【感想】オセロー ――シェイクスピア全集(13)

ウィリアム・シェイクスピア, 松岡和子 / ちくま文庫
(13件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • yuko-romarin

    yuko-romarin

    四大悲劇のうち、これだけが未読でした。
    これはご存知将軍オセローが部下のイアーゴによって妻を疑い殺害する悲劇です。しかし、こんな簡単に騙されるものだろうか…と素朴な疑問。

    そもそも事の起こりオセローが副官にイアーゴではなくてイケメン青年を抜擢したこと。それで嫉妬したイアーゴが画策して事件に至る。イアーゴはシェークスピア作品中最も腹黒い人物なのに他の登場人物はこぞって彼を「正直だ」と言う。一見正直で人当たりのいい人ほど腹の中はわからない…という事なんだけど…いい人って実は軽く見られてしまう。

    オセローもイアーゴを都合よく使っておきながら、彼の中の野望や出世欲に気付けなかった。いい人だから野望なんか持ち合わせていないと勝手に思い込んでいたのだろう。そういう点ではオセローの上司としての甘さと奢りが招いた悲劇とも言える。
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    投稿日:2023.09.29

  • 司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    「元老院議員ブラバンショーの娘デズデモーナと結婚し、幸福の絶頂にあるムーア人将軍オセロー。だが、部下イアゴーの策略により、その幸せは無残な結末を迎える。ハンカチ紛失事件でデズデモーナと副官キャシオーが不義の関係にあると確信したオセローは嫉妬に狂った末に―。シェイクスピア四大悲劇の傑作を待望の新訳で。」

    第三幕第三場
    ああ、用心なさい、将軍、嫉妬というやつに。
    こいつは緑色の目をした化け物だ、餌食にする肉をもてあそぶ。

    嫉妬というのは、やきもちのことです。嫉妬心があまりにふくらむと、心の中の憎しみでいっぱいになって、本当のことが見えなくなるんですね。これが「緑色の目をした化け物」だと、シェイクスピアは言います。みなさんも「緑色の目をした化け物」が自分の中に出てきそうなら、「ああ大変だ。オセローになっちゃう」と戒めるといいと思います。
    (斎藤孝『こどもシェイクスピア』第6章オセローより)
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    投稿日:2023.05.30

  • 一条浩司(ダギナ)

    一条浩司(ダギナ)

    このレビューはネタバレを含みます

    シェイクスピア四大悲劇のひとつ。日本人にも馴染みの深いゲーム、リバーシの商品名の由来元。黒と白は肌の色。

    テーマは「嫉妬」。シェイクスピアの他作品に比べると物語の構造は比較的単純で、わかりやすい話ではある。あらすじだけ見ても面白くないかもしれない。しかし実際の会話文に触れていくと読者にもドズ黒い感情が喚起され、嫉妬からくる苦悩という恐ろしい体験に巻き込まれてゆくところが、シェイクスピアのすごいところなのだろう。クライマックスに到るまでの盛り上がりが激しく、結末自体はおおよそ予想がつくものの、ラストのセリフでは予期しなかった感動を目の当たりにすることになる。

    天才的な悪知恵であるイアゴーへの怒りと、あまりに純真すぎるオセロへのもどかしい気持ちで、終始感情を揺さぶられながら、壮絶な結末に絶句しつつ、ラストのオセロの想いに感動する。嫉妬という人間普遍の感情にフォーカスした物語はシンプルながら強烈なものを心に残してくれたと思う。

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    投稿日:2022.09.15

  • 針槐

    針槐

    「嫉妬」の物語と解説されているが、その嫉妬を生み出した各自の劣等感(人種差別、階級差別など)を深掘りしたい。

    投稿日:2022.07.14

  • 田内千晴

    田内千晴

    このレビューはネタバレを含みます

    シェイクスピアおなじみの「思い込みによる悲劇」の上、
    登場人物が少なく企みの中心には
    常にイアゴーがいるのでとても読みやすかった。

    イアゴーが自身を積極的に悪役としている姿勢はリチャード三世を思い出させる。
    誰が見ても立派な軍人であるイアゴーが
    鬱屈したものを抱え込んでいるというのが熱い。
    四大悲劇の中では『オセロー』が一番好きかな。

    ハンカチを盗むのに関与していなければ、
    エミリアを純粋にデズデモーナの忠臣として見ることができたのだが……
    自分のした事が主人の災いになるというのが
    悲劇性を増すのだろうか?

    ともかく、オセローはじめ主要な登場人物が顛末を把握した上で終幕となる展開は好み。
    そういう意味ではすっきりと読み終えることができた。

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    投稿日:2022.02.17

  • nuhuaueo0

    nuhuaueo0

    読書会課題本。改めて読んでも面白い。今まで別訳に親しんでいたが、この松岡訳も悪くない。原文がどうなっているのか気になる箇所に、漏れなく注をつけている親切設計なのもとても良い。

    投稿日:2021.10.27

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