ドストエフスキイの生活

小林秀雄 / 新潮社
(3件のレビュー)

総合評価:

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  • 思い描いていたイメージが崩壊

    ドストエフスキイは『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』を書いたロシアの文豪。知識としては知っていても、実際に読んだことのある人はそれほど多くないのでは?

    かくいう私も、ドストエフスキイを読んだことはありません。
    なんとなく有名だし、すごい人なんだろうと思って本書を手に取りました。
    ところが、蓋をあけてびっくり。確かにすごい人ではあるのだけれど、偉い作家先生というよりは、とんでもないロクデナシだったのです。
    決して友達にはなりたくないような。
    そして、こんなに迷惑で、人でなしで、鬼畜な彼の文学が、とっても気になって読んでみたくなりました。

    もちろん、ドストエフスキイを読んだことのある人なら、より深く彼の著作を知る助けになるでしょう。
    ぜひ、小林秀雄の名前に気負わず読んでみてください。
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    投稿日:2015.03.11

ブクログレビュー

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  • purasupero

    purasupero

    非常に中身の濃い作品であるため、まず一読するのに一苦労した。しかしこれでも文章に無駄はなく、何回も繰り返し読むことでさらに理解が変わっていくのだろう。

    一番印象に残った部分を引用すると、
    「精神というものは、まことに柔軟で不安定なものであるから、環境の変化を非常に鋭敏に反映する。そういう受け身な精神の反映と、精神の自発的な表現とは、全く性質が違うものなのであるが、両者はいつも混同されがちです。わが国でも、戦後社会の模様が急変して、戦後の物の考え方だとか、戦後の人間のタイプだとか、文学だとかという言葉が濫用されるが、そういうものは、確かに戦前に見られなかった姿ではあろうが、その大部分は、周囲の色に芸もなく染まった精神の色合いに過ぎず、精神の自発的な努力による新しい表現はおそらくきわめて少ないのである。そういうことに注意する人も又極めて少ない。」(小林秀雄「ドストエフキイの生活」p.521-522 新潮文庫 1964年)


    時代だとか、そういった要素に精神をあてはめる安易な考え方を、無駄のない文章でバッサリ切っている。
    なぜこの考え方をするのか?自発的な問いを常にしていかなければならない。時代様相であったり、そういったものを隠れ蓑にせずに。
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    投稿日:2016.03.15

  • 国策ピーナッツ工業

    国策ピーナッツ工業

    日本最大の批評家・小林秀雄によるドストエフスキー論集です。一見すると分厚くて装丁も地味、何ともとっつきにくそうな本なのですが、これは掘り出し物でした。

    前半はドストエフスキーの生涯を描いた伝記になっています。冒頭、とても長い前置きがついています。この前置きが例によって小林節全開の端正な文章になっています。早々に小林ワールドに入り込めます。

    ドストエフスキーの人生には、シベリア流刑、賭博癖、精神病など、いまの日本社会では簡単にマイナス評価されそうな試練が立て続けに起こります。彼は単にそれを乗り越えるのではなく、作家としての生き方の中に昇華させていく。そしてそれを著者は淡々と評価する。とても戦前に発表された作品とは思えない、現代的な評論文だと思います。

    続けて「カラマアゾフの兄弟」。こちらは完全に作品論です。本書前半の伝記編とは異なり『カラマーゾフの兄弟』を読んでいる前提の議論になります。『カラマーゾフの兄弟』そのものはだいぶ以前に、それも忙しい時期に読んだため、ついていけないところは多々ありました。それでもドストエフスキーの作品を読み解くためのいくつもの視点(例えば、神の存在、自負、人間共に対する侮蔑、力への渇望、罪人という像、など)が提示されており、たいへん参考になる論考です。

    (その次の「罪と罰」論は未読です。『罪と罰』は高校時代に読んだため、さすがに内容をほとんど覚えておりません。次回帰省したときにいったんテクストを読み直してから本論も読むつもりです)

    最後はドストエフスキー逝去75周年記念講演。これは本当に熱い。やむにやまれず全体を音読してしまいました。素晴らしい講演です。ロシアの政治や社会情勢に関する深い知識・洞察もすごいのですが、それを端的な表現に落とし込み、さらに鋭利なメッセージへと磨き上げるこの技術。これぞ文藝批評の神髄だと言いたいです。
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    投稿日:2014.06.14

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