【感想】細雪(中)

谷崎潤一郎 / 新潮社
(76件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
19
34
15
0
0
  • 急転直下の中巻

    上巻から一転、災害や病や、様々な形での「別れ」など、普通の人の日常の中で普通に起こり得る試練が次々と訪れる。
    現代から100年も隔たっていないこの時代、人の心も文化ももしかしたら今以上に豊かなのだが、一番違いを感じるのは「死」のとらえ方。現代同様に悲しくも厳粛でもある一方、もっとずっと身近でありふれたもの、日常の一要素として、人々が「死」というものを淡々と受け止めている。
    古い物語を読んでいると、死があまりにも特別なものに思われる現代人の感覚の方が、むしろ生物として不自然なのかもしれないという気がしてくる。
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    投稿日:2015.09.03

ブクログレビュー

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  • 安美

    安美

    2024.1.4 読了。
    蒔岡家の4姉妹を中心に物語が進んでいく。個性の違う4姉妹が描かれる。

    中巻はやはり次女・幸子の視点で語られることが多く、物語の中心は四女の妙子という感じ。
    雪子とは対照的な新進的感覚と奔放さを持ち冷静でクレバーな女性というイメージが強かった。
    上巻同様本家は少し影が薄いように思えた。
    4姉妹はそれぞれの考えを持っていて、けして仲が悪いわけではないが考え方の違いによって行動が微妙にズレてしまう感じの表現が巧いと感じられたし、寧ろふとした時間ができて姉妹が集まった時などはお互い思いやりを持って過ごしている感じだった。
    フィクション作品ではあるけれど当時の時制を描き、それによって登場人物たちも変化していく。

    歴史に疎いので注解で詳しく説明してくれているのも有難かった。
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    投稿日:2024.01.04

  • 司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    三宅香帆さんの、「ジェイン・オースティン著、イギリス文学の『傲慢と偏見』を読んだ方におすすめする次の本」
    (『人生を狂わす名著50』三宅香帆著 ライツ社 の紹介より)

    「神戸の大水害で一命をとりとめた四女・妙子。が、新たな悩みが。
    時の流れの中であでやかに変転する四つの人生。
    雪子と対照的に末娘の妙子は自由奔放な性格で、男との恋愛事件が絶えず、それを処理するためにも幸子夫婦は飛びまわらざるをえない。そんな中で一家は大水害にみまわれ、姉の鶴子一家は東京に転任になる。時代はシナでの戦争が日ましに拡大していき、生活はしだいに窮屈になっていくが、そうした世間の喧噪をよそに、姉妹たちは花見、螢狩り、月見などの伝統的行事を楽しんでいる。
    谷崎潤一郎(1886-1965)
    東京・日本橋生れ。東大国文科中退。在学中より創作を始め、同人雑誌「新思潮」(第二次)を創刊。同誌に発表した「刺青」などの作品が高く評価され作家に。当初は西欧的なスタイルを好んだが、関東大震災を機に関西へ移り住んだこともあって、次第に純日本的なものへの指向を強め、伝統的な日本語による美しい文体を確立するに至る。1949(昭和24)年、文化勲章受章。主な作品に『痴人の愛』『春琴抄』『卍』『細雪』『陰翳礼讃』など。」
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    投稿日:2023.09.26

  • く

    板倉死んでしまった…!!雪子を応援していたので、雪子の出番が少なくて寂しかったが、妙子もなかなか面白いところがあり、読んでいて爽快だった。妙子のお嬢さんなのに、職業婦人として色々自立しようとしているところが良いなと思った。下巻楽しみ。続きを読む

    投稿日:2023.06.27

  • あけちゃん

    あけちゃん

    戦争の足音が忍び寄り、時代の流れには抗えない様相になる中でも、日本の文化的行事や生活様式を変わらぬ価値観で貫いて生きる四姉妹とその家族。我々が生きる現代の日本を思うと、歴史的に見ればほんの数年の第二次世界大戦を経て日本の文化や価値観が劇的に変わったのだと実感する。敗戦とはこう言う事なのかと。。
    結婚一つ決めるのも本家の許可が必要とか、戦後仕事も結婚も自由に選べる今を思えば生きづらい世の中だったとも思いますが、引き換えにならない程の今はなき良き日本もたくさんある。
    神戸の大水害が実際にあった事とは初めて知りましたが、家のしきたりに逆らい奔放に生きる四女妙子がこの大水害にも巻き込まれて九死に一生を得るなど益々波瀾万丈な人生となる一方、相変わらず結婚が決まらず前に進まない三女雪子の人生がより対照的となってくる様から目が離せない。
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    投稿日:2023.04.30

  • タイキ•キャワムリャ

    タイキ•キャワムリャ

    このレビューはネタバレを含みます

    人の死に直面しても、社会的体裁を気にしてしまうこと。これもまた当時の文化なのかと。家柄、前年踏襲の傾向など、今の日本で『それってどうなの?』といった考え方が普通であった時代を今一度見つめ直すいい作品だと感じた。今が良くて、昔が悪いのではなく、昔を知った上で、今をどうするべきかを考える良いきっかけになった。

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    投稿日:2022.11.05

  • nana

    nana

    上・中・下、三巻本の中巻。
    戦争の影の忍び寄る中、四季折々の暮らしを営む姉妹。
    大水害に遭うといった苦難もありながら、彼女たちの日々は続いてゆく。

    投稿日:2022.11.03

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