【感想】ヤバい統計学

カイザー・ファング, 矢羽野薫 / CCCメディアハウス
(81件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
7
32
28
7
0
  • 統計の本のはずなのに必ずしも統計的な正解が心理的には正しくないというのが興味深い。

    邦題はちょっと狙い過ぎだが原題はNumbers rule your world 数字が世界を支配する。
    統計がどのように使われているか、どういうときに役立つか紹介されているが難しい数式はない。

    第一章のファストパスと交通渋滞が面白かった。
    テーマはばらつきをなくすこと。
    ディズニーランドのファストパスは好評だが実は待ち時間は変わっていないという。
    あるアトラクションの入場者数はファストパスを使っても使わなくても変わらない。
    普通に並べばひょっとするとすごく早く入れるがものすごく待たされるかもしれない。
    ファストパスを使えば何時間か後に確実にすぐ入れる。
    その間の時間は別のことに使えるため心理的には待ってることにならないので満足感が向上する。

    そういえば行列のできるラーメン屋も同じ様な話だったと思い出した。
    店に入るまでは自分の意志で並んでいるので気にならず、店に入ってからは店の都合で待たされていると感じる。
    厨房の処理能力が同じなら席数を減らして外で並ばした方が満足度が高い。
    ラーメン好きは話題の行列店を制覇したとの物語でも満足してくれる。

    ミネソタ州の交通局はランプメータリングという手法で渋滞を減らしていた。
    高速道路の本線に流入する車の台数を規制し渋滞を起こさないようにする手法だ。
    移動時間が短縮できるにもかかわらずこのやり方はあまり好かれていない。
    目の前で空いてる高速道路があるのに待たされるというのが我慢できないらしい。
    統計学者はランプでの待ち時間を一定時間までにするということで折り合った。
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    投稿日:2014.11.16

ブクログレビュー

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  • nastercal

    nastercal

    Kindle経由で。渋滞の話とディズニーランドの話は面白かったけど,そのあとはひたすら事例紹介で読み進めるのが辛かった。どういう検定法を使ってどういった解釈をするといった説明はなく,統計学を使った事件解決事例ばかりなので,実用書的ではなく,読み物的。統計を知っている方は最終章を読み,気になった部分の該当章を読み,巻末の文献集を活用すれば十分かも。続きを読む

    投稿日:2022.08.21

  • つくもなす

    つくもなす

    このレビューはネタバレを含みます

    統計的思考のカギ
    1. 平均化を嫌う不満分子
     平均より常に「ばらつき」に注目する
    2. 間違っているからこそわかること
     真実より実用性を優先させる
    3. グループ分けのジレンマ
     似た者同士を比べる。微妙な違いに目を光らせる
    4. 非対称がもたらす動揺
    (間違った陽性判定と間違った陰性判定) など2種類の間違いの相互作用に注意する
    5. 「不可能」が起きるとき
     稀すぎる事象を信じない

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.03.05

  • 読書家

    読書家

    このレビューはネタバレを含みます

    良本です。またまた統計学の本で、非常に面白いです。

    飛行機が墜落する確率は宝くじが当たる確率と一緒で、

    一万分の一の確率であり、

    毎日飛行機に乗れば2万7000年に一回墜落する可能性があるとのことです。

    そんな確率と同じ宝くじを私たちは日々買っているのですね。。。 そんな統計学の本のお気に入りは。

    ディズニーのファストパスはなぜあるのか。

    ファストパスとは優先予約券である。

    最近ではアプリでファストパスが取れるようになりましたね。

    しかし、このファストパスがあることによって、

    実際のアトラクションの待ち時間が「なくなる」のか。

    実際はアトラクションの待ち時間は「短く」ならない。

    ファストパスは待ち時間を「なくす」と誤解されているが、

    実際は列に並んで待つ代わりに、その場所から解放されるというだけで、

    食事をしたりして「待っている」のだ。

    ファストパスがあってもなくてもアトラクションの収容能力は変わらないのだから、

    より多くのゲストが乗れるようになるのはまずあり得ない。

    人間は待ち時間が長いという認識よりも、

    待ち列などが長いという「目に見える」認識の方が敏感に反応する。

    よって、時間よりも視覚的に短い方が顧客満足度は高くなる。

    アトラクションの前に並んでいる列は短く見えるが、

    多くの人が物理的に並んでいないだけだ。

    ファストパスの存在は実際の待ち時間には何にも影響していないということですね。。。 以前からファストパスはどのような効果があるのかは気になっていたのですが、

    このような形で知ることができるとは思っていませんでした。

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    投稿日:2020.02.21

  • yoshio2018

    yoshio2018

    統計的思考を持つと世の中のできごとがはっきりと見えてくることがある。10のエピソードでこの統計的思考はどういうものかを見せてくれる。でも、なかなか統計的思考を実践するのは難しいな。

    投稿日:2018.10.11

  • rashita

    rashita

    タイトルの「ヤバイ」に惹かれて購入。基本的に「ヤバイ」シリーズは面白い本が多い。

    が、期待した感じとはちがったエッセンスだった。おそらく私があまり統計学の本を読まないからそうなのかもしれない。

    般的な統計学は、「統計学ってこんな感じで事実をゆがめちゃってるんです」的な本が多いらしい(そう書いてある)。が本書は統計学を実地的に応用して、このようなメリットを作ってきましたという実例がたくさん挙げられている、

    個人的には、第一章の「ファストパスと交通渋滞」が面白かった。ディズニーランドで並ぶのと、高速道路の渋滞。これらをいかに「システマティック」に解決するか、あるいは「人間心理」からアプローチするかというのは、ある意味個人が仕事をする上で感じているジレンマへの対応に通じるものがあると思う。
    続きを読む

    投稿日:2018.10.09

  • japapizza

    japapizza

    先に読んだ「ナンバーセンス ビッグデータの嘘を見抜く『統計リテラシー』の身につけ方」の著者、カイザー・ファングの著書である。数字でできている世の中で、数字に振り回されないために心強い武器となるのが、統計的思考である。著書によれば、そのカギは、「平均より『ばらつき』にこだわること」「統計モデルの間違いを恐れないこと」「微妙な違いに目を光らせること」「種類の違う間違いのバランスを考えること」「極めて稀な偶然の一致を疑うこと」これら5つのカギを5つの省に分けて、実証的なエピソードを10紹介している。統計の本ではあるが、難しい算式や正規分布などは一切登場してこないのも、本書の特徴である。
    最も印象的だったのは、ディズニーのファストパスと交通渋滞の事例。
    「ディズニーの科学者は、感覚的な待ち時間と実際の待ち時間を区別して、前者を減らす工夫に力を注いでいる。」実質的な待ち時間は変わっていないのに、感覚的待ち時間を減らすことでゲストの不満を解消している。一方、交通渋滞の事例では、渋滞緩和のために導入されたランプメータリングについて、渋滞緩和に貢献していることが科学的に実証されたにもかかわらず、ランプメータリングのせいで渋滞が起こっているという大衆の不満の方が勝り、ランプメータリングを廃止したというもの。
    「実験により、この戦略の技術的な長所は実証された。ランプメーターで車の流れをスムーズにする効果のほうが、ランプメーターで待たされる不満を上回るのだ。ただし、ドライバーの知覚的な効果は違った。彼らは渋滞した高速道路で少し進んでは止まること以上に、ランプで止められて待つことのほうを嫌がった。」
    サービス設計を考える際は、このようなことを踏まえておく必要があることを身をもって感じた。
    続きを読む

    投稿日:2018.10.08

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