【感想】錦繍

宮本輝 / 新潮社
(446件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
143
149
95
10
3
  • 美しい文語体、クラシカルな書簡体小説

    メールもSNSも、遠い遠い未来だった昭和の中の物語。だからこそ、人は一語一語に思いを込めて文を綴り、そのやりとりが正に物語を紡いでゆく。
    フィクションではあるけれど、登場する二人の男女の年齢をとうに越えている小生が感じることは、「何て大人なんだ!」(笑)。
    人が生きるとは、男と女とは、読むたびに考えさせられ、励まされる、そんなマイベスト本の一冊です。秋の夜長に、是非!
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    投稿日:2015.09.27

ブクログレビュー

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  • Jacky

    Jacky

    美しい。

    静かに
    決して穏やかではない内容の手紙のやり取りが
    静かに続いていく。

    暗い中に光はあった。
    しかしどうも好きになれない男たち。
    人の世 人の心は美しいものばかりではないと
    分かっている
    でもここまで包み隠さず
    それも美しい日本語で書かれると
    感情の整理が追いつかなくなる。

    それでも最後まで引き込まれた。
    おもしろいおもしろくないじゃなく
    ぶっ飛んでる本の記憶に仲間入り。
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    投稿日:2024.03.12

  • mayu36yrmg

    mayu36yrmg

    過去が今を作り、今でさえ未来の何かを担っている
    宇宙のカラクリ
    人の業とは?を考えた。

    どの主人公の顔も姿も街並みもリアルに感じ取ることができる一気読み系の作品だった。

    哀しい出来事、進む時間、
    自分の気持ちと向き合うにも時間が必要だなとも思わされた続きを読む

    投稿日:2024.03.02

  • 水戸充希

    水戸充希

    このレビューはネタバレを含みます

    往復書簡という形式の小説。

    SNSやメールと違って、手紙はすぐに届かず、届いてもすぐに読む必要もすぐに返事を書く必要もない。だからこそ、自分の気持ちを整理すること、そして冷静に相手の言葉に耳を傾けることができる。そのようなことに改めて気づかせてくれた作品。
    あらすじの中の「男女」「愛」というワードから勝手に想像していた話とは全く違っていた。もっと苦くて痛くて辛い物語だった。
    2人のその後は想像することしかできない。しかし、根拠はないが2人ともそれぞれなんとかやっているのだろうと信じることができる、そのような物語の終わり方だった。
    各手紙の最後に日付が入っていて、2人がどのようなタイミング・ペースで手紙を書いていたかがわかる。私がそのことに気づいたのは最後の手紙を読んだ時だったので、再読する際には日付に気をつけて読もうと思う。

    【再読後の感想】
    日常の何気ない会話や見た景色など、私たちは様々なことに影響を受けて、考えたり行動したりしているのだなと思った。作中で言われている通り、過去と今は繋がっている。
    往復書簡という形式の小説だったから、2人の心のうちを交互に覗くことができた。とはいえ、手紙は人に読んでもらうのを前提に書かれたものだから、きっと完全に素直に書いたわけではないのだろう。そう思うと、この小説がより一層奥行きのある作品であると感じられた。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.02.24

  • Maxy

    Maxy

    開成中高の国語教諭が中学生時に同校国語教諭から勧められた、という話から手に取ったもの。
    あらすじを見て期待出来ないと思っていたが、やられた。昭和の小説らしい文章の美しさに。言葉選びのセンスと両者の奥ゆかしさが、か弱く心に響く。
    宮本輝氏の舞台はいつも自分に身近なところであり、風景が重なっていく中で、錦繍の映える秋が決めてになる。
    他方、昭和の作品にいつも感じる男達の身勝手さ。それを受け入れて振り回される健気な女性という偶像化が、男の身勝手さを倍増させる。この時代が今を作ってきた。未だに変われていないところも多々ある。大いなる反省が男達には必要だ。
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    投稿日:2024.02.17

  • セシルの夕陽

    セシルの夕陽

    素晴らしかった。有名な往復書簡の小説。

    かつての夫と、蔵王のゴンドラの中で偶然再会をし、長文の手紙のやり取りが始まる。

    10年前になぜ離婚しなければならなかったか? 
    納得しないまま別れることになったある事件。
    その真相と、10年間の空白を手紙が埋めていく。

    お互いに過去を見つめ直し、呼び起こし、伝え合う。辛いことも怒りも悔恨も。
    そして「今」に至り、お互いに生きる理由と糧を見出していく。

    蔵王のゴンドラからの錦繍と、締めくくりの錦繍が2人の背中を押している。
    人の業とは何なのだろうか。
    粋な遊び心?亜紀と靖明…秋。
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    投稿日:2024.02.16

  • hanabira

    hanabira

     究極の恋愛もの、というふれこみをどこかで見たので楽しみに読み始めたら前半は不穏な空気で、ちょっと思ってたのと違う?と思ったけれども…
     亜紀は有馬と別れたくなかったのに。瀬尾由加子との関係はなんだったの?なぜ私の子どもは障害を持つ子なの?私は何も悪いことをしていないのに?ずっと理不尽さを燻らせていて、その気持ちを押し殺して、それでも清高を立派に育て上げようと努力していた時に有馬と再会してしまった。
     瀬尾由加子との経緯を知り、憎んだ相手も苦悩していたことがわかった。有馬は確かに自分のことを愛していた、不倫はしたが彼も別れたくなかったのだ、ということもわかった。ようやく過去に折り合いをつけることができた。そして、それぞれの未来に向けてエールを送ることができた。あぁ、大人の恋愛だな、と思った。
     時代的に仕方がないのかもしれないが、障害や人種差別的な表現があるところが気になった。
     
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    投稿日:2024.02.04

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