【感想】2001年宇宙の旅〔決定版〕

アーサー・C・クラーク, 伊藤典夫 / ハヤカワ文庫SF
(118件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
36
45
25
0
0
  • 映画の謎解きだけではない

    「2001年宇宙の旅」はどうしても映画を抜きに考えることはできない。
    映画では言葉による説明を省いてしまい、映像のみによって表現しようとしたため、難解な映画となったが、同時に映画史上に燦然と輝く傑作となった。
    映画があまりにも素晴らしかったため、相対的に小説の価値が低く見られることになったようにも思われる。
    久しぶりに読み返してみて、小説の方も決して映画に劣る物ではないと思った。
    モノリスは何なのか? なぜコンピューターHAL9000は反乱を起こしたのか? そして、ボーマン船長はどうなったのか?
    映画で謎となったことが小説では明らかにされている。
    また、映画とは異なった楽しみもある。
    映画では木星が目的地だったが、小説では木星の重力を利用して加速し土星へと向かう・・・
    映画の謎解きだけでなく、十分に楽しめる内容である。
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    投稿日:2013.10.15

  • 昔々その昔、名古屋には…

     かつて中日シネラマ劇場(後に名称変更の末廃館)という映画館がありました。当時、東洋一とも世界一とも言われていた大画面を持つ映画館で、そのとんでもない大きさのスクリーンは両端が湾曲しており、通常の映画を上映する際は、カーテンで画面を小さくしておりました。
     私はその昔、この映画館で、スーパーシネラマ方式にて上映されたSF映画の金字塔「2001年宇宙の旅」を鑑賞したことがあります。(私の記録ノートによれば、1979年3月6日、大学2年の時)
     すべてのカーテンが開け放たれ、通常の視野の範囲を優に超えるそのスクリーンの大きさの衝撃たるや筆舌に尽くしがたく、1度目は映像と圧倒的な音楽に、あっけにとられ、ただただ見入るばかり…。当時は入れ替え制などありませんから、飯も食わず、そのまま座席に座って2時間を超えるあの難解な映画を二回り見て、ぐったり疲れたあげく、それなりに自分で納得した結論をもって映画館を出た記憶があります。
     勿論、当時からアーサー・C・クラークの原作であることは知っていましたが未読で、今回電子ブック化されていることを知り、初めて原作を手にしてみました。
     冒頭で、映画と原作の関係を著者が解説してくれているのは、とても興味深く、また参考になりました。そして、細部における映画との違いはあるものの、映画の記憶はあまりに強くて、ところどころ映像がよみがえってきます。でも、やはり猿人が空中に放り投げた骨が、宇宙船に変わる、あの吸い込まれるような映像表現は映画ならではのモノですね。
     さて、30年以上の年月の経過を経て、今改めて読み返してみると、このストーリーには、この世の始まりを、必然のモノと考えるか偶然のモノと考えるかという宗教観の違いがよく表れている気がします。一神教と多神教の違いなのでしょうか。これを意識すると主題の意味が別物になるかもしれません。モノリスは仏教的思考からは出てこないんじゃないかな。
     兎にも角にも、2001年を過ぎたからといって、この小説や映画の価値が下がるわけでもなく、むしろ、より考えるさせられる作品となっている気がします。そけだけ、奥が深いと言うことですね。単なるSFで終わらない所以でしょう。
     ただ、映画の方は、DVDやリバイバル上映があるといっても、スーパーシネラマ方式で上映されることは、今後ないのでしょうねぇ。
     それが返す返すも残念でなりません。
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    投稿日:2014.04.19

  • 映画の謎が

    会話が少なく、謎めいた展開が続く映画版。
    小説版を読むとハルの反乱から、スターチャイルドまでの展開もキチンと説明されています。
    読んでから観れば、また変わりますよ。

    投稿日:2013.09.30

  • SF不朽の名作

    あまり説明の必要もないかもしれません、SF不朽の名作です。
    この後のシリーズも面白いですが、やはり1作目の「2001年宇宙の旅」が白眉です。
    読んだことのない人は是非!

    投稿日:2013.10.07

  • ドーン

    平野啓一郎の ドーン をきっかけに、これを読みました。ビックリするくらい面白かったです。更に映画も観ましたが、映画はこれを読んでおかないと、ちょっとわからないかな…。

    投稿日:2013.11.16

  • コンピュータであるHALの人間らしさ

    映画としてはあまりに有名な本作。
    映画ではあえて語られずにいた部分が、小説ではキレイに説明されており、映画を見た後の「・・・なんなの!?」という衝撃(フラストレーション?)はありません。
    小説版を読んで、改めて伝わってくるのは、HALの反乱の後の主人公の絶対的な孤独・・・。そして、巨大な宇宙の先で不意に現れた日常の風景のユーモラスさ。
    映画を見た人は、ぜひ本作も読んで見て、違いや好みを感じて欲しいと思います。
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    投稿日:2014.01.09

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ブクログレビュー

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  • ななみーん 最近はFeelcycleの感想

    ななみーん 最近はFeelcycleの感想

    映画視聴済み。
    映画とセットで楽しむべき本。
    昔の本なのにリアルな描写ばかりで凄いなと思った。
    ディスカバリー号の動くスピードは度外視されてたように思うし、惑星の温度(気温)も見積もりが甘いと思ったけどそれ以外は割とリアルだなと思った。
    ボーマンさんおつかれさまです。
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    投稿日:2024.03.10

  • papalonia

    papalonia

    このレビューはネタバレを含みます

    新版序文に、映画と小説の違いとか、普通にネタバレが書いてあって慌てて閉じた。自分でネタバレを書くんじゃないよクラークさん。読了後に読み直したら大したネタバレではなかったけども。

    猿の世界にモノリスが突如出現して、知恵を授けていくところからスタート。しかも道具を使ったりしていく教育という役目が終わったら姿を消す。このあたりだけは前知識としてなんとなく知っていた。
    そして急に時代は飛び、月の地面の数メートル地下にモノリスが埋まっている発見が。掘り出して太陽光に当てた瞬間に強烈な電磁波が発生するという、つまりは警報装置… こわっ。
    ここでフロイド博士が時間をかけて宇宙ステーション、そして月まで旅するシーンがなんかすごく良かった。話の流れとしては、「月でもモノリスが見つかりました」だけだから月スタートでも良いのに、地球から一人秘密を抱えて移動する博士を追うことで、この時代は宇宙開発がかなり進んでいることがわかりやすいし、そのシーンも丁寧に描写されているので想像しやすい。

    モノリスが見つかったあと、また場面は代わり、土星に向かうディスカバリー号でそこそこ平和に任務をこなす二人と、AIであるHAL9000。
    途中でHALがなぜかおかしくなり、EVAしている人と、コールドスリープをしている3名を殺し、なんとか生き残った一人がAI部分を抜き取ってHAL死亡。
    最初は結局HALがなぜ反旗を翻したかよくわからなかった。読了後にそこだけ読み直したところ、ボーマンとプールには秘密にしていた、モノリスの反応が土星を指し示している、明らかな知的存在の発見と、その探索のために土星に行くというミッションそのもののせいだった。HALはそもそもそのミッションのために存在しているのに、その理由を二人に秘密にしなければいけないという葛藤からミスをし始めていたし、最終的に人間皆殺しを決意するまでになった、と。AIこわぁ〜。
    フロイド博士が主人公かと思ってたけど、ディスカバリー号の章になってからほとんど出てこなくなったな。

    それにしても最後がよくわからなかった。ボーマンが土星のモノリスからワープしてどこかの太陽にある基地に吸い込まれたあと、知的生命により別次元の存在に昇華させられて、太陽系の次のモノリス的存在として、神に近い存在になったという… こと?
    まあ、知的存在が出てきてようこそってなるより、わからない方がなんかそれっぽいので全然良かったし、分かる必要がなさそうな展開ではあった。
    しかし、歓待されるシーンで飲み物の中身が青いムースみたいなものだったとか、本棚から本は取れないとかそういうところが地味にホラーだったな。結果としては、テレビ画面というか電波から再現したからということで安心したけど。

    続編に2010年と2061年があるのか。これは読んでみないと。

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    投稿日:2023.11.22

  • 4614

    4614

    このレビューはネタバレを含みます

    昔、映画を観て内容よくわからなかった…となっていた作品。読んでみるとこれまで自分が触れてきた小説やゲームなどの作品のなかに2001年の影響があるなと感じられたのは面白かったし、内容について自分なりにこうなんかあぁなんかと考えることができたので良かった!

    個人的に印象深いのがTMA•1が〈月を見るもの〉に最初に与えた豊かな暮らしへの羨望という所だった。道具を使う知性とかがヒトザルを人へと押し進めたものっていうのはなんとなく想像しやすかったけど、意志や心といった精神性はこれまで見過ごしてきたなと感じた。道具を用いるのにもそこに至る動機がなければ何も得られない。明確な目的を持ってはじめて道具に用途が産まれる。人間性と道具やテクノロジーの関係性について思わず考えてしまいました。
    今やスマホやパソコンといったインターネットの恩恵をただ享受するのではなくそこになぜそれが必要なのかを問う感情が必要なんじゃないかと、稲田さんの『映画を早送りで観る人たち』を読んだあとだからか考えてしまう。
    p94でiPadみたいな機器を使っているときのフロイドの独白「無限に移り変わる情報の流れをニュース衛生から吸収しているだけで、一生が過ぎてしまうだろう」も何やら響いてくる。
    道具に使われるのではなく、道具を使う側に回る。ハルとの戦いのシーンはハルのもつ目的意識を人であるボーマンが奪い返すことで人間性の再帰をはかるシーンに自分は思えた。
    解説や他の人の感想を見ていろいろな考え方ができる可能性を秘めていてこの本はさながらTMA•2みたいだなと思って少しニヤニヤしました。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.11.12

  • あまおと

    あまおと

    映画を観る前に原作読んでおこうと思い手に取った本、結果的には先に映画を観ればよかった。
    映画は退屈で、足りない部分・補完・状況含め小説の方が断然面白い。ただリアルタイムで観た世代は未来へのワクワク感や想像力、映像技術など心に残る一本になったのは理解できる。
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    投稿日:2023.07.24

  • MSTK

    MSTK

    <目次>
    ・ 新版序文
    ・ まえがき

    ◇第一部 原初の夜
    ◇第二部 TMA・1
    ◇第三部 惑星と惑星のあいだで
    ◇第四部 深淵
    ◇第五部 土星衛星群
    ◇第六部 スター・ゲートを抜けて

    ・ 訳者あとがき続きを読む

    投稿日:2023.05.23

  • 新垣新菜

    新垣新菜

    実家にあった本。暇なとき手に取り意味も分からず読んでいたものが生涯の一冊になったりするから人生は興味深いし、私がSF好きになったのは多分この本とセーラームーンの影響。

    投稿日:2023.04.17

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