夏への扉

ロバート・A・ハインライン, 福島正実 / ハヤカワ文庫SF
(393件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
135
140
63
10
0
  • 名作の名に恥じないすばらしい翻訳

    この作品に関しては、どんなにすばらしいかは他の方々により語り尽くされています。今更何を付け加えることがありましょうか。
    あるとすれば、実にこなれた日本語になっている翻訳についてのみだと思います。まるで、もともと日本人の手になる物ではないかと思えるほどナチュラルです。翻訳調な記述はほとんどないので、読んでいて疲れません。
    翻訳者は、初代のSFマガジンの編集長にして、プロの作家でもある故福島正実氏。福島氏の手になる翻訳は、他にフィニィ「盗まれた街」、ハインライン「人形つかい」、アシモフ「鋼鉄都市」、クラーク「幼年期の終わり」などがありますが、どれも名作の名に恥じない翻訳です。
    そもそもこの「夏への扉」は、欧米では特にハインラインの代表作として認められていないと聞いています。それが特に日本で人気が出て広く読まれているのは、ストーリーラインが日本人好みであることもありますが、すばらしい翻訳があってのことだと思います。
    この本を読んだことがない方は、海外SFの入門書として読んでみてください。私たちは、この本の中の「未来」よりすでに10年以上たった世界に生きていますが、そういうやや古びたところも含めて楽しんでいただけると思います。もし、この本がつまらない、最後まで読めない、という方は、日本語に翻訳された海外SFを今後読むことははあきらめましょう。
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    投稿日:2014.04.05

  • SFを好きになりたい人へ

    「SF」と聞くと、「何だか難しかったり面倒くさそう」と感じる人も多いかもしれません。でも、ご安心を。『夏への扉』はそんな方へのSF入門としてうってつけの本です。内容は王道のタイムスリップもの。家事用ロボットを作っていた主人公ダンは、同僚のマイルズと婚約者のベルに裏切られ会社を追い出されます。悲しみの中ダンは冷凍睡眠によって30年後の世界に行くことを決めるのです。シンプルなストーリーと、きれいに回収されていく伏線。そしてロマンチックな物語。未来でダンを迎える意外な女性とは?多くのSFファンからも支持される古典とも言える1冊です。(スタッフI)続きを読む

    投稿日:2013.09.20

  • アメリカのお洒落

     1ページ目を読んでください。
     
     軽くて明るくて、ちょっと涼やかで。アメリカの「かっこう良い感じ」にグッと来たら、あなたは最後まで読んでしまいます。そして、恋をしたくなるでしょう。そして、猫を飼いたくなるでしょう。

     山下達郎をご存じですか?「夏への扉」という曲は、きっと知らないでしょう。どうぞ、BGMにかけながら。

     何度も、何度も繰り返し、読みました。あの頃、中学生でした。最高の中の、一冊。
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    投稿日:2013.09.25

  • ただのSF小説じゃない

    タイムトラベルを扱ったSFですが、よくあるSF小説だと思ったら大間違い!でした。
    主人公がタイムマシンを使うに到るまでのいきさつや、彼がいかにこのタイムトラベルを有意義にしたかを描くドラマが実にユーモラスに語られていて、いつの間にか夢中になります。
    850ページもあったなんて信じられないほどあっという間に読んでしまいました。
    SF初心者にも自信を持っておすすめできる一冊です。
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    投稿日:2014.03.12

  • いつでも童心に戻れる大切な本です

    以前文庫本でも3冊買いました。
    時折読み返してもワクワク感があります。
    山下達郎ファンでなくとも『夏への扉』を聞いてみましょう♪
    勿論本を読み終えてから・・・物語が蘇りますよ☆

    投稿日:2013.10.26

  • 未来人には未来人の楽しみ方があります

    1956年発表の本作は、1970年という近未来が舞台であり、そこから更に30年後の2000年とを行き来するという展開は、当時の読者をさぞわくわくさせたことと想像します。
    更に13年後の未来人たる僕はと言えば、風邪菌すら撲滅された過去のSFを鼻をすすりながら読むという、発表当時の意図とは異なるであろう奇妙な面白さを実感することができました。
    僕の好きな時間遡及ものとしては、正直洗練された組立とは言い難いものはありましたが、今の素晴らしい作品群の礎となった事を考えると、愛おしく感じられる作品の一つとなれそうです。
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    投稿日:2014.03.01

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ブクログレビュー

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  • bukurose

    bukurose

    夏は温かい、活動的、何かいいことが起きそう、対して冬は寒い、閉ざされた、じっと潜伏、といった意味で「夏への扉」は何かいいことがある夏への入り口、と解せばいいのか。1957年発表のこの作品、時代設定は23年後の1970年、その間に6週間戦争と呼ばれる核使用の戦争があった。主人公ダンは技術者でなんでもやってくれるロボット「文化女中器」を発明した。この発明も既製品のいいところを連動したもの、というところがおもしろい。

    が、恋人と親友に裏切られ、冷凍睡眠で30年後の2000年に起きることにする。とここまでは2000年で何かとてつもない事が起きるのかと思いきや、そこでタイムマシンの試作品に乗ってまた1970年に逆戻りして・・とパラレルワールド的な展開。

    最後は夏への扉が開いて、希望的終結。

    ダンの発明したロボットは訳語では「文化女中器」(Hired Girl) で直訳は「雇われた女性」だから、家事をするのは女性という発想。でも舞い戻った70年で、さらに高性能のロボットを作った時、友人の女性に「皿洗い機能はないの?」と聞かれ「ああ、つけなかった。皿洗いといっても、馬鹿に出来ない、非常に複雑な動きが必要なんだ」と言わせ女性に「あら、とうとう、男の人で家事のわかる人を見つけて、こんな嬉しいことはないわ」という場面がおもしろかった。

    買ってから2年近く経ってやっと読み終えた。最初の2,3ページから先がなかなか進まなかった。
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    投稿日:2020.04.17

  • moonpearl

    moonpearl

    このレビューはネタバレを含みます

    この本が最も私を惹きつけた点、それは表紙に描かれる猫、ピートの後頭部だったと思います。この表紙でこの本を買った人は他にも多いのではないかと。さらに作中でも、猫がチラリと風味付け風に登場するのではなく、しっかりと主人公の相棒として、でも変に擬人化されすぎず、猫らしく生き生きと描かれているところも好きです。

    この「夏への扉 The Door into Summer」というタイトルは、冬になるとピートが「彼は、その人間用のドアの、少なくともどれかひとつが、 夏に通じているという固い信念を持っていた」(p.8)というドアであり、物語の最初にトラブルの中で主人公のダンが探していた扉でもあります。そして物語の最後に、大団円で対となって、「彼はいつまでたっても、ドアというドアを試せば、必ずそのひとつは夏に通じるという確信を、棄てようとはしないのだ。 そしてもちろん、ぼくはピートの肩を持つ。」(p.307)で、大満足で本を閉じられる。単純とは自覚しながらも、私はやっぱり、すっきりハッピーエンドが、それもロマンティックなストーリーが好きなようです。

    もちろんSFとしても好きです。
    以降物語の核心のネタバレ含みます。

    この物語はタイムトラベルもの、タイムリープもので、私は「バックトゥザフューチャー」のようなタイムリープものは好きなのです。
    散りばめられている伏線が回収されるところ、「あそこに書かれていたのは、こういう意味だったのか」と気づいてワクワクできるところ、どんでん返しで主人公が逆転できるところが面白い。ただ、既に複数回読んでいて結末を知っているので、初めて読んだ時に自分がどこまで伏線に気が付いていたか、思い出せないのが残念。多分、一度読んで、ああ、あそこはそういうことだったのか」と読み返したと思うのですが、その初めてのカタルシスはもう再びは味わえませんが、それでも再読して今回も非常に面白かったです。

    もちろんタイムリープものなので、問題はタイムパラドックス。この作品では、最初の根本的なトラブルより前に戻って、それが起きることを回避することはさせていない。それをやると完全にタイムパラドックスが発生します。過去の自分を助けたら、助からなかった今の自分はいなくなり、助からなかったゆえに過去に戻ろうと思う自分がいなくなりという。この作品では過去に戻って行うことは、既に一度目の最初の自分の周りで起きている、タイムリープ後に行うこと、起きることは元々の時間軸でも起きている、織り込み済みである設定です。ベルやマイルズとの立ち回りの周囲に描かれる「あれ?」という部分や未来でダンが見たリッキィのパートナーなどは、後のタイムリープ発生時に伏線として回収されます。

    ただ、それでも実際にはタイムパラドックスが起きる可能性はあって、作中でダンも、ここで自分が行動しなかったら、別の行動を取ったらどうなるのかとか、タイムリープ後の時間軸は分岐した別の時間軸で、元々の不幸な時間軸でのリッキイがそこにも存在するのでは、とチラリと考える場面があります。タイムパラドックスをどうするか、はタイムリープものでは避けられないので、作品によって「平行世界」とか「分岐して別の時間軸が生まれる」など、色々な考え方で回避したり説明したりしているところが、また面白いです。(たとえば、私の好きなホーガンで、歴史改変ものの「未来からのホットライン」では、未来からのメッセージによって歴史が変わると、その瞬間に世界が書き換わるという設定)

    その他、作中に登場する未来の科学、発明も面白い。自動的に掃除をする文化女中器なんて、今のルンバだし。その他にも家庭用ロボットとか、ワープロとかCADとか、現代のモノを彷彿させるものがある。もちろん、洗う必要がない服や汚れない靴など実現できていないものもある一方、新聞は変わらず紙とかはありますが。

    作品中の科学で、一番すごいものは、ダンが過去に戻ることができる方法となったタイムマシンです。同じ重さのものを、過去と未来に同時に送る必要があり、かつ、どちらが過去と未来のどちらに飛ばされるか制御できないという足枷は用意されていますが(そうでないと、あまりに万能すぎてしまうからかと)、その弱点があっても、作中の科学メカとしては群を抜いていて、本来であればそれが物語のメインになっても良いくらいのモノだと思います。このタイムマシンの登場だけは、ちょっと折角の物語が、これ頼みになってしまうところが惜しい。

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    投稿日:2020.04.07

  • 真波

    真波

    このレビューはネタバレを含みます

    夏への扉を探す猫の話と聞いて、「吾輩は猫である」みたいなお話を想像していたら、バリバリのタイムトラベルもののSF小説だった。
    前半はダンの不幸と怒りがこれでもかと襲ってきたけれど、後半のどんでん返しが見事で驚いた。
    タイムトラベルを繰り返したときのパラドックスの説明は私にはむずかしかった。

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    投稿日:2020.03.23

  • AW

    AW

    ピートが探し求める夏への扉は、ダニイにとっての夏への扉でもあったのだと思う。

    30年後の未来社会が生き生きと描かれ、伏線がどんどん回収されていくのがとても面白かった。ピートの描写が最高でした

    投稿日:2020.02.24

  • こまいぬ

    こまいぬ

    「金曜日の本屋さん」で取り上げられてた本。

    この本を捧げられてる猫好きではない犬好きな私でも十分過ぎるほど楽しめた、まさに名作。

    壮大な設定のSFでなくて小ぢんまりとした設定、その上、地元が舞台とあってはのめり込むしかできない。
    腹の立つ境遇から見事な結末へ、それに加えキャラクターたちも魅力的でもう最高。
    読後にタイムパラドックスについて考え始めるのもまた楽しい。脳みそ捩れますがね。

    大満足の読書でした。
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    投稿日:2020.01.31

  • kemukemu

    kemukemu

    調子いいよね〜。確かに友人と恋人の裏切りはキツく、予期しないタイムワープと一文無しで生きる望みのかけらもないはずなのに、なんてポジティブ!そんなにポジティブなら裏切られてもあれだけ激昂するはずないのに、そこは我を忘れるんだ〜。猫だって、普通の猫の一生を過ごしたかったと思うのに、冷凍されて解凍されて、ハイ幸せってなる?っつーか、突っ込みどころ満載なのに、なんて面白いお話!ブラボーって叫びたくなる。続きを読む

    投稿日:2020.01.29

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