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コニー・ウィリス, 大森望 / 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ (27件のレビュー)
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コニー・ウィリス8年の集大成
「ブラックアウト」「オール・クリア1」「オール・クリア2」通しての感想。 厚い!紙で読んだのだが、1冊目を手にしたとき、あまりの厚さに読む前から心が折れそうに…。3冊で、400字換算3,500枚。当初…もっと長かったものを、必死でこの長さに収めたらしい。どれだけ長いの、コニー・ウィリス。まさにこういった本こそ電子書籍向けではあるのだけれど、「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」の装丁も格調高く捨てがたい。 読み始めると、この分厚いページがみるみる減って楽しくなる。特に「ブラックアウト」終盤1/4はものすごい疾走感。物語に完全に入り込んでいるため、単語を見た瞬間に状況が理解できてしまう。プロットだけを考えるともっとコンパクトにできるはず、と冗長に感じるけれど、物語ピークでの加速感は、飽きるほどひたすら描き込まれた助走期間があればこそ。 舞台は、第二次世界大戦中のロンドン。タイムトラベルしてきた学生がトラブルに巻き込まれ…という物語。歴史や地理などの背景知識が全くなくても十二分に楽しめたが、知識があればもっと楽しめたのでは、と感じてしまったのは残念。 タイムトラベルSFでは「パラドックス」の処理が肝心。本書では、流行りの量子力学的に煙に巻くでもなく、「感覚的に理解できる」パラドックス解決法が提示されている。しかし登場人物はこの解決法に疑問を抱き、実は…。このテーマが、物語を構成する単なる「ギミック」にとどまらず、登場人物の心の動き、そこから紡ぎ出されるストーリーの根幹に影響を与えていく。この処理がお見事。 章構成も、短い章構成で時間・場所をシャッフルする中に、「叙述トリック」を紛れ込ませていく巧妙な構成。二転三転する登場人物の名前がトリックの要。一見誤植かと見逃しそうな中にヒントが埋め込まれており、本当は再読して解き明かしたいところ。ただこの長さでは…。 今だからこそ3冊連続して読むことができ、久々の濃い読書体験ができたのは幸せだった。続きを読む
投稿日:2013.12.22
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kemukemu
『ブラックアウト』に続き『オールクリア1』500ページ二段読了! 前作より更に「迷子の不安」はエスカレート これから起こることがわかって、回避しなければならない「焦り」に、わかっていたはずの未来が変…わってしまうことで、何も知らない状態になることへの「不安」が交錯する。 誰にも話せない「不安」 閉じ込められる「不安」 誰にも知られず 死んでしまうかもしれない「不安」 第二次大戦のロンドン大空襲は、日本ではあまり知られておらず、映画「空軍大戦略」が思いつく程度。 破壊された都市の風景と、その中で必死に日常を守ろうと格闘する心情は、その時代に生きる人しかわからない。 テンポよくリズムよく描かれて、読み進めるのにストレスは少ない。 さあ、完結編『オールクリア2』へ突入!続きを読む
投稿日:2020.12.12
popcherry
前作を読み終わったとき、何故これをすぐに借りておかなかったのか後悔した。 また、いいとこで終わる! 次はもう手元にある。 解決編、いくぞ。
投稿日:2018.04.06
やすお
「ブラックアウト」の続き。続篇の「オールクリア2」まででひとつの物語になる。本書は物語の途中なので、中弛みを感じてしまうが、第二次世界大戦中の英国で3人が元の時代に戻れなくて奮闘するのに興奮してしまう…。3人が予定通りのタイムトラベルができなかった理由は徐々に明らかにされていく。もしかしたらどんでん返しがあるのかもしれないが、ラストに向けて怒濤の展開を期待せざるをえない。そもそも時空で迷子になった3人は元に戻れるのだろうか。戦時中の一般市民の情景をリアルに表現したこの物語は、長いけれどそれほど無駄はないストーリーだ。これからどのようにまとめられるのか楽しみである。続きを読む
投稿日:2016.05.17
消息子
2060年のオックスフォード大学史学部、タイムマシンを使って、学生が過去の時代に旅行してフィールドワークをしているという設定のシリーズ、『ブラックアウト』の続編であるが、長くなってしまったのでひとつ…の長編を『ブラックアウト』『オールクリア』、すなわち第二次大戦中のロンドンの灯火管制とその解除をタイトルに2分冊にしたもの。日本語訳ではさらに『オールクリア』も2分冊になってしまった。 評者も最近、フランケンシュタイン産業のロンドン、裏ロンドン、クラーケン神のロンドンなど結構ロンドンに行っているのだが、オックスフォードの航時史学生もたくさんロンドンに行っている。第二次大戦下のロンドンに。 そのうちの3人。 マイクは史上最大の救出作戦ダンケルク撤収を遠目に観察する予定が、もろそれに巻き込まれてしまい、負傷し入院、降下点に行けなくなる。アイリーンを名乗るメロピーはロンドン郊外で疎開児童を観察するが、帰還予定日直前、はしかの流行で隔離されてしまう。ポリーはデパート店員となってロンドン空襲下の市民生活を観察するが、帰還予定となっても降下点が開かないことに気づく。 過去に旅立つ前、オックスフォード大学史学部では、ダンワージー教授が渡航スケジュールを大幅に変えさせていて、てんやわんやしていたが、「向こう」で何かあったのか、それとも、自分が歴史を変えてしまったせいではないのか。3人は不安になりながらロンドンで落ち合う。はい、これが『ブラックアウト』のあらすじであります。 『オールクリア1』の表紙は欧州戦勝記念日のロンドンの光景なのだが、それがなぜここにあるかといえば、本館冒頭でメロピーはすでにこの日にロンドンに来ていることが明かされているからである。このことはあとで重要な問題となってくる。 1人だけ1940年に取り残されたのではなく3人がまとまったのはよかったが、今度は、2060年に戻る活動のために別行動をせざるを得なくなると、このケータイのない時代、連絡がつかないと仲間の安否がたとえようもなく心配になる。読者もいっそ1人のほうが楽だという気分になるくらいだ。 『ブラックアウト』では3人それぞれが降下先で様々な困難に遭い、さらに降下点が開かないことに気付き、という展開で、話の進みはいささか散漫だったが、本館では3人で協力して2060年に戻ろうとするプロットに集約してきて、俄然面白くなってくる。 史学生が戻ってこないと来るはずの回収チームが来ないのはタイムトラベルに何か不具合が起きた可能性がある。ただ、同時代に他にもロンドン周辺に来ている史学生がいるはずで、うろ覚えの記憶を頼りにその史学生ジェラルドを探し出し、一緒に帰ろうというのが当面の目論見である。何しろうろ覚えなので、ジェラルドがどこに行くと言っていたのか思い出せない。地名を思い出すために地図を手に入れねばならないが、戦時下ロンドンではドイツのスパイに情報を与えないために、地図も手に入りにくい。地図を持っているのは、悪戯のかぎりでアイリーンを苦しめた疎開児童ホドビン姉弟だ! そうこうするうち、2060年では異常に気づいたダンワージー先生が自ら1940年ロンドンに降下する。しかし── 『オールクリア1』の終盤にかけて、3人の決死の脱出劇は、ロンドン空襲の激化とともに大いに盛り上がる。ホドビン姉弟大活躍。もちろんまだ「2」があるから、オックスフォードに戻れないことはわかっているんだけど。 あ、それからミステリ・ファンのみなさん、アガサ・クリスティーが出てきますよ。続きを読む
投稿日:2016.02.04
kitarouchan
空襲の場面は少し怖かった。先の見えない中を無我夢中で生きている、頼る者も無く‥‥ それにしてもポリーはなぜあんなにいろんな事を内緒にしようと思うのだろうか?
投稿日:2015.10.14
yuyuchi84
イライラは募る一方ですな。同じ空襲でも、本作のロンドン空襲と、例えば『ガラスのうさぎ』で描かれた東京大空襲、『ものすごくうるさくてありえないほど近い』のドレスデン大空襲とは、えらくイメージが違う。戦勝…国と敗戦国の差か。勿論SFと実録ものの差もあるだろうが。ダグラスとメアリ・ケントの正体は判明。残るはアーネストだ。2でわかるよね。続きを読む
投稿日:2015.08.16
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