【感想】バゴンボの嗅ぎタバコ入れ

カート・ヴォネガット, 浅倉久志, 伊藤典夫 / ハヤカワ文庫SF
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
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  • ヴォネガットの観た50-60年代アメリカ

    第二次世界大戦中、兵士も捕虜も経験したカート・ヴォネガットは、アメリカ文学を語る上で重要な人物です。彼の作品を数多く翻訳している浅倉久志氏と、伊藤典夫氏の訳による本書は、1950年代、60年代にヴォネガットが雑誌に寄稿した短編を集めたもので、ヴォネガットの初期作品集ということになります。文明批判や権力の集中を憂う作家として知られていますが、本作には特有のシニカルはありつつも、全体としては非常にリーダビリティの高い作品になっています。戦争経験を活かした作品など、5-60年代のアメリカが抱えた雰囲気を反映した作品で、不幸な結末であろうとも彼の視線はいつも温かい。(スタッフO)続きを読む

    投稿日:2013.09.20

ブクログレビュー

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  • bukuroguidkodama

    bukuroguidkodama

    どれもいかにも寓意富む作者らしい短編集
    ただ作者作品の愛好家でもなければ
    あらためて開く価値あるような発見は感じなかった
    出自やSFとつく文庫だからといって内容に関係なくSFとレッテル貼られるのは
    者が亡くなろうがいつまでもたぶんどこまでも変わらない続きを読む

    投稿日:2018.12.09

  • harinezuminami

    harinezuminami

    「貧しくてゆたかな町」に喝采、ブラヴォー!
    初カート・ヴォネガットである。一編一編が一筋縄でいかず読むのに時間がかかった。高校のマーチングバンドの指揮者ものはとびとびに数編入っていて、そんな構成もおもしろかった。続きを読む

    投稿日:2018.10.14

  • よおこ

    よおこ

    私の好きなヴォネガットはSF作家なのであるが、この本にSF要素はかなり少なく、なので、しっくりこない作品が多かった。

    投稿日:2015.12.23

  • ayatachibana

    ayatachibana

    ヴォネガットにももちろん下積み時代というものがあったんだなあ、と思う。ブラスバンドの先生の話が好き。

    投稿日:2014.01.02

  • いなえしむろ

    いなえしむろ

    ヴォネガットの未読短編集。けっこう『まっとうな』短編で驚いた。

     SFっぽい色の「死圏」はまぁまぁかな。次の「記憶術」はピリっとしないオチがイマイチ。アイデア勝負の「お値打ちの物件」は読める展開で面白くない。どんでん返しが決まる「パッケージ」はいつもの味が出ていていい感じ。オチがわからない「才能のない少年」は再読の必要があるかなぁ。

     「貧しくてゆたかな町」では、効率が全てではないぞって主張がバッチリ表現される。わかりやすい作品。ラスト一行もよい。好きな作品だ。戦争が前面に出る「記念品」もわかりやすいと思うのだが、真に理解できたか疑問。これまた戦争が絡む「ジョリー・ロジャー号の航海」もなにか見落としている気がするから再読候補だな。

     愛情にあふれるけど、破天荒な旦那の性格はあまり変わらないオチがおもしろい「カスタムメードの花嫁」。恋が少年を変える!ってなボーイ・ミーツ・ガールみたいな「野心家の二年生」はまぁまぁかな。

     タイトル・チューンの「バゴンボの嗅ぎタバコ入れ」は帰ってきた軍人が昔の彼女のところに行くが、思いがけず叩きのめされて妻のもとにごろにゃんするお話かな。なんかここまでのお話はどれもあっさりし過ぎてるなぁ。そこで「パウダーブルーのドラゴン」が登場するが、私が好きな車の話だが、少年が苦労して手に入れた夢の車をぶっ壊す気持ちがわかりにくかった。

     物騒な用心棒が主役の「サンタクロースへの贈り物」は痛快な結末がうれしい。同じハッピーエンドパターンは「無報酬のコンサルタント」も。美女の夫の苦悩が解決されていく。お決まりのオチ「あわれな通訳」の辺に来ると、あまりに切れ味が鈍い作品群に嫌気がさしてくる。これがあのヴォネガット?

     「女嫌いの少年」も同じ登場人物なのはわかりやすいが、平凡。「自慢の息子」になると、『犬と息子への愛の区別がつかない』と豪語していたヴォネガットはどこにいったのかと思う。さらに「恋に向いた夜」では、月夜の恋の物語。う~ん、これって期待とは違うなぁ。

     さらに「夢を見つけたい」では、父と息子がテーマである。どうなっているのって感じ。そして「駆け落ち」は少年少女の恋を笑う。これ現実的でヴォネガット風だなと、読者である私に少し笑みが戻る。キルゴア・トラウト作品の「2BRO2B」には大いに期待。さすがにSFタッチで小気味よい作品だ。これこそ彼の作品だと思う。

     「失恋者更生会」もぴりっとしない物語に思う。ハッピーエンドだからなのか、物語の中核をなす本の意味がわからないからかもしれない。

     既読の「魔法のランプ」だが、こっちの改訂版は残念だが駄作である。黒人差別に読めたのかもしれないオリジナル版の方がはるかに良い。エンディングが全く異なるから。貧しい人はそれ相応の・・・ってエンディングよりも、貧しかったけれどすべての夢が叶うオリジナルが断然によい。ある意味、改訂版の方がヴォネガットらしいといえばらしいのだが。

     「雑誌作家としてのキャリアに関する結び」では「パウダーブルーのドラゴン」「女嫌いの少年」「魔法のランプ」が作者自身の手で書き直されたことが明言されている。最初の2作はわかんないが、ランプだけは書き直すべきではなかったと思うな。

     総じて、どうもまともなお話ばかりで面白くなかったといえる。前書きの『創作講座101』はとっても面白かったのだがね。8つの教訓! さて、次は未読の第一短編集に取りかかりたい(吹田の図書館には所蔵されていないのが困ったちゃんだ)。
    続きを読む

    投稿日:2013.02.21

  • betchy

    betchy

    SFもあり、ちょっといい話風な短編もあり、の短編集。
    序文などにもある通り、テレビが普及する前の時代、雑誌の読み物が一般的な娯楽として広く楽しまれていた頃に雑誌に掲載されていたもの。
    古きよきアメリカ、的な香りもし、同時に、皮肉のきいた社会批判も織り込まれていて、まだ作家として駆け出しの頃のものでありながら、独特の個性が感じられます。
    いちばん印象に残ったのは、「パッケージ The Package」かな。

    ちょっと先の未来(書かれた当時はだいぶ先の未来、だったはず)の話、という設定。
    苦労して事業を成功させ、念願の新型住居を購入したアールとモードのフェントン夫妻。
    世界一周旅行を終えて新居に帰ってきた二人のもとに、チャーリーという男が訪ねてくる。
    彼はアールの学生時代の級友で、裕福な家庭に育ち医者になった男。
    苦学生だったアールは裕福だったチャーリーに対し、コンプレックスのようなものを抱いていた。
    今や成功者となったアールのもとにやってきたチャーリーは、擦り切れた服、ほこりまみれの靴、といういでたち。
    きっと金を借りに来たのでは、と思ったフェントン夫妻は――という話。

    短めの短編が23編も入っていて、あまり読書慣れしていない人でも読みやすいし、内容も楽しめると思います。

    娯楽小説的に書かれているけれど、垣間見える姿勢、のようなものが個人的にはとても好き。
    2007年の4月に亡くなってしまったんですね、この人。
    新作を楽しみに待つ、ということがないのは残念です。
    そういう楽しみ方をしたかった作家です。
    続きを読む

    投稿日:2010.08.30

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