少女」を未読の人間の感想だが、他の方のレビューを読むと、同作の読後ではまた違った発見があるのかもしれない。今度読んでみよう。。
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    投稿日:2013.12.28

  • まさにバッドエンドの「時かけ」

    未来からやって来た転校生、ラベンダーの香り、作中作のタイトルが「時を翔る少女」という事で舞台装置は揃っていますが、筒井康隆著のオリジナル版とは読んだ後味の悪さが大きな違いです。
    転校生との一夏の思い出を小説に書いた主人公と、かつてのクラスメイト達の関わりは?
    そして自分の記憶と事実が何故違ってしまったのか?
    この謎を考えるには、二度読み、そしてオリジナル版と比較してみて下さい。
    特に筒井版との比較は、映画等であらすじだけ知ってる人にオススメです。
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    投稿日:2013.10.22

  • まさにバッドエンド版

    匂い、場所、エピソード あの作品を読んでいれば更に広がります。
    最初はヒロインの名前が章毎に変わっていることに違和感がいっぱいで、頭こんがらがっちゃいますが
    読み進めれば理由が解ります。
    1回だけでなく2回3回と読み返すべき著作です。
    人によっては バッドエンドに思えないかも・・・
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    投稿日:2015.11.28

  • 解明部分がね・・・

    最終ページが物語の起点になる事や最初に来るべき自分が来ないなど物語のアイデアや掴みの部分は非常に面白い。あと味の悪さという意味でも時間ものとしては新しみがあって良い。が、その時間ものをそれなりに読んできた読者からすると解明部分が荒すぎると思う。関係者を増やすことは不確定要素を増やしているだけで解決にはならんよね。普通なら関係者を絞り込んで確実に帰る方法取るわなあ。作中の協力者に託した方法で。うーむ、どうもそこが納得いかん。。続きを読む

    投稿日:2014.01.09

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ブクログレビュー

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  • ブラリー

    ブラリー

    読み解くのが難解なうえに、大雑把なSFでした。
    ええぇっ⁉️
    というエンディングが癖になるのでしょうか?

    投稿日:2024.01.24

  • ゆつ

    ゆつ

    読んでいるとだんだん違和感に気づき始める感覚が楽しかったです。

    大まかな真相はわかったものの、言葉がこんがらがって自分では説明できませんが、きっとあのカラオケボックスにいた人たちも同じ気分なんだろうなと思いました。

    理不尽SFというカテゴリーに納得でした。
    続きを読む

    投稿日:2023.11.13

  • ganchan41

    ganchan41

    このレビューはネタバレを含みます

    さくさく読めたし、面白い。しかし、パラドックスという言葉で落ちがうやむやになっている気がする。タイムリープものの落ちは難しい。過去は改竄できない縛りの中、理屈はあっているのか?理不尽SFでも理屈は正しくないと膝を叩けない。

    以下 ネタバレと矛盾点の考察
     旧校舎の瓦礫から見つかった保彦は一人。それ以外の保彦はどうなった?
     崩れる瞬間に過去にタイムリープした?
     でも病院のあと、銘々にフォロー会話しているから、
     未来にショートタイムリープ?

     茂は保彦と同時にタイムリープしていた?そうしないと、それぞれの保彦に
     次の動きを伝えられない。あれ?タイムリープは保彦以外5秒では?

     2002年に自分が表れない理由はリライトされたから? 
     友恵が本の中身を知ったとしても、未来が書き換わる必要は無いのでは?
     唯一の理由が同窓会へ出席させるためというのは苦しい。
     そもそも過去は改竄できないというタイムリープもののルールを破っている。
     リライトされたのに、リライトする前の記憶(未来に5秒だけ行ったじぶん)
     はあるのも変だよね?

    本書が正しいタイムリープものになるには
    ・保彦はクラス全員の古い携帯電話を充電されて稼働できる新品にすり替え。持ち去られたあと、古い電話を同じ場所に置いておく。クラス全員は携帯電話が持ち去られていないと思い込み、歴史が改竄されたと勘違いしてクラス会に全員参加。桜井さんと長谷川さんは保彦が用意した携帯を持ち帰るが、滞在時間が5秒の為自分が死んでいることには気づかなかった。運悪く?室井君だけはじぶんが死んでいるのに気づいてしまった。

    こうすれば、リライトされたようだが、実は歴史は改竄されていないと思いますがいかが?

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    投稿日:2023.08.25

  • chaiq

    chaiq

    このレビューはネタバレを含みます

    こういうSFっぽいミステリ?久々に読んだので、ページをめくる手が止まらなかった。だが、いかんせん種明かしが難しい。結局どゆこと?ってなった。あと、いくら未来の技術発達してても記憶を変える道具とか、何でもアリなのはどうなのかな…

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    投稿日:2023.06.18

  • ss512(試)

    ss512(試)

    「SF史上最悪のパラドックス」という触れ込みは間違っていなかったです。

    ページを進めるごとに違和感を感じつつも読み進めて、ページを行ったり来たりして人物名を確認して読み進めて、徐々に、徐々に空気が変わってラストは一気読み不可避。
    このパターンは予想してなかったです。

    卵が先か、鶏が先か、そんなことはどうでもいい。とにかく最後はそうなってしまう。わかってしまう。最悪の辻褄合わせ。えげつないタイムパラドックス。

    最後の最後に笑うのは誰なのだろう?
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    投稿日:2023.06.02

  • salieri

    salieri

    もう何年も繰り返し読み続けています。
    いろんな方の考察やレビューもみました。
    妻にも読ませて感想を聞きました。
    最近やっと理解してきました。
    そんな本です。

    難解ですが、スルメみたいな本です。
    私が証明しています。続きを読む

    投稿日:2023.05.07

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