【感想】薬指の標本

小川洋子 / 新潮社
(666件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
157
216
189
37
3
  • 緊張感がたまらない

    表題作と『六角形の小部屋』の2点を収録。
    どちらも不思議というか不気味な設定の話だけど、緊張感があって惹き込まれる。
    小川洋子の作品は、『博士の愛した数式』しか読んだことがなかったけど、設定も面白いし、読ませる力も持っているので、もっと他の作品も読んでみたくなった。
    点数は五つ星にしようかとも思ったけど、実質4.5ということで。
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    投稿日:2015.10.03

ブクログレビュー

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  • ハルカ

    ハルカ

    “世にも奇妙な物語”のような空気感を纏った、
    美しくひんやりとした物語2篇。

    物語の中では”奇妙さ”については
    何も明かされない。

    2つの物語の主人公は
    時に安らぎも感じる奇妙さと佇まいに
    どんどん引き込まれていく。

    語られないからこそ引き立つ魅力、
    というのは往々にしてあるだろう。

    それを取り巻く小川さんの品のある言葉選びが
    我々もどんどん世間から引き離していく。

    いつも小川さんの小説を読んでいると世界が無音になっていく。

    弟子丸さんにとっての靴はどういう意味を含んでいたんだろう。
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    投稿日:2024.04.06

  • きよきよ

    きよきよ

    夢のような、おとぎ話のような不思議な雰囲気。静かな空気感の中、現実と幻想が入り混じる。そして、怖い。
    薬指を欠損したわたしは、仕事を探すうちに不思議な標本室に出会う。依頼された物はなんでも標本にできるという弟子丸氏。イメージでしかない物、思い出も全てだ。その標本室で働く事になったわたしは、弟子丸氏と次第に親しくなっていく。ある日、彼にプレゼントされた靴を履くと、あまりにも足にピッタリで同化する感覚になる。わたしも特別な何かを彼に標本にして欲しいと願うようになり…。 

    何となく、行ってはダメ、これ以上はいけないと読み手の中に危険信号が灯る。小川洋子さんの淫靡な世界。淫らだけど、品がある。
    童謡の「赤い靴」を思い出した。
    こんな世界に溺れてみたいとも思う。現実と夢の境界線。もう2度と出てこれなくてもそれはそれで本望だ。あちらの世界も良いかもしれない。
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    投稿日:2024.03.29

  • bukuawa

    bukuawa

    サイダー工場で薬指の一部が欠けてしまった女性の、依頼人から預かったどんなものでも標本にするという新しい職場での体験を描いた表題作と、六角柱の告白部屋で自分と元彼氏との関係を見つめなおす女性を描いた二本の短編を収録。
    どこか不思議な作品世界の中で、自分の体や心の境界を探してみたり、もてあそんでみたり。それは周囲の人との関係も同じであり、その中で主人公たちは自分と周囲の境目を溶かしたり、際立たせたりしてくれる存在に惹かれて行く。この営みは自分探しであり、また自分では見えない姿を示唆してくれるもののように思えた。
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    投稿日:2024.03.17

  • hanabira

    hanabira

    知らず知らずのうちに精神を縛られる、支配される、そして支配されたいと願う…
    物語全体がに薄暗い弱い青色が漂っている感じがした。
    六角形の小部屋も、標本室も、それを望む人だけが自然にありかを知り吸い寄せられていく雰囲気が共通していた。続きを読む

    投稿日:2024.03.02

  • ひろ

    ひろ

    このレビューはネタバレを含みます

    何かに束縛されたままでいたい、それが落ち着くという気持ちはわからなくもないけど、自由がまったく無いのもつまらないんじゃないかな?とも思ったり。主人公は最後部屋から出て来ないままになるんだろうな…
    音楽を標本にしてもらうシーンがよかったです。

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    投稿日:2024.02.26

  • 青葉

    青葉

    大学の授業で扱った1冊。『薬指の標本』がいいな。小川洋子の作品には、身体の一部が欠如していたり、どこかを病んでいたりする女性が多く出てくることは言うまでもないけれど、これもそのひとつ。切り取られた自分の薬指が、ぷかぷかとサイダーの中に浮いている、みたいなことを主人公が想像する場面があり、私はそこが大好き。続きを読む

    投稿日:2024.02.17

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