【感想】日本の路地を旅する

上原善広 / 文春文庫
(41件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
5
18
12
1
0
  • 路地とその面影

    被差別部落を歩き、その様子や感慨を書いたものです。

    被差別部落に私が興味を持ったきっかけは、友人がまさに被差別部落に住んでいるからでした。友人の本籍は他県、どうして住所と違うのか聞いたところ、ここが被差別部落だからだよとの答えが。親が土地が安いとの理由で購入したのはいいけれど、もしかしたら差別を受けるかもしれないと、あえて本籍を親の出身地にしたようです。

    現実は差別はなく杞憂だったと言えるでしょう。本書でも差別を受けた経験がないと語る人が多く出てきます。被差別部落だと知る人はそれなりの資料を手にできる一部の人間であり、他所からの移住者も多くいる現在では差別など起こるはずもないのです。

    差別を意識しすぎるとむしろ人生の可能性を大きく狂わせます。かつての路地の面影やそれに引きずられる人々、そのお話を知り、かつて現実を見ることは良いのかもしれませんが。
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    投稿日:2014.07.21

ブクログレビュー

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  • keikouto

    keikouto

    被差別部落を路地とも言うとのことで、日本各地の路地をその地の歴史や成り立ちを振り返りながら巡るルポ。

    投稿日:2023.06.23

  • ありんこゆういち

    ありんこゆういち

    差別はとてもデリケートな問題で、そっとこのまま消え去っているのが一番いいと思っているのですが、実際にそこで生まれ育った人たちにとっては故郷でもあるわけで、なかなか一遍通りには行かない問題だと思います。
    関東に居ると全然感じませんが、関西の人は結構カジュアルに差別用語口に出したりするので、差別的な事と非常に距離が近いんだろうと思います。
    興味を持ったのは「路地の子」という自身の父親を主題にした被差別部落のノンフィクションを読んでの話なのですが、この本が後日誤認多数ありという事で、社会的に問題を巻き起こしている本で、ノンフィクションとしては眉唾ものとして扱われています。フィクションとして読めばリアル「血と骨」のような本でぐいぐい読ませるのですが、なんとも言い難いケチが付いてしまったものです。
    何冊か読みましたが、アウトローな雰囲気が多大に感じられる人なので、読んでいても反感を覚える事も有り、純粋に感覚を共有する事は難しいです。この本もわざわざ掘り返す必要があるのかと何度も突っ込みを入れて読みましたが、何しろ自身が被差別者であるという強みがあるので皆何も言えない部分が有ります。
    本書は日本各地に残る被差別部落の名残(路地と表現)を訪ね歩く内容で、やるせない気持ちになります。人間の暗部というか、どこか自分よりも下を作って安心したいという薄暗い本能のような物を感じます。
    どう考えても同じ人間なのに、地域地域で差別される人々がいて、綿々と受け継がれているという事が本当に不思議です。
    多分僕らの孫世代が大人になった頃には痕跡しか残らない愚行になると思っています。
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    投稿日:2021.12.03

  • pippin55joy

    pippin55joy

    上原善広の別の本『断薬記 私がうつ病の薬をやめた理由』を読んで、その後にこの本を読みました。
    被差別部落の内容を書いた内容ですが、真実かどうか?ともかくとして、内容が大変面白かったです。
    父親の一生を描いている内容ですが、すべてが真実である必要はないのかな、と思いながら楽しんで読めました。
    親のことを、フィクション部分があったとはいえ、時代背景も含めてここまで描けるって、すごいなーって思いました。
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    投稿日:2021.05.16

  • sachi

    sachi

    当事者である著者でないとできない紀行。そして、いまだに残っているところもあることに純粋に驚く。東京だと、あの辺りが昔そうだった、くらいで今の住人はそんなに関係なく(たぶん)、本人が言わない限り分からない(と思う)。けど、この本を読むと、この地区は何戸、とかあって。戸数が分かるって‥消えてないんだな、と。居住地と名字で地元の人はわかる、と西日本の人から聞いたことはあるけれど、本当にそうなんだ、、息苦しいな、、
    ルポとしては、前半は普通に読んでいけるんだけど、後半になるにつれて事件やヤクザ、著者の前科者の兄の話が出てきて重苦しい。その辺は私小説的。
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    投稿日:2021.01.02

  • Junmomoko本

    Junmomoko本

    身近にあった路地。よく知っているつもりだったけど、知らないこともたくさんあった。素朴な疑問。屠場で働く人は差別されるが、肉は高級品。何故だ?屠殺が汚らわしいてか?命を射るもの、命を食すもの、同じやん。

    投稿日:2020.07.05

  • Minmo

    Minmo

    路地とは、かつて中上健次がそう呼んだ被差別部落のこと。筆者は自らのルーツである大阪更池を皮切りに、全国の路地を訪ねていく。私も大阪の下町で育ち、作者とほぼ同年代であるから、その雰囲気くらいはわかる。友人にも路地の子がいた。全国には6000を超える路地があるという。おそらく気がついていないだけで、身近な地域に路地はある。
    筆者自らスケッチと語るように、まとまりのいい体裁とはなっていない。学術書ではないため出典も明白ではなく、成否を論ずることは難しい。しかし、路地のウチとソト、その境界を行き来できる著者だからこそ書けたルポと言える。
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    投稿日:2020.04.09

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