【感想】夢を与える

綿矢りさ / 河出文庫
(164件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
17
47
67
14
1
  • 「夢を与える」側

    タレントである主人公の出生までのエピソードがとても恐ろしく感じられて、運の良さと聡明さで上手く高みに登っていく過程でも突き落としが来るのが怖かった。安易なハッピーエンドに纏まっておらず、(続きは予見できるものの)結論保留のまま終わっているのも好き。でてくる女性陣がリアルで強く恐ろしく、男性は基本的に良くも悪くもぬるい感じがした。続きを読む

    投稿日:2013.09.27

  • リアルすぎてちょっと怖い。。。

    幼い頃からチャイルドモデルをしていた夕子。彼女は、母の念願通り大手事務所に入り、ついにブレイクするのだが。夕子の栄光と失墜の果てを描いた作品(Bookデータベースより)。
    作者の体験談ではないとは思いますが、そうなのかな?と勘繰りたくなるくらいリアルで、ちょっと怖いくらいでした。多くの人は夢を与えられる側の人間のなので、夢を与える側の苦悩など考えたことなんかありませんでしたが、「夢を与える側の人間は、夢をみてはいけない」っていう一言がもの凄く印象的でした。
    おそらく好き嫌いのはっきり分かれる作品だとは思いますが、個人的にはとても好印象です。
    やっぱりこの人天才だなぁと思います。
    続きを読む

    投稿日:2014.02.10

  • 借り物の夢は崩れ去っていくしかない

    ローカルの小さなCMチャイドルから女優へと成長し、
    「夢を与える女優になりたい」という言葉をマネージャーから吹き込まれる夕子。

    夢は与えるものか? そして与えられるものか?

    そこそこの美貌に恵まれ若いころはモデルもしていた母と家庭から離れていくフランス人である夫(夕子の父)。

    母は、自分の叶えられなかった虚栄心と家族の紐帯を夕子の芸能界のしあがり計画に全てをかける。
    あたかもそれがうまく生けば、すべてがうまくいくかのように。

    母から夢を与えられた夕子はの現実と欲望が、その夢と乖離し始めていく。
    ズレた現実を生きながら視聴者に“夢を与える”夕子。

    その歪みは、どんどん膨らんでいく。

    人の欲望を肩代わりしてはいけないし、
    代償的に叶えてもらおうとしてもいけない。

    借り物の夢は崩れ去っていくしかないのだから。
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    投稿日:2015.03.07

  • 崖っぷちの心情

    綿矢さんの作品は心情がリアルに溢れてて
    凄く面白いな、と思う反面
    綿矢さんは「人の心を覗く能力」があるのでは?
    と思ってしまうくらい怖いです。

    夕子が子役から積んできた「夢」
    その夢は「他人の憧れ」でしかなく
    夕子自身が描いた夢はどこにもなくて
    荒野にぽいっで放り出された。

    どんなことも自分を支えなければ
    残るは絶望と堕落しかない。
    周りを見ること、立ち止まること
    一般の人なら可能ですが
    芸能人ってそれが難しいのかな?

    すっかり綿矢さんのファンです!!
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    投稿日:2015.06.05

ブクログレビュー

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  • み

    綿谷りさ先生の特徴でもあるむき出しの無垢さが傷付いて萎れていく様は辛くも切なくてとても好き。
    言葉選びにある優しさが生々しくて普通に生きてる人の不幸を実感させられる。

    投稿日:2024.03.05

  • につ

    につ

    このレビューはネタバレを含みます

    感想
    芸能界は大変だなぁ。子供の頃にすべてを手に入れてしまうと色々勘違いしてしまう?のかもしれない。ただ、一度きりの人生でジェットコースターのように体験できないことややりたいことをやっているのは貴重なのかもしれない。

    夢を与える。与えるという言葉が傲慢なのかもしれないと言ったゆうちゃんの感覚が正しかったのかもしれない。

    あらすじ
    幹子は、付き合っていたフランス人ハーフのトーマから別れを切り出され、回避すべく、色々努力し、夕子が生まれる。

    夕子は、幹子の熱心な活動で雑誌モデルをしていたが、ある日チーズのCMに半永久的に出演することになり、成長と共に有名になる。

    高校までは順調に仕事をこなしてきたゆうちゃんだったが、TVで見たダンサーに入れ込み、深夜遊びをする中で、情事を撮った映像がインターネットに流れてしまい、一気にその地位を失うことに。残されたのは何だったのか。

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    投稿日:2024.02.15

  • sakondojp417

    sakondojp417

    「蹴りたい背中」「勝手にふるえてろ」に続き3冊目読了。
    子役タレント親子の成長と挫折と転落の物語。
    著者お得意の若い女性のストレートでコミカルな心情表現は抑えられ、純真で無垢な主人公の心情が綴られていく。読者はチーズのCMで夕子を見守る視聴者よりも濃い濃度で夕子の成長を見守っていくだけに転落していく様はなかなかにつらい。大好きな両親の不仲、高校生活や仕事での挫折、殺人的な忙しさの中でも一歩ずつ成長していくが、恋人を作ったことからみるみる転がり落ちていく。
    そもそもどっぷりつかるべきでなかった芸能界、結婚するべきではなかった両親。築き上げてきたはずのものがどんどん崩れ落ちていく恐怖と現実。穏やかな普通の人生がいかに幸せなことか。
    17歳で作家デビューし芥川賞受賞後の22歳の3作目。夕子に著者自身を重ね合わせているのだろうか。
    続きを読む

    投稿日:2024.02.07

  • さてさて

    さてさて

    あなたは「夢を与える」仕事をしているでしょうか?

    このレビューを読んでくださっているみなさんは何かしら仕事をされている、もしくは仕事をされてきたと思います。それはもう千差万別です。しかし、共通しているのはそれが誰かのためになるものだということでしょうか。無人島で一生一人暮らしをしていますという特殊な方以外、仕事とは誰かのためにあるものであり、その仕事によって誰かに何かをもたらすものだとは言えると思います。

    そんな仕事のあり方について「夢を与える」仕事という言い方をする時があります。あなたなら、そこにどんな仕事をイメージするでしょうか?『たとえば農業をやるつもりの人が”私は人々に米を与える仕事がしたいです”』とは言わないと思います。では、『お米は無理で夢だけが堂々と”与える”なんて高びしゃな言い方が許されて』良いものでしょうか?「夢を与える」という言葉はなかなかに定義付けの難しい極めて特殊なものなのかもしれません。

    さてここに、『将来について訊かれると「夢を与える人になりたいです」と答える』一人の少女を描く物語があります。幼少期から『衣料品の通販カタログのモデル』をはじめた少女を描くこの作品。そんな少女が一気にスターダムにのし上がっていく様を見るこの作品。そしてそれは、「夢を与える」という思いの先に栄光と失墜を見る少女の物語です。

    『今日、私は六年間付き合った男に別れ話を持ち出される。そして私の答えは、「ぜったいに別れない。」』という思いの中、家を後にしたのは幹子。『二人で何度か行ったことのある喫茶店』でトーマに会った幹子は、『あのとき君が結婚のことを言い出して、正直驚いた』、『これ以上付き合って君の時間を奪う権利は僕にはない。別れよう』と切り出されます。そんなトーマの台詞に『私が予想外のことを言えば、混乱して弱気になるだろう。そこを追いつめる』と考えを持ってきた幹子は、『就職先が決まったの』とトーマの不意をつく台詞を口にすると、部屋が見つかるまでトーマの部屋に居させてくれるよう懇願します。そして、『トーマの部屋に住み始め』た幹子は、『肉の関係を復活させ』ると、『避妊具に細工し続けて妊娠』し、結果子どもが産まれました。そんな子どもは『天性の可愛さでもって、二人をまるで変えてしま』います。『現実離れして可愛いらしい完璧な赤ん坊』という二人の子どもに夕子と名をつけた両親は『幸せな夫婦関係』を送ります。そんなある日、『雑誌社に勤めていた友人』に『あの子本当に可愛いわよね。チャイルドモデルになれるんじゃない?』と言われたことをきっかけに『衣料品の通販カタログのモデル』になった夕子。幹子は夕子を連れて『月二回の撮影所通いを続け』ます。そして、撮影が終わった後、スタジオ関係者に『広告代理店の人が今来てる』ので会って欲しいと言われた幹子。そこには『阿部夕子さんを我が社のCMのキャラクターに起用したいと思い、本日は参りました』と話す『有名な食品会社の』関係者が待っていました。『発売から三十周年にな』った『スターチーズ』の広報にこの先夕子の『成長していく様を撮り続け』たいというその申し出。契約書を見る幹子は、そこに『半永久』という文字を見て驚きます。『私たちは夕子ちゃんが”将来性のある”女の子だと考えてい』るとその契約期間の考え方を聞いた幹子は契約を決めます。『夕子の顔が全国に知れ渡るのだ』と思う幹子。一方で『無名の夕子はテレビや雑誌に出ることはほとんどなく、CMのなかだけで成長し、愛らしさを増していく不思議な存在』となっていきます。やがて、『CMの放映が重なるにつれ、ゆーちゃんは一体何者なんだという電話や仕事の依頼が広告代理店のほうに頻繁にかかってくるようになり、個人では対応しきれ』なくなります。そして『小学六年生にな』った『夕子は両親に連れられて、契約の話を熱心に持ちかけてきたS事務所を訪れ』ました。案内された社長室に『おお、ゆーちゃんだ』と現れた社長は、夕子を眺め回すと『うちに任せてください、ゆーちゃんを芸能界の荒波から守りながらどんどん成長させていきますよ…この子は日本で一番きれいに咲き誇ることのできる花です…』と話します。そんな場に同席した『制作部の部長』は『受ける仕事、スケジュール管理、売り出しの方針はすべて我が事務所に委託してもらいたい』と補足します。それに、『私はこれからも夕子の仕事の相談相手として、夕子の芸能活動を支えていくつもり』と宣言する幹子。そして、『夕子はS事務所と契約を結ぶことにな』りました。沖島という男性マネージャーが夕子の担当になり、『事務所に毎週決まった日時に通い、簡単な演技指導、カメラ前での表情の作り方、歩き方、目上の人間に接したときの礼儀正しい挨拶の仕方などを習』いはじめた夕子。そんなある日、幹子の実家で催された新年会へと出かけた三人に、『なんだかかわいそうな気がするね。こんな小さい頃から働いて、人目にさらされて』と心配そうな目で見る伯母に、『一番信頼できそうな事務所に決めたんだもの。夕子のこれからの活躍を支えてくれるわ』と返す幹子。そんな幹子に『幹子、ゆーちゃんに自分の夢を押しつけすぎたらいけないよ』と語る伯母。『大手芸能事務所』へと入り、ブレイクしていく夕子とそれを支える幹子の姿が描かれていきます。

    “幼い頃からチャイルドモデルをしていた美しく健やかな少女・夕子。中学入学と同時に大手芸能事務所に入った夕子は、母親の念願どおり、ついにブレイクする。連ドラ、CM、CDデビュー…急速に人気が高まるなか、夕子は深夜番組で観た無名のダンサーに恋をする。だがそれは、悲劇の始まりだった”と内容紹介にうたわれるこの作品。2004年に「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞された綿矢りささんが前作から3年半の期間を空けたのちに刊行された”芥川賞受賞第一作”となります。早稲田大学に在学中という当時の史上最年少記録での芥川賞受賞は綿矢さんにとって当然大きな出来事だったはずです。そんな偉業の後のプレッシャー、これは想像を絶するものがあったのではないかと思います。そして、そんな綿矢さんが送り出されたのがこの「夢を与える」という作品であり、2015年に小松菜奈さん主演でドラマ化もされています。

    そんなこの作品は三人称で書かれています。誰かの視点ということではなく、主人公となる夕子と幹子を第三者的に見る視点です。そこに描かれていくのが『大手芸能事務所』に入りスターダムにのし上がっていく夕子の姿です。物語は、夕子が幼き日に『衣料品の通販カタログのモデル』になったことからスタートします。ということで、芸能人・夕子のプロフィールを簡単にまとめてみましょう(笑)。

     ● 阿部夕子さんの略歴
      ・本名: 阿部夕子(あべ ゆうこ)
      ・両親: 父・トーマ(フランス人)、母・幹子
      ・生い立ち: 山も海も川もある自然にあふれた町で典型的なベッドタウンでもある昭浜で育つ
      ・学歴および芸歴
       - 昭浜の幼稚園に入園
        衣料品の通販カタログ(月刊)のモデル
       - 昭浜の小学校に入学
        衣料品の通販カタログ(月刊)のモデル
        有名食品会社のスターチーズのCMに出演(1年に2回新CM、半永久契約)(『ゆーちゃん』という決まり文句が定着)
        『大手芸能事務所』のS事務所と契約
          ※ マネージャーは沖島(男性)
       - 昭浜の中学校に入学
        ワイドショーの”期待の新人、あの子はだれ?”といったコーナーへの出演
        雑誌のグラビア撮影
        中高生向けの腕時計のイメージモデル
        一日郵便局長
        RQ刹那ギャルズクラブ(レースクィーン)に妹分として参加
       - 都内の私立M高等学校に入学
         ※ 幹子と都内のマンションに二人暮らし
        ホームドラマの初出演が決定、主人公の妹役
        バラエティ番組への出演
        AMラジオのパーソナリティ
        献血キャンペーンのイメージキャラクター
        ファッション誌専属モデル年間契約
        一月期の連続ドラマに準主役として出演
        CMタイアップ曲の制作、録音、インストアライブ

    …といった感じでしょうか?いかにも典型的な『子役』としてブレイクする芸能人という経歴そのものだと思います。物語は、そんな夕子の成長と、両親、特に母親・幹子との関係性に光を当てていきます。

    そんな作品は三人称で書かれた作品ならではの登場人物たちの心の動きが絶妙に描写されていくところが最大の読みどころではないかと思います。では、この作品一番の読みどころとも言えるスターダムにのし上がっていく夕子が見る芸能界の裏側を抜き出して見ましょう。

     『夕子は自分が芸能界を気に入っているかどうかも分からない…未来は見えず、ただ走り続けていた』。

    忙しさを増していく日々の中で落ち着いて現状を考える時間もなく、ただただ走り続けるしかない夕子を見る視点です。そこに、他の芸能人を第三者的に見る夕子の心持ちがこんな風に描かれます。

     『なんとかこの世界に生き残ろうと必死な芸能人たちは独特のオーラを放っているからすぐ分かった。明るい笑顔に”明日にでも使い捨てられるかもしれない”という不安が見え隠れしているからだ。また、いきなりもてはやされて、舞い上がってしまい、周りが見えなくなっている人も分かった。一度舞い上がるともう誰も止めてくれる者はいない』。

    なんだかとてもリアルです。芸能界という特殊な世界ならではの独特な雰囲気感を絶妙に言い表していると思います。また、あまりの忙しさの中に夕子はこんな高みへと足を踏み入れます。

     『疲れが極限に達すると一種の気持ちよさを体感する。二時間しか寝ずに飛び回っているときは、虹色の電光板でできたトンネルを走ってワープしている気分、トンネルから一歩出れば外は果てしない闇、トンネルの電気が明るすぎて外の様子なんて見えない』。

    私も一人の会社員として忙しい時間を過ごすことがありますが、ここまでの経験はないです。睡眠時間も十分に取れない極限状態に『一種の気持ちよさを体感する』というこの記述。それを具体的にこんな風にも記します。

     『学校に行ったら眠るだけ、放課後スタジオに直行し、マンションに帰るのは明け方。少し前のことがもうまるで思い出せず、世界がどのくらいの速さで回っているのか想像もつかない』。

    学業と芸能界の二足の草鞋を履く芸能人の皆さんの日常は必然的にこうなってしまうのだと思いますが、私にはとても務まりそうにないです。また、そんな光が当たる日々の感覚を絶妙に表現します。

     『スポットライトの光は熱いほどまぶしくて、当たらなくなってからも、まぶたを閉じても残像が消えない。強い光であればあるほど、舞台から降りたときの客席の暗闇は濃い』。

    これも舞台に立つ者の感覚を上手く表現していると思います。幼少期からフラッシュを焚かれ、CMでTVに登場し、芸能界を一気に駆け上がっていく夕子の姿が描かれるこの作品。それは、ある意味で成功者の歩む道であり、幼き日を知る読者だからこその感情移入もあって、そんな彼女の輝きが我がことのように感じて来ると思います。

    一方で、夕子はいつも帯同してくれる母親の幹子のことをこんな風に感じています。

     『夕子にとって母親はよく言われるステージママなどというものではなく、戦友だった』

    幹子への強い信頼感がそこに見え隠れします。そして、実際に、さまざまな悩み苦しみを幹子に相談し、共有していく夕子。そもそも夕子を芸能人への道に進ませたのは幹子ですし、有名食品会社とCM契約を結んだ時も『夕子の顔が全国に知れ渡るのだ』と一番喜んでいるのも幹子です。しかし、夕子の大人への成長は、そんな『戦友』であったはずの母親との関係性に変化をもたらしていきます。内容紹介にうたわれる”急速に人気が高まるなか、夕子は深夜番組で観た無名のダンサーに恋をする。だがそれは、悲劇の始まりだった”というその先の物語、親子の関係性に大きな変化が生じてもいく中に物語は大きく動いていきます。そんな中にこの作品の書名でもある「夢を与える」という言葉が浮かび上がってきます。マネージャーの沖島からのアドバイスもあって、夕子は自分の将来を訊かれるとこんな風に答えるようになります。

     『将来はテレビを見ている人に夢を与えるような女優になりたいです』

    いかにも優等生然とした答えです。さらには、『夢を与える瞬間』をこんな風に具体的に落とし込んでもいきます。

     『阿部夕子が本当に人に夢を与える瞬間は、出演している役を演じているときじゃなくて、私自身の人生で、普通の理想の人生を歩んでいるときなんだから。私は私の人生自体で人に夢を与えてるの』

    『人に夢を与え』続ける夕子が歩んでいく道のり。しかも、それが役作りの場ではなく、自らの『人生自体で人に夢を与える』という考え方は自身に対して非常に高いハードルを課しているとも言えます。十代にしてこんなある意味崇高な目標の下に生きる夕子。その一方で大人への階段を上がる中で、誰もが通る悩み苦しみを感じてもいく夕子。物語は後半に入って一気にスピードが上がっていきます。そして、その先に待つなんともやるせ無い結末、『人に夢を与えるような女優になりたい』と語った夕子の言葉がいつまでもあとを引く中に本を置きました。

     『夢を与えるとは、他人の夢であり続けることなのだ。だから夢を与える側は夢を見てはいけない。』

    芥川賞を受賞された綿矢りささんが受賞後第一作として送り出されたこの作品。そこには、芸能界をスターダムにのし上がっていく者の栄光と失墜の物語が描かれていました。まさしく芸能界の光と闇が描かれたこの作品。そんな物語の中に綿矢りささんらしく青春のほろ苦さを絶妙にブレンドしたこの作品。

    幼き日の夕子を知るからこそ、読者の心を激しく揺さぶり続ける物語の中に、「夢を与える」という言葉がいつまでもあとを引く素晴らしい作品でした。
    続きを読む

    投稿日:2024.01.22

  • おかみさん

    おかみさん

    どうなるんだろと気になり一気読みした。
    綿矢さんは、血なまぐさい情景の表現がうまいなぁとつくづく思いました。言葉の限りを尽くしグロを表現する感じ。偉そうですが称賛してます。

    投稿日:2023.12.28

  • りなっぴ

    りなっぴ

    このレビューはネタバレを含みます

    顔と運に恵まれ、順調に芸能界で活躍していた女の子が男によってダメになってしまう。恋愛は人間をおかしくしてしまう、なのにまた恋愛をしてしまう。本能なんだろうと思う。私自身、会いたくて仕方がないとか冷められているのを分かっていても離れたくないという気持ちは共感してしまった。大人になった今は、冷静に恋愛ができるようになった気がするが、まだ高校生の夕子からしたら初めての恋でその上仕事や受験の重圧もあり、恋愛にのめり込んでしまったんだろうなと思った。母のようにはなりたくないと思いつつ、やはり親の影響は大きく受けてしまう。小さい頃から母と親友のようにずっとにいたことによって余計にだと思う。母の勝手にやってきたことを押し付けがましく、あなたのために生きてきたと言ったシーンはすごく嫌な気持ちになった。毒親だと感じるし、そもそもの元凶は母だと思った。父が最後まで手に入らなかったように、他人はどうあがいても、自分のものにはならないし、思い通りには動かせないところが印象的だった。

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    投稿日:2023.10.20

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