【感想】信長の棺 下

加藤廣 / 文春文庫
(56件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
5
19
24
0
1
  • 信長の「棺」ではなく、「遺骨」でしたね

     タイトルから、「失われた聖櫃」って感じになるのかなと思いきや、棺はどうでも良くって、遺骨が問題でしたね。なぜ棺を問題にしているのかなと思って読んだのですが、やはり日本の話なら、こうなるでしょうね。
     とはいえ、本小説は、それなりに面白かったですよ。暦の問題を出してくるところ等は、私にとって斬新でした。暦そのものに関しては、冲方 丁の「天地明察」の方がはるかに面白いですが、信長と朝廷との関係に暦がでてくるとは思っていませんでした。ましてや、安土城がそれに関係していたとはね。
     小説としては、時代小説でありながらミステリー的要素もあって、最後まで読者を引きつけると思います。ただし、これまで、このテーマの本を沢山読んでいる人にとっては、ちょっと肩すかしかもしれませんし、ミステリーファンとしても、食い足りないかもしれません。
     それから、牛一と若い忍者くずれとの情交は、必要ないですね。初期の伊丹十三映画を見るようです。どうしてもこういうシーンをいれたがるんですよねぇ。初めての作品だと尚更そうみたいです。あなたも好きでしょ?って言われている感じがします。伊丹監督も、「お葬式」以降は反省したのか、直接的な描写は避けるようになりました。この小説においてもヒロインを設けたかったのだとは思いますが、これは余分でしたね。ただ、ひょっとすると、老齢の男に若い女性という組み合わせは、筆者の願望だったのかも。
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    投稿日:2014.09.21

  • 信長公の名誉は守られた

     本作下巻に記述されている内容で一番驚いたのは秀吉が百姓の出身ではなく、「丹波人」だったということです。父、木下弥右衛門は丹波の竹細工師で蜂須賀小六や斎藤道三なども丹波の出身だったとは意外です。丹波の地は平安時代に落ち延びてきた京の貴族、藤原氏が住んでいたという内々だけの言い伝えも全く考えられないことはなく、興味深いです。

     さて、謎多き「本能寺の変」ですが、信長公の遺骸はどこなのか?に対する落としどころ。そこに向かって徐々にストーリーは展開していきますが、個人的には結末に向かっての謎解きが少し出来過ぎているように思えます。実際、牛一は何もしていません。関係者へのヒアリングや金銭で雇った配下の者から得た情報を掻き集め、ひとり唸っていただけです。それよりもある日源兵衛が連れてきた父娘ほど年の離れた女、楓のうら若き柔肌にご執心だったんですよ(笑)。そしてその楓が謎の紐解きをしたと言っても過言ではないです。織田家の菩提寺、阿弥陀寺の清玉上人の弟子入りとなった清如(権兵衛)が楓の伯父というのも出来過ぎかと。

     最終、信長公の亡骸があのような状態の中で守られてきたことが空しく思えて目頭が熱くなる思いでした。
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    投稿日:2015.09.23

  • 歴史の謎解きは楽しい

    タイトルの通り信長の遺体は何処にあるのかをベースに記録係の牛一の探偵の物語になっているので、歴史の好き嫌いにかかわらず誰でも楽しめるミステリー小説に纏められています。上下2巻の構成ですが長さを感じず苦無く読めるお薦めできる一冊です。続きを読む

    投稿日:2018.01.19

ブクログレビュー

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  • でんろく

    でんろく

    信長の遺体がどうなったのか?のクライマックス。
    歴史ミステリー小説と言われるのも頷ける。
    主人公の太田牛一の人間臭さと読者がオーバーラップするように自分はあらゆる場面で感じた。
    中小企業ビジネスの専門家なる故のキャスティングだと考えた。続きを読む

    投稿日:2024.03.27

  • khs5001e2503

    khs5001e2503

    織田信長の生涯を後世に残したいと考える隠居した筆奉行の話。

    執筆中に本能寺の変があり、執筆も滞る。

    しかも織田信長の遺骸が見つからないという。

    信長記の執筆と遺骸を探して、織田信長の最後をどのようであったかを知る歴史小説。

    主人公牛一の活躍が面白い。

    歳をとっても生きがいがあれば元気でいられるということが理解できる物語でした。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.02

  • Hopi

    Hopi

    本能寺の変と信長の死をめぐる歴史ミステリー。
    信長の伝記作者である太田牛一が信長の遺骸を探る過程の視点を通じて、明智光秀の謀叛に至る背景、豊臣秀吉の出自、織田信長の世界観、桶狭間をなしえた背景、様々な歴史の裏事情が明らかになっていきます。
    エンタメとして楽しく読了。
    続きを読む

    投稿日:2023.05.21

  • Madder

    Madder

    本能寺の変の謎が明らかに…てかこれが織田信長の死の真実なんでしょうか?歴史に疎くてホントのところは知らないのですが、物語としてこの結末には納得。太田牛一をこの本で初めて知りましたが、信長に惚れ込んでるところが凄く高感度高いです。ロイヤリティの高い…日本人ですねー続きを読む

    投稿日:2023.03.18

  • shilvio

    shilvio

    読みたかった「信長の-」がやっと文庫で出た。(2008.10.2HPの日記より)
    信長がどこで死んだのか真相を明らかにする内容が興味深かった。
    残念に思ったのは、最後に真相が明らかになる方法が一人の体験者の説明によるものだったこと。
    いろいろな糸がほぐれて自然と明らかになるストーリであれば最高だったと思う。(2008.11.30HPの日記より)
    ※2008.10.2購入
     2008.11.24読書開始
     2008.11.30読了
     2009.3.8売却済み
    続きを読む

    投稿日:2021.08.24

  • みな

    みな

    信長が逃げて亡くなった場所の推理はとても興味深く進んでいきましたが、結局は遺骨は確認出来てないのですね。
    いろんな面で本能寺の変はミステリー。

    投稿日:2021.03.22

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