【感想】猫鳴り

沼田まほかる / 双葉文庫
(368件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
45
125
117
29
14
  • まほかるワールド

    連作短編集のような三部の構成。
    それぞれ単独でもなりたっている話なんだけれども、
    一話「誕生」から三話「死」への時間の流れのはかなさがこころにしみいってくる。
    もともと猫は好きじゃないんだけれども、
    確かに犬のように媚びたところのなさみたいなところを理解できると
    それは、それで魅力はあるのかもしれないと思った。
    ただ、二話の少年期の残酷さみたいな話はちょっとしたホラーみたいで
    読んでて気持ちの良いモノではなかったが、それも含めて作品としてすばらしい。
    続きを読む

    投稿日:2014.11.20

  • イキモノの生き死に

    イキモノは生きていつかその命は無くなる。
    軽んじられる生、嘆き悲しみに打ち拉がれる生。
    ある猫の周りで生きた人のストーリーが短編3部で綴られる話。
    なぜ生きるのか?を考えたい人には良いのかも・・・

    答えは出ないとは思いますが。続きを読む

    投稿日:2015.11.18

ブクログレビュー

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  • とまと

    とまと

    猫が主人公のような脇役のような
    バラバラのようで時代は繋がっているストーリー
    傍観者的な読み進め方になったかな

    投稿日:2023.11.21

  • ぬぬ

    ぬぬ

    あらすじ
    ようやく授かった子供を流産し、哀しみとともに暮らす中年夫婦のもとに一匹の仔猫が現れた。モンと名付けられた猫は、飼い主の夫婦や心に闇を抱えた少年に対して、不思議な存在感で寄り添う。まるで、すべてを見透かしているかのように。そして20年の歳月が過ぎ、モンは最期の日々を迎えていた…。「死」を厳かに受けいれ、命の限り生きる姿に熱いものがこみあげる。─「BOOK」データベースより



    感想
    生きていると、どうにもならないことがある。
    情けなくて、恥ずかしくて、死にたくもなる。
    そんな彼らに猫は寄り添う。
    どんな時でも寄り添う。
    自分の命を削ってでも寄り添う。
    正直、第三部はかなりきた。
    生き物と一緒に生きるということは、そんなに容易いことではない。
    そこには責任が伴う。
    でもそこにはそれをはるかにしのぐ愛情で溢れている。
    それにしても、沼田まほかるの作品は気が抜けない。
    読み手があんなに嫌悪感を抱く文章をどうやって思いつくのだろう。
    『彼女がその名を知らない鳥たち』以来、反吐が出そうだった。
    続きを読む

    投稿日:2023.11.16

  • himawari-himawari

    himawari-himawari

    私はこの人にははまらない。猫と暮らすお話なのにこんなに暗くなってしまうとは。
    1章の捨てる描写もいたたまれないが、浩市と何かあったのかと思わせる描写も好きではなく、2章の父子も危うい。全編を通して暗く、読んでいて辛かった。
    表紙はかわいいのになぁ。
    続きを読む

    投稿日:2023.11.06

  • ほんすき

    ほんすき

    詩的で、かつ描写は鋭く、
    嫌悪感から始まり、どんどんと引き込まれて行って、
    最終的にたくさんの優しさを感じた。
    歪んだ感情、重苦しい描写の闇や影、、、生と死の隔たりの少なさを感じる。
    さすが沼田まほかるさんの傑作と呼ばれるだけあるなぁとおもいました。
    描き方が強烈で、グサグサと心に突き刺さる、
    きれいなものだけじゃない、残酷で汚らわしく汚い面もちゃんと描かれてる。
    人間とはこういうものだなと叩きつけられる小説。
    読み終わると何故か爽やかな気持ちになる不思議な小説。
    小説でこんなに泣いたの初めてくらいめちゃめちゃ泣きました笑
    泣きたい人、猫好きな人はぜひ
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    投稿日:2023.10.17

  • 頼む

    頼む

    静かな作品である。
    そして、常に死が隣にある作品である。
    一方で、生の話である。
    即ち、沼田先生の作品である。

    生まれてすぐに捨てられた猫「モン」の生を時間軸として、その周りに生きた人間の、命の葛藤を描いた作品である。

    この作品は3部構成である。

    1部。生まれて間もなく飼われて、速攻で捨てられた猫「モン」を拾ったのは、我が子を流産した信枝である。今にも死にそうな猫と、既に死んでしまったお腹の子と、それでも生きている自分。生の意味を見出せない信枝の荒んだ心と、ただ生きようとする「モン」の物語。生の誕生にまつわる葛藤がある。

    2部。思春期、生の発露としての暴れ出す暴力性を持て余す少年行雄と、成獣となった「モン」の動物としての野生が対比される。生のエネルギーと、その圧倒的な制御不能感についての葛藤がある。

    3部。信枝の死後に残された夫、藤治が、老年の「モン」を看取るまでの物語。既に妻を亡くし、死を知っているはずの藤治が、「モン」の死に向かう姿に狼狽し葛藤を抱えているのに対し、一方の「モン」は全てを受け入れいるかのように見える。

    つまり、命の起こり、命の頂点、命の消滅、すべてのステージにおいて、猫を通じて救われる人々の物語である。

    以下、3部より。
    あまりに良い。

    『自分もモンも衰えて、余分なものをずいぶん失くしてしまった。余分な、役にも立たない、たくさんの美しいもの。
    若くて、そういうものが周囲にひしめいていて、同時に欲望の作り出す黒々とした影も立ち込めていた頃には、たとえ実態は狐火であるとしても〈希望〉の明かりがどうしても必要だった。そんなときもあった。
    だが今は希望もなく欲望もない。ただ見通しの良い平坦な道が、最後の地点に向かってなだらかに伸びているだけだった。それもまた悪い気分ではない。死はある日突然に襲いかかるのではないだろう。なぜなら藤治は、自分が端っこの方からすでにごくわずかずつ死にはじめているような気がするからだ。それもまたいいではないか。うまくできている。なんだか浮き上がりそうに身軽だった。』
    続きを読む

    投稿日:2023.09.29

  • 陽子の本棚

    陽子の本棚

    すてねこのモンが、周りの人間を癒し
    自らに20年の生を全うする
    子猫の頃に捨てられ
    子どもを失くした中年の主婦から
    何回も捨てられても泣きながら
    その家に戻ってくる
    そしてその家に居着き
    周囲の人を何かしら癒していく
    最後に残されたのは
    年老いたおっちゃんとモン
    最後の時間を死を意識しながら
    交流し過ごす
    なんだかせつなくて悲しいけど
    死にいくことを考えさせられた
    続きを読む

    投稿日:2023.09.22

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