【感想】信長の棺 上

加藤廣 / 文春文庫
(70件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
8
17
28
6
1
  • 歴史はミステリー

    なぜ、明智光秀は本能寺の変を起こしたのか?どこに、信長の遺骸は行ってしまったのか?の謎を伝記作家の太田牛一が追う。同時代に生きた人物が探偵役であることから、リアル感満載。「歴史とは勝者の作り話に過ぎない。」と自分の目、足で真実を見つけ出して行く。最後は大どんでん返しの結末。まさしく歴史はミステリーという感じ。加藤廣さん75才でのデビュー作というのも驚く。長い人生経験が物語の随所に深みを持たせている。
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    投稿日:2014.10.18

  • 書き手は、太田牛一

     この書き手がミソですな。架空の人物ではあまりにウソ臭い。かといって光秀、秀吉、家康が語り手では、それが必然的に現実にあった事になってしまう。これに対し、あの信長公記を書いた太田牛一が、見聞きしたり調べたり、そして想像したりした物語であると言うことにしてしまえば、その制約からは逃れられます。だから、信長は、こう思った。ではなく、信長様は、こう思ったはずだ。というスタイルになるわけで、実際の所どうだったかは関係なく、より想像の翼を広げられると言うことです。日本史最大のミステリーの一つである、本能寺の変に対して、これはうまいシチュエーションを考えたモノです。
     ただ、私がそもそも昔から疑問だったのは、なぜ光秀は、信長の本物の遺体にこだわったか、という点です。
     焼き討ちにあって、その上、消火設備がない木造建築。この状態では、消防にたずさわったことのない人でもわかるとおり、もの凄い熱と上昇気流で、現場は無茶苦茶だったはず。ならば、すべての遺体は見るも無惨な状態でしょう。最新のDNA鑑定でもない限り、どれが本物か、わかりっこない。となると、なぜ、光秀は、遺体をでっち上げることができなかったのかなぁ、と思うのです。これに対する答えを教えてくれる小説は、読んだことないなぁ。
     ま、それはそれとして全体の感想は下巻にて。
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    投稿日:2014.09.21

  • 歴史の周辺解説が多すぎる

     私達は歴史の授業で「桶狭間の戦い」とか「本能寺の変」など、単なる結果だけを学びましたが、こんなにも深く考えたことはないと思います。作者加藤廣氏が参考とした文献の多いことを見ても分かるように、相当ご苦労されて完成したものと推察しています。

     分かっているようで分かっていない「桶狭間の戦い」。頭を冷やして冷静に本作を読んでいくと「そういえばそうだ!」と、共感します。そしてその答えは意外な人物からもたらされるというネタバレが下巻に記述されています。「本能寺の変」にしても現に信長公や小姓の森蘭丸らの遺体が発見されていないと、何かで見聞きしたことがあるだけに興味津々となりました。

     上巻では『信長公記』の筆者、太田牛一(信定)の信長公に対する尊敬の念が強く押し出されています。前半、ややミステリー調に描写されていますが、「何故?」ばかりで一行に答えは得られません。公家近衛前久と明智惟任光秀との密会も確証が得られないまま。

     織田家弓衆から信長公の側近として書簡の管理や記録係を務めた太田牛一を、作者自身とオーバーラップさせている節が有ったりして、そこはちょっと苦笑してしまいました。
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    投稿日:2015.09.22

  • 時の移ろい

    歴史には数々のミステリーがあるが、その中でもトップクラスは、「本能寺の変」と思うが、すでに数々の物語が語られており最初はなかなか手に取れなかったが、この本は信長、秀吉の記録係の家来が中心となり進んでいくので調査と駆け引きと巧妙にミステリーに出てくる名探偵のような推理・推論が軽妙に語られており、登場人物は有名な武将ばかりだが、歴史物みたいな堅苦しさは全くなく読みやすく歴史の中に入り込めます。
    いよいよ下巻ではどんな棺が用意されているのか楽しみです。
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    投稿日:2018.01.19

ブクログレビュー

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  • でんろく

    でんろく

    信長公記を記載した太田牛一の信長公記を描く経緯を小説として描いている。
    太田牛一とはどんな人間か?
    桶狭間の戦いの真実は?
    などが推理小説風に感じる。
    下巻が早く読みたくなる。

    投稿日:2024.03.20

  • ノンストップヒデキ

    ノンストップヒデキ

     本能寺の変の直後から物語は始まる。変そのものには触れず、信長の伝記を書こうとする男の話。今、桶狭間の戦いが謎に包まれている。果たして、真実が描かれるのか。

    投稿日:2024.02.29

  • Madder

    Madder

    尾張一の大うつけ。妻は美濃の蝮斎藤道三の娘帰蝶。桶狭間の戦いで今川義元を破り比叡山延暦寺を焼き払う。本能寺にて明智光秀謀反により…が遺体は確認されていない。人間五十年殺してしまえホトトギス… 誰もが知る織田信長の知られざる真相は、下巻へと続く続きを読む

    投稿日:2023.02.25

  • scaramouche

    scaramouche

    このレビューはネタバレを含みます

    下巻まで読了。

    『信長公記』の作者・太田牛一が、本能寺の変の際に消えた信長の遺骸を探す、という筋の歴史ミステリー。
    主人公の描写として、信長への傾倒は一貫して描かれているが、物書きであることへの信念やこだわり、理想像などが曖昧に見えた点、また、特に後半において説明的な長台詞が多かった点など、少々読みづらさがあった。

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    投稿日:2023.01.27

  • kei

    kei

    太田牛一に焦点を絞っているところが面白い
    めちゃくちゃおもしろいというわけではないが、好きな人はのめり込む感じな気がする

    投稿日:2022.08.14

  • katsuya

    katsuya

    織田信長の死体が見つからないという歴史の不思議を題材にした一種のサスペンス小説。抜群の記憶力と表現力を持つ信長の記録係である太田牛一は、本能寺の変の直前に、信長から不思議な箱を預かる。そこから秀吉の治世となるが、依然として遺骨は見つからない。秀吉の命により信長の一代記を著しつつ、執念深く遺骨の行方を追い求めるが、さまざまな不思議や矛盾が現れる。桶狭間の戦いで、大大名の今川義元は、なぜ不用意に横道にそれ、信長の奇襲を許したのか。忠臣光秀はなぜ謀反を起こしたのか。秀吉の中国大返しはなぜ実現したのか。そして信長や側近の死体はどこへ消えたのか。この小説では、証拠はないがなるほどと思う仮説とストーリーで一節を投じている。信長と秀吉の知略のぶつかり合いが、もし少しでも信長に味方していたら、その後の歴史は大きく変わっただろう。大部分がフィクションとはいえ、十分に楽しめる一冊。続きを読む

    投稿日:2022.07.14

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