【感想】終わらざる夏 中

浅田次郎 / 集英社文庫
(46件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
13
19
9
0
0
  • いよいよ、戦闘か?

    予想に反して、中巻でも戦闘は始まらず。しかし、登場人物の描写が深く、ひきこまれました。

    投稿日:2013.12.21

  • 凄い、面白い、考えさせられる大河小説

    上巻から予感があった以上の展開かなと。ノンフィクションであっても実際の人間ドラマがそこにあったのも事実。戦争や平和ばかりでなく人間そのものを顧みながら、自己を省みることも出来る実にamagingな小説だ。続きを読む

    投稿日:2015.01.09

  • 重い

    考えさせられる一冊
    いつの時代も人の為にいきる人 自分の職務にまっとうしようとする人 こう言う話は読んでいてひきつけられる 自分はこういう風に生きることが出来るだろうか?

    投稿日:2015.07.09

ブクログレビュー

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  • 近藤真弓

    近藤真弓

    疎開ってこんな感じだったんですね。
    私の故郷は田舎なので、食べるものには困らなかったと聞いているけれど。

    投稿日:2024.03.24

  • ysano911

    ysano911

    浅田次郎『終わらざる夏』集英社文庫 読了。終戦間際の夏、北千島の占守島で起きた知られざる戦い。盛岡管内における3名の補充要員(英語翻訳者、歴戦の軍曹、帝大医学生)の召集過程が丁寧に描かれる。登場する一人一人にささやかな夢があった。最後に出てきた藁半紙の辿ってきた道程に思い馳せたい。続きを読む

    投稿日:2023.12.09

  • ☆ベルガモット☆

    ☆ベルガモット☆

    このレビューはネタバレを含みます

    シュムシュはクリルアイヌ語の「シーモシリ」が訛ったもの、「美しき島」「親なる島」とのこと。定住に適さぬ火山灰地で出来上がっている、北千島唯一の丘隆地と草原に被われた島。一年のうち七か月は雪と氷にとざされるという。
    片岡のひとり息子譲と同じ学校の上級生静代が疎開先の信州から抜け出し父母のいる東京へ向けて歩いている状況、疎開経験のある我が両親の子供の頃と重ね合わせてしまう。
    「この星明りの線路が、戦争のない世界に続いていると信じた」

    ロシアは軍事上の必要性、太平洋への進出路を失うから樺太よりも千島国境を重要視していた。明治八年「樺太千島交換条約」により樺太の全土と交換に全千島列島を日本の領土としたのは世界外交上の大成果、日露戦争賠償で樺太獲得、石炭石油採掘権えるなど北辺の主導権握ることとなった。
    日本の領土になったところには陛下のご名代として勅使が差遣という魂入れ、欧化政策による天皇の神格化、国家的求心力に利用されたという説明あり。
    缶詰工場に働く女子挺身隊員の石橋キクが学年総代として卒業式には全員セーラー服をきさせてほしいと交渉に敗れた様子は切なすぎる。
    譲と静代が歩き疲れた夜に身を寄せた、鴨居に夫や息子と思われる写真が並ぶ白髪のおばあさんちでのお芋とお米を炊いたお粥は体を芯から温めてくれそう。子ども同士の言葉少ない互いの立場を思いやるやりとり。
    通訳を必要とする理由が語られ、長い夏が終わる予感。

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    投稿日:2023.09.20

  • tamazusa_do

    tamazusa_do

    このレビューはネタバレを含みます

    片岡直哉(かたおか なおや)の息子で小学四年生の譲(じょう)は信州に学童疎開していた。
    もう一年近くになる。
    食べるものが乏しく、子供たちは来た頃よりも皆、一貫目(約3.75kg)ほども痩せた。
    24時間、子供達を守らなくてはいけない先生たちの苦労も大変なもの。
    自分では否と思うことを子供達に吹き込まなくてはいけない事が一番の苦しみだろうか。
    「あなたたちの本分は勉強です」と、言外にさまざまな思いを込めて言い聞かせることしかできない。
    ホームシックの限界に来ている子らを見守るのも辛い。
    実家に出す手紙も、実家から来る手紙も検閲することになっている。
    良心ある教師はそれもつらい。
    片岡譲の担任の小山雄一、六年生の吉岡静代を担任する浅井マキ子は、二人の子供がしっかりしているからと信じて手紙を読ませるが・・・

    片岡直哉たちが配置される、北の最果ての島、占守(シュムシュ)島には、なんと民間の缶詰工場があった。
    民間といっても、軍の命令で動いている。
    撤退したいのに許されず、函館の女学校を出た女子挺身隊も働いている。
    工場の責任者である森本健一は、なんとしても彼女たちを守ろうと思っている。

    そういえば、この本には「悪い人」が出てこない。
    強いて言えば、小山や浅井の上司に当たる教師かな。まあ、体がデカいだけで、器は小さいけどな。
    戦争が悪いのであって、人は悪くない、という事なのだろうけど、戦争は自然災害とは違う。
    いつまでも戦争を終わらせたがらず、国民を苦しめている奴らが確かに存在しているはずなのだ。

    片岡たちは皆、岩手の出身だから、地元が描かれる時は岩手弁の会話だし、鬼熊こと富永軍曹は常に岩手弁だ。
    なんとなく宮沢賢治を思い出すなあと思っていたら、「星めぐりの歌」と「雨ニモマケズ」が出てきた。
    満天の星と、東北の自然と、素朴な心の美しさが、非情な現実との対比になっている。

    片岡二等兵、菊池軍医、富永軍曹の三人はいよいよ占守島に着任する。
    片岡の役目は最初から書かれていたけれど、後の二人の役目は・・・う〜ん・・・そんなのありか。

    スーパーで「マルハニチロ」の商品を見つけ(ゼリーだった)なんだか胸がせまる。

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    投稿日:2023.07.27

  • saga-ref

    saga-ref

    片岡夫妻の息子・譲の疎開先の描写から、譲と静代が東京を目指した逃避行の場面から、千島列島の領有権を大日本帝国はおろそかにし、クリルアイヌの人々の居住権すら侵した歴史的背景の説明を挟み、富永軍曹、片岡二等兵、菊池軍医少尉が運命に引き寄せられて、無傷の戦車第十一連隊が守備する占守島に来着するまでの息もつかせぬ展開。本当の任務を告げた方面軍参謀・続きを読む

    投稿日:2023.03.19

  • じゅう

    じゅう

    「浅田次郎」の戦争小説『終わらざる夏』を読みました。

    「半藤一利」の『新装版 太平洋戦争 日本軍艦戦記』に続き、第二次世界大戦関連の作品です。

    -----story-------------
    〈上
    1945年、夏。
    すでに沖縄は陥落し、本土決戦用の大規模な動員計画に、国民は疲弊していた。
    東京の出版社に勤める翻訳書編集者「片岡直哉」は、45歳の兵役年限直前に赤紙を受け取る。
    何も分からぬまま、同じく召集された医師の「菊池」、歴戦の軍曹「鬼熊」と、「片岡」は北の地へと向かった。
    ―終戦直後の“知られざる戦い”を舞台に「戦争」の理不尽を描く歴史的大作、待望の文庫化。
    第64回毎日出版文化賞受賞作。

    〈中〉
    「片岡」の一人息子「譲」は、信州の集団疎開先で父親の召集を知る。
    「譲」は疎開先を抜け出し、同じ国民学校六年の「静代」とともに、東京を目指してただひたすらに歩き始めた。
    一方、「片岡」ら補充要員は、千島列島最東端の占守島へと向かう。
    美しい花々の咲き乱れるその孤島に残されていたのは、無傷の帝国陸軍、最精鋭部隊だった。
    ―否応なく戦争に巻き込まれていく人々の姿を描く著者渾身の戦争文学、中編。

    〈下〉
    1945年8月15日、玉音放送。
    国民はそれぞれの思いを抱えながら、日本の無条件降伏を知る。
    国境の島・占守島では、通訳要員である「片岡」らが、終戦交渉にやって来るであろう米軍の軍使を待ち受けていた。
    だが、島に残された日本軍が目にしたのは、中立条約を破棄して上陸してくるソ連軍の姿だった。
    ―美しい北の孤島で、再び始まった「戦争」の真実とは。
    戦争文学の新たなる金字塔、堂々の完結。
    (解説/「梯久美子」)
    -----------------------

    集英社が出版している月刊小説誌『小説すばる』の2008年(平成20年)6月号から2009年(平成21年)10月号に連載された作品で、第64回毎日出版文化賞受賞作です… 歴史の闇の中になかば隠れつつあった太平洋戦争終戦後(もしくは終戦準備・戦闘停止 期間中)における占守(シュムシュ)島での戦いにスポットをあてた物語、、、

    1945年(昭和20年)8月9日、ソ連は日ソ不可侵条約を一方的に破棄して対日参戦… ポツダム宣言受諾により太平洋戦争が停戦した後の8月18日未明、ソ連軍は占守島も奇襲攻撃し、ポツダム宣言受諾に伴い武装解除中であった日本軍守備隊と戦闘となり、戦闘は日本軍優勢に推移するものの、軍命により21日に日本軍が降伏して停戦が成立、23日に日本軍は武装解除されたが、捕虜となった日本兵はその後大勢が法的根拠無く拉致され、シベリアへ抑留された という史実を忠実に辿りながら、アメリカとの和平交渉の通訳要員として兵役年限直前の45歳で招集された翻訳書編集者「片岡直哉」、岩手医専卒・東京帝大医学部の医学生で軍医として招集された「菊池忠彦」、大陸でたてた手柄で金鵄勲章を授与された鬼軍曹で4回目の招集で占守島に送られた「富永熊男(鬼熊)」の三人の登場人物を軸に、過酷な状況下での人間の本質を照射しつつ、それぞれの場所で、立場で、未来への希望を求める人々を描いた巨編(上・中・下で約1,050ページ)です。

    重層的で物語の奥行が深く、人物造形にも優れている作品だったので、読んでいるうちに、どんどん作品の中に引き込まれていき、登場人物の目線で物語が展開していく感覚で読み進めていくことができました… 『終章』では、辛いとか、哀しいというよりは、胸が苦しくなるような気持になり、「鬼熊」の母親に宛てた手紙や、少年兵「中村末松」の遺した押花帖が出てくる場面では、涙が止まりませんでした、、、

    戦争は終わったのに、戦闘が始まる… この大いなる矛盾の中で、戦う兵、死にゆく兵、戦争の禍々しさと非情さ、そして愚かさに胸を打たれましたね。

    終盤の戦闘シーンは、その少し前から登場していたソ連の現場第一線の兵からの目線で描かれているのですが、彼らもまた、終わったと思っていた戦争で、再び命を賭して闘わなければならないという矛盾を抱えながら行動しており、戦争というものの非情さや非人間的な部分が、巧く描かれていたと感じました、、、

    この戦闘の矛盾を訴えた「アレクサンドル・ミハイトヴィッチ・オルローフ中尉(サーシャ)」の報告書には共感する部分が多かったですね… 略奪を目的とした大義なき作戦行為は、現場では誰も望んでいないんですよね。

    不条理な戦争(戦闘)に、国土とそこに暮らす人々を守るために誇り高く戦った人たち… 軍人も民間人もそれぞれの誇りと愛するものを守るために戦ったんですよねぇ、、、

    久しぶりに読書しながら泣いちゃいました… 涙が止まらないほど感動した、忘れられない作品でした。



    以下、主な登場人物です。

    「小松少佐」
     大本営参謀。参謀本部編制課動員班の動員担当者

    「甲斐中佐」
     陸軍省軍事課員。参謀本部編制課に合流

    「佐々木曹長」
     盛岡聯隊区司令部第三課動員班長
     
    「蓮見百合子」
     盛岡聯隊区司令部の庶務係。岩手高女の女学生

    「遠山敬一郎大佐」
     盛岡聯隊区司令部司令官。地元の名士

    「佐藤金次」
     滝沢村役場の戸籍係兼兵事係

    「勇」
     滝沢村役場の給仕の少年

    「片岡直哉二等兵」
     東京外国語学校卒の翻訳書編集者。岩手県の寒村出身。
     英語通訳として招集され占守島に向かう

    「片岡久子」
     片岡の妻。女子高等師範卒の文学書編集者

    「片岡譲」
     片岡の息子。国民学校四年生。信州に集団疎開しているが疎開先を抜け出す

    「吉岡静代」
     譲と同じ国民学校の六年生。信州に集団疎開している。譲とともに疎開先から東京を目指す

    「小山雄一」
     国民学校の教師。四年男子学級の担任

    「朝井マキ子」
     国民学校の教師。六年女子学級の担任

    「岩井萬助」
     渡世人。懲役に服していたが、召集のため放免される

    「尾形貞夫」
     片岡と同じ出版社に勤める、翻訳書出版部の部員。
     警視庁で洋書や英文記事の検閲を行う

    「尾形佐江」
     尾形の妻。夫妻で久子の住まいに引っ越す

    「野中良一」
     久子の異父弟。フィリピンで戦死

    「野中きぬ」
     久子の母。久子の父親との離婚後、良一の父親と暮す

    「安藤仁吉」
     東京で岩手県出身者たちの面倒をみる篤志家

    「菊池忠彦軍医少尉」
     岩手医専卒の医師。東京帝大医学部に在籍。
     招集されて占守島の軍医となる

    「富永熊男軍曹」
     盛岡のタクシー運転手。金鵄勲章を授与された軍曹。
     四回目の招集で占守島へ向かう

    「吉江恒三少佐」
     第五方面軍司令部参謀。敗戦処理の任務を負う

    「大屋与次郎准尉」
     戦車第十一聯隊第二中隊段列長。旭川出身

    「中村末松兵長」
     戦車第十一聯隊第二中隊段列の少年兵。東京出身

    「池田大佐」
     戦車第十一聯隊長

    「岸純四郎上等兵」
     南方帰りの船舶兵。三陸の宮古出身

    「工藤軍医大尉」
     野戦病院の軍医。菊池の岩手医専での先輩

    「渡辺中尉」
     第九十一師団副官。札幌出身

    「森本健一」
     日魯漁業社員。占守・幌筵島の漁場と缶詰工場の責任者

    「石橋キク」
     缶詰工場で働く女子挺身隊員。函館高女の卒業生総代

    「沢田夏子」
     缶詰工場で働く女子挺身隊員。キクの同級生

    「ヤーコフ」
     占守島出身のアイヌ。色丹島の診療所で助手を務める

    「池田大佐」
     戦車第十一聯隊長

    「アレクサンドル・ミハイトヴィッチ・オルローフ中尉(サーシャ)」
     ソ連軍の将校。シベリアに住むコサックの子孫

    「ボクダン・ミハイトヴィッチ・コスチューク兵長(ボーガ)」
     ウクライナ出身のソ連兵
    続きを読む

    投稿日:2023.02.27

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