【感想】氷平線

桜木紫乃 / 文春文庫
(66件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
13
30
16
0
1
  • 活字でこそ楽しめる

    桜木さん独特の読後感です。どんより暗いお話なんですが、どこか主人公の強さとかちょっとした希望とかが見え隠れする独特の感じ。舞台が北海道っていうのがいいのかな?
    短編集なのがまたいいです。
    男性には理解できない女性の強さを感じます。
    この作者さんの作品は映画ではなく活字でこそ楽しめる作品だと思います。

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    投稿日:2014.07.20

ブクログレビュー

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  • ふち

    ふち

    北海道、雪と氷に閉ざされた薄暗い中で繰り広げられる男女のドラマを6編収録。恋愛モノと言えばそうなのだが、心ときめく話は無い。恋愛と言うより、性愛である。しかしエロくはない。純文学のような読後感。

    投稿日:2024.03.16

  • 沓

    雪が降る様は、緩慢な時の流れを思い起こさせる。一年のうち、三分の一はそれが続く。積もれば容易く抜け出せない要塞を築き、人々を中に閉じ込める。
    雪国に在って、しだいに神経が麻痺していくような感覚はわかる気がする。
    極寒の気候で熱はひときわ存在感をもち、痛みは研ぎ澄まされて鋭く、悲しみは沁み通る。
    寥々たる地を背景にすれば、生きた人間の輪郭は否が応でも太く浮き出てくる。

    あらゆる要素が舞台装置として、これ以上ないほど有効に機能している。
    故に、どの作品も「北海道でなくてはならない」と思わされる。もしも別の場所が舞台だったなら、まったく異なる印象をもったと思う。

    全体を通して、思ったことがもう一つある。
    和裁師、理容師、歯科医師…桜木さんの描く職人像がどれも好ましかった。
    倦んだ空気をまとった作品群の中で、自らの職務を矜持を持ってやり遂げる人々の姿は、晴れ晴れと描かれている。
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    投稿日:2024.03.13

  • 土瓶

    土瓶

    うん、悪くない。良かった。

    いつか読もうと思ってた作者であり、そのデビュー作を図書館で見かけたので借りてみました。

    北の大地を舞台に、普通に生きる、普通の人々の、男女の、普通の哀しみ、営み。

    んな感じの六篇の短編集。

    どうにもやるせない人間たちの姿が描かれています。

    話はわりとふんわり終わりますね。
    起承だったり、起承転だったりで、最後まで書ききらず、終わっている印象。
    それが味になってるのかな?
    表題作の「氷平線」だけが”結”までいってる。

    全然悪くないんだけど、ずっとこのパターンの作風なんだろうか。

    もっと読みたい気持ちもあり、飽きてしまいそうな気持もあり、って感じかなぁ。


    伊与原新さんの「月まで三キロ」にも似てるかなーと思ったけど、向いてる方向性が真逆とまでは言わないけど、けっこうな明暗の違いがあるな。
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    投稿日:2024.03.05

  • ハッピーアワーをキメたK村

    ハッピーアワーをキメたK村

    今回は特に渋いなあ。。。
    と思ったら、桜木紫乃さんのまさかのデビュー作
    卓越された描写力と人物造形力は既に健在
    収録されているのは六編だが、
    長編小説を読み終えた様な深い読後感がある

    オホーツク沿岸の冷たい大地とは対象的に、北の大地に人生をささげてきた家族や男女の関係が生々しい
    狭い社会の中でのままならない日常、行き場のない心はさまよい、温めてくれる他人を求める
    しかし、どの話にも出てくる女は逞しくブレない生き様だ

    良かったのは『霧繭』と『氷平線』
    『霧繭』は和裁師の女の話
    『氷平線』とは”水平線”ならぬ”氷水線”
    水平線のように広がる氷の大地のことであり、凍てついた海と空の境をなす線をいう
    あの頃を思い出し友江を手に入れたいと思う誠一郎
    誠一郎を思いながらも将来を見てしまう友江
    交わることのない二人の想いがどこまでも続く氷平線に溶けていく
    最後は衝撃が待っている

    雪虫、海霧、氷平線、出面取り等、北海道ならではの言葉に、より凍てつく大地の描写がリアルになった
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    投稿日:2024.02.10

  • mi-key

    mi-key

    オール讀物新人賞を受賞したデビュー作「雪虫」を含む、6編からなる短編集。
    デビュー作と知って読んでもなお、すでに桜木紫乃の世界が完成しているのでは、と思わせる。
    バブルが弾けて借金を負い、酪農を営む実家に戻りただ時間を消費するだけの生活に、幼なじみとの不毛な関係や、年老いた両親の鬱屈、地方の農村につけこむ昏い商売…。諦観の漂う物語に少しだけ出口の光が見えて終わる。
    どの作品も印象的だが、特に「水の棺」と「氷平線」のラストシーンの静けさが映像としていつまでも脳裏に残る。
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    投稿日:2023.12.31

  • planets13

    planets13

    針 1 本を武器に闘う意気込みに思わず背筋が伸びる思いがする (霧繭)。その一方で、別の世界へと望むことも歩みを進める原動力のはずが、そうはならない哀しさが心に突き刺さる (水平線)。

    投稿日:2023.12.24

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