【感想】太陽の簒奪者

野尻抱介 / ハヤカワ文庫JA
(75件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
22
31
14
0
0
  • 日本にもこんなSFを書ける人が居てくれたんだ

    この作者から感じるのは、SFスピリットもありますが、星たちへの愛です。自分も今でも星空をみると震えを感じる方ですが、この作品の太陽系への思い入れは並々ならないものがあると感じます。ストレートで、爽快感のあるお話です。おススメです続きを読む

    投稿日:2013.09.26

  • テンポ良く読める、良作SF。

    月並な言葉だが、あえて書く。「おもしろかった!」 本格的なSFでありながら、非常にテンポ良く読める。
    「本格SF」は、時に専門的な知識やSF的お約束の羅列で読むのがイヤになることがあるが、これは本格でありながら、余分な部分をそぎ落としたような感じ(私の印象だが)で、それが先へ先へと読み進みたい読者の気持ちを削がない。もちろんSFとして適当なのではなく、テーマやディテールなど、納得のいく内容。
    主人公である日本人科学者・白石亜紀も共感・感情移入できるキャラクターで◎。
    普段SFを読まない、という人にも手にとってもらいたい良作。
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    投稿日:2013.11.07

  • より強い文明との接触

    文体ともともと分割されていた各ストーリーとの接続は上手くありません。一般文芸と同じ評価で語ると評価は低くなるのですが、SFとして見ると非常に評価は高いです。
    コンタクト物は、人類が知る歴史との整合性と、そこからの乖離の見せ方の上手さが全てだと思います。
    ゲルマン民族とローマ帝国との邂逅、西欧とインディアン、アフリカ、東南アジアとの邂逅、そして西欧と東アジアとの邂逅。この既知の接触からどれだけ近く、あるいは遠く、コンタクトを描写するかが、作者の力量でしょう。
    タイトルからもわかるように、太陽とそのエネルギーがこの作品の鍵です。
    精神世界とファンタジー性に逃げないSFには、アインシュタイン方程式と相対性理論が縛る、マクロ空間の縛りが絶望的にきつく、そしてそれ故に美しいです。
    いつか、この作品以上のSF性と物語性をもつ作品が書き継がれることを願って!
    星5つ。
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    投稿日:2016.12.10

  • ファーストコンタクトものとして秀逸

    地球外の知性とのファーストコンタクトを描いた作品としては、きわめて秀逸だと思います。
    物語にぐいぐい引き込まれて夢中で最後まで一気に読破しました。
    アーサーCクラークのSF小説を読んでいる時と感覚が似ている感じです。

    物語の展開が速く、読みやすいとも言えますが、その時の状況であったり人物の心情であったり、
    もう少し丁寧に詳細に描かれていた方が良かったのに…という気もしました。
    それは、もっと長く読んでいたい、この世界の話をもっと読みたい、と思ったからなわけですが。

    アーサーCクラークの小説が大好きだった者として、
    今後この作家の作品に注目していきたいと思える、そういう小説でした。
    続きを読む

    投稿日:2013.09.26

  • 絶望的な状況に負けない、主人公のポジティブ思考が光る

    天文部に所属する主人公は、水星の観測をしていてある異変に気付く。
    そのニュースは瞬く間に世界に広がり、地球に住んでいる私たちを脅かす。
    異星人は地球を侵略しに来たのか、それとも別の目的があるのか、あらゆる手段でメッセージが発信されるが、彼らは何の返答も行ってこない。
    想像の枠を超えた異星人とのコンタクトが、いかに難しいかを描き出した名作。
    文系の私にはついて行けない話も出て来たけど、わからないところは軽く読み飛ばしながら、楽しむことができました。
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    投稿日:2013.10.23

  • 気持ちのいいSF

    野尻さんらしい読んでいてすっきりするSF作品。
    おとぎ話のようなSFではなく,科学的な根拠も(ある程度ではあるけど)しっかりしていて楽しめる。
    内容的には異星人とのファーストコンタクトだけど,こんなアプローチもあったのかと思わせる。
    SF好きなら,ぜひ読んで欲しい。
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    投稿日:2013.11.21

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ブクログレビュー

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  • vinland

    vinland

    このレビューはネタバレを含みます

    王道も王道のテーマを扱ったSF。
    ファーストコンタクトものでありながら、ミリタリーな興味に頼らず、思考として面白さを表現できたのは近年のAI研究などの成果があってこそとしても最高のエンターテイメントであると感じた。主人公が科学者の女性であったことや時間経過も含めて描くことで物語に落ち着きを与えており、独特の余韻を残すこととなったと思う。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.11.22

  • umisuzume0303

    umisuzume0303

    もう、この手の本は圧倒的に好き。
    幼少のころから本好きではあったが、社会人の一時期は読書の習慣から離れていた。その後、ポツポツと復活したときに手にした一冊が、野尻さんの「沈黙のフライバイ」。「なんて面白い短編集なんだ!!」と感動して、親や友人に貸してみたが、そこまでの反響は得られず。しばらくして、「自分はSFというジャンルが人よりかなり好きなんだ(思い返せばガンダムとかも超好きだし)。」と自覚するに至る。
    前置きが長くなったが、そんなSFとの出会いの一冊をプレゼントしてくれた野尻さんの代表作。いつか読みたいと思いながらはや15年ぐらい?ついに手を取ったが、やっぱり面白かった。
    テンポよく進むストーリーの中にちりばめられたいくつもの科学トピックにページを繰る手がとまらなかった。最後、「ん、この宇宙人は結局何だったんだ」というところはやや消化不良であったことは否めないが、それはそれとして、人類や宇宙探索への未来に対する思いが否応なく掻き立てられた。

    幸い、老衰まで生きることができれば、あと30年から40年程度の余生か。
    生きているうちに地球外の知的生命体に合うのはよほどの幸運がない限り困難なのかもしれないが、月や火星への入植、太陽系における他の生物の発見ぐらいまでは見届けたいな。
    そんなことをみんなが夢見れるようになれば、世界だってもっと平和に、もっと住みやすくなるとのにね。
    続きを読む

    投稿日:2021.04.09

  • メサイア

    メサイア

    スペシャルサンクスの多さに驚いた。やはりこれだけ綿密な科学的な展開、情景描写をしようと思ったら、それだけ専門家の意見が必要となるものなのか。本書でいちばん気に入ったのが、やはり高次元の知性体であるビルダーの意識だ。種族全体で意識を共有している彼らは、自分の意識について自由にコントロールできない。しかし不慮の事態で意識の結合が解けた場合は、適応的な(自然物としての)人間とコンタクトできる。しかしその独立した意識も、やがて高次元の意識へと回帰して、人間の意志を認識できなくなってしまう。そういうあり方が非常に面白かった。続きを読む

    投稿日:2019.03.28

  • midnightwakeupper

    midnightwakeupper

    ハードSFの常としてキャラクターが弱いし、ご都合主義ではあるが、次々と繰り広げられる華麗なイメージはそれを補ってあまりある。エイリアンが重力井戸である惑星に拘泥する生命体に宿る知性を無視したのはやむを得ない(万能のナノマシンに冗長度を付与し暗号化すれば外部から手出しできなかったろう)、それがあまりにも敵対的でコンタクト不能とされたというのも、悲劇的だがありそう。すなわち幕末の幕臣の、西欧人に対峙するイメージか。アメリカSFには集合的知性と個人主義との対決は悲劇的に終わることが多い、対比して極めて日本的結末続きを読む

    投稿日:2019.03.19

  • うみ

    うみ

    ああ、王道のファーストコンタクト物って久しぶりに読んだけど、まだまだ新境地があったのね。SFっていいわあ。SFが加賀くん可能性を指摘し、科学が発達したらまたSFも新たな地平が開かれるので、SFも科学も進んで欲しいところ。ところで、沈黙のフライバイ、南極点のピアピア動画 、ふわふわの泉(再刊)、そしてコレと読んだ順番がアレになってしまった(^^;続きを読む

    投稿日:2018.10.14

  • 凪野基

    凪野基

    10:水星に突如として現れた謎の建造物、それが誰によって、何のために造られたのかを解明するところから異星人とのファーストコンタクトまでが、丁寧に描かれています。異星人ビルダーの正体は先日読んだ「ハーモニー」にも通じる部分があり、決して難しくないながらも想像を超えており、まったく圧倒されます。専門用語は理解できないながらも、2002年に発表されたこの作品がいま現在もリアリティを失っていないことに驚愕。
    「沈黙のフライバイ」よりも若干ハードな印象でした。いや、面白かった!
    続きを読む

    投稿日:2018.10.08

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