闇の奥

辻原登 / 文春文庫
(9件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
2
3
2
0
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • oui

    oui

    コンラッドの『闇の奥』をなぞった物語だと思いきや、その創意工夫のうえではコンラッド版を凌駕している。けれども「クルツ」と「三上隆」を比較すると、人物造形という点では、クルツは人間の閾を振り切っているという点で圧倒的だ。そしてまた、クルツが生身の人間であることを示した点でも、圧倒的に存在感がある。
    「三上隆」のモデルは、間違いなく、紀州が生んだ知の巨人、「南方熊楠」だろう。三上はクルツに対し、妖精のような存在だ。しかし辻原版で、気配でありながら圧倒的に存在感を持つのは「小人」。
    本作は、もはや現代においてクルツのようなエゴの極北のような個性的人物は存在しえない代わりに、無個性な人間の背後で小人が一役買っている、と言っているかのよう。
    小人はチベットで暗躍したCIAでもある。小人を突き詰めていくと、そこに実体はなく、ただ「制度」だけが残る。
    本作は幻想的な小説であるかと思いきや、じつはひどく現実的な小説だ。
    続きを読む

    投稿日:2017.06.25

  • taka_2

    taka_2

    小人族と1人の日本人を巡る世代を超えた冒険物語的なもの。
    ノンフィクションか、フィクションか、はっきりしていればもう少し楽しめた気もするのだけど、中途半端に毒カレー事件とか、数学者のナントカとか、物語に没入しづらかった。続きを読む

    投稿日:2015.10.24

  • isiwari

    isiwari

    フィクションなのに、実在した冒険家の手記を読むようで、壮大なドキュメンタリーに感じる。
    熊野の山奥、ボルネオ、チベット、、、小人伝説と蝶を追って消えた1人の探検家を追う、彼の教え子たちの更なる冒険譚。
    大陸を跨ぎながらも森の奥は全て繋がっているようで恐ろしい。
    前に進む怖さより、何もしないことが怖くなる気がした。
    現実と夢がどろりと底なしに一緒くたの、本気のファンタジー。
    続きを読む

    投稿日:2015.10.15

  • 文藝春秋公式

    文藝春秋公式

    【小人伝説を追う、一大冒険ロマン!】太平洋戦争末期に、北ボルネオで姿を消した民族学者・三上隆。彼の生存を信じる捜索隊は、ジャングルの奥地で妖しい世界に迷い込む。

    投稿日:2014.09.09

  • vacubaku

    vacubaku

    おすすめ!これは二回読まなきゃいけないやつ。big issueの書評にあって気になっててbookoffで見つけて一気に読んだ!もちろん買って笑。

    小人族を探して行方不明になったミカミ博士と、彼を捜す人たちの話し。

    「空想があってこそ現実が生まれて、またその現実によって空想が大きくなる」っていうのがテーマだったのかな。読んでると、ファンタジーなのか実際にあった話なのか区別がつかなくなる。読み終わって色々事実確認のためにググってしまって、まさにテーマ通りになった気がする。

    もととなった同名の小説、コンラッドの「闇の奥(Heart of Darkness)」も是非読んでみたい。コンラッドの「闇の奥」はイギリスの植民地政策を暗に批判したものらしい。
    続きを読む

    投稿日:2014.04.27

  • 美希

    美希

    円朝~でもうまいなあとうなったけど今作も思わぬところでゾクっとさせられる。
    まず、入りは思いっきり怪談調。
    熊野の奥に「小人の村」があるから行こうと意気込んで男三人が山へ入る。
    そこで経験したことについては誰も語らない。

    そして主人公が父親の家の遺品を整理しに行き、偶然見つけた手紙に誘われるように物語は進む。

    戦中戦後父親が探していた三上隆という博物学者。彼は小人の存在を信じ、調査を続けていた。
    主人公の父親がメンバーの一人だった三上隆捜索隊のジャングルでの冒険譚、首狩族、小人たち、ふっと話に現れては消える三上隆らしき人物の影。

    通常、物語は最初「え、なにこのエピソードたちどうやってつながるの」って思って後半に行くにつれて視界が晴れる。でもこの物語は真逆。

    和歌山カレー事件が絡み、捜索隊は第5次にまで至り、熊野の奥を探検したうちの一人の息子から父親が吹き込んでいたテープを受け取り、ここでまた主人公の私は言葉を精査して物語を作り上げる。

    終盤、主人公らは第5次捜索隊として中国のマツタケツアーに紛れ込んで山の奥深く、外国人が通常立ち入りを禁止されている奥地にまで行って三上隆の実像を探り当てようと奮闘する。最後の一行であんなにシンプルに救われるなんてすごいです。

    狙ってジャングル、ピグミー、宗教的なものを選んだわけじゃないのに「13」のあとにこういう物語を読めた偶然に感謝。
    続きを読む

    投稿日:2014.03.15

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

本棚の開き方(スマートフォン表示の場合)

画面左上にある「三」ボタンをクリック

サイドメニューが開いたら「(本棚アイコンの絵)」ボタンをクリック

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。