【感想】彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス

ジャック・キャンベル, 月岡小穂 / ハヤカワ文庫SF
(20件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
5
7
5
0
0
  • ギャップに悩む主人公が面白い

    ファンタジーで異世界に行ってヒーローになったり、未来や過去に飛ばされてヒーローになったりと今までにもいろんな設定での話はありましたが、本作の主人公は冷凍睡眠から目が覚めたら未来だったという話。ただこの使い古された設定にひねりを効かせているのが、自分が未来では英雄になっていてそこに「本人」として登場するというちょっと今までにはないパターン。そこで偶像化された自分と本来の自分とのギャップに悩む主人公が面白い。また未来は進化して当たり前という定説を長期化した戦争で人材やノウハウが失われてしまった疲弊した社会にして主人公の過去の戦術や思想が生きてくるという一種逆説的な展開にしているあたりがいい味を出しています。

    大筋でオーソドックスな話ではありますが、主人公のギアリーに魅力を感じることができればこのシリーズは楽しく読めるでしょう。
    続きを読む

    投稿日:2013.11.06

ブクログレビュー

"powered by"

  • あ

    英雄として希望を寄せられる主人公が苦労しながらも活躍します。主人公の立場や苦悩にリアリティがあり、重厚感のあるSFでした!

    投稿日:2024.02.18

  • 山川欣伸

    山川欣伸

    一世紀に渡りシンディックと戦ってきた同盟軍は大敗を喫した。今やその艦隊は足手まといになり、敵地で足止めを食らっている。同盟軍の唯一の希望は、一世紀に及ぶ冬眠で眠る伝説の提督、ブラック・ジャック・ギアリーに託された・・・というストーリーのミリタリーSFシリーズの第1弾です。

    本書の主人公、ブラック・ジャック・ギアリーが目を覚ますと、そこには総力戦によって引き裂かれた銀河が広がっていた。同盟軍は敵対勢力のシンディックとの果てしない戦いを繰り広げていましたが、罠にはめられ、同盟軍の指揮官は全員殺され、残された艦長たちはゆっくりと、失われた艦隊の指揮を執るべき地位にある唯一の男がギアリー名誉提督であることに気づきます。周囲からの英雄崇拝に愕然としながらも、ギアリーは自分の義務を果たすことに。作者ジャック・キャンベルには、敵地に取り残された船団が戦いに立ち向かうという物語の本書で、銀河系全体を横断する旅に私たちを連れて行ってくれます。

    プロットも、キャラクター設定も、シンプルでユーモアが光る作品でした。たとえば宇宙戦。もともと私はミリタリーSFをそんなには読まないのですが、たまには宇宙戦もいいですね。本書の宇宙戦は、複雑な戦術や艦隊の操縦を見事に描写しており、非常にサスペンスに満ちていて、スター・ウォーズで描かれたものよりも魅力的に思えました。ただこのシリーズの最大の弱点は、その設定です。単体で見ると、スターウォーズやデューン、ハイペリオンなどと比べると、どうしてみ見劣りしてしまう部分があります。2つの対立する派閥のどちらにも深みがなく、どの惑星も魅力的ではありません。とはいえ、このシリーズには可能性があり、キャンベルはそれをどんどん利用していくのですが、序盤のうちはこの設定ゆえに驚くほど面白くないのが難点です。
    続きを読む

    投稿日:2024.01.22

  • 探耽(たんたん)

    探耽(たんたん)

    未来に蘇ったジョン・ギアリー大佐を中心に展開する、ミリタリーSFの彷徨える艦隊シリーズ第1巻です。
    2つの星間人類文明であるアライアンスとシンディックは、終わりの見えない泥沼の戦争を続けています。
    機的状況のアライアンス艦隊は古戦場で漂う救命ポッドを回収、それには100年前に死亡したと思われていた伝説の“ブラック・ジャック”ことジョン・ギアリーが人工冬眠状態で眠っていました。
    特進による大佐でしたが、英雄視されていたギアリー大佐はアライアンス艦隊士官の多くから崇拝されることになります。
    今まさにシンディックと不利な交渉を行おうとしているアライアンス旗艦ドーントレスで蘇ったギアリーは事の成り行きと不在だった年月に何があったのかの不安で一杯となり、やはり状況は悪化していくのです。
    希望は“ブラック・ジャック”以外に無く、本当は普通の人間であるジョン・ギアリーに託されることになりました。
    多くのジェネレーションギャップに悩まされることになりますが、しかし同時にそれが強みにもなるところに面白みがあります。
    図らずも艦隊司令官となったギアリー率いるアライアンス艦隊を待ち受ける未来とは…。
    2巻にも期待します。
    続きを読む

    投稿日:2022.05.13

  • 凪野基

    凪野基

    26:突然始まったな! というのがしょっぱなの感想。百年を経てコールドスリープから目覚めた主人公視点で進むため、世界観の説明が親切かつ丁寧で、そのあたりは混乱なく読めたのですが、「実はこんな兵器がありました」ネタが多く出てきそうなのが不安です……。面白いのは面白いのですけど、続きはどうしようかなあ?続きを読む

    投稿日:2018.10.08

  • paraparayomu

    paraparayomu

    シリーズ第一弾 可もなく不可もなし
    表紙   5点寺田 克也   月岡 小穂訳
    展開   5点2006年著作
    文章   5点
    内容 520点
    合計 535点

    投稿日:2017.11.23

  • Στέφανος

    Στέφανος

    地球人は二つの勢力に分かれ100年以上も戦争を続けている。100年前の戦闘で救命ポッドによって冬眠状態だった主人公は、味方艦隊に救われる。しかし、その時味方は敵艦隊に圧倒されていた。首脳陣が全員殺害され、主人公は艦隊を率いることになってしまう。彼には3隻のチームを指揮したことしかなく、100年前の戦いの特別昇進で大佐になっただけというのに…。ところが、彼はすでに伝説の英雄と見なされていた。彼は艦隊を率いて母星に帰還することを目指す。
    神格化した彼に全幅の信頼をよこす者にうんざりし、彼の指揮能力に疑問を持つ者の反発に会い、彼の艦長職務は一筋縄ではいかない。なおかつ、この100年で艦隊としての集団戦法は失われ、各自がてんでばらばらに攻撃するしかできなかった。
    館長としての負託に応え、皆をまとめて帰還することができるか?
    というのが、大体のあらすじ。艦は亜光速で飛行することができ、ワープ航法も手に入れているが、通信系だけは光速を越えられないという制約が話の展開を面白くさせている。
    そして、英雄と素の自分という主人公自身の葛藤と、彼に様々な目を向ける艦長たち。
    単なるスペースオペラではない、複雑な人間ドラマを展開する!
    続きを読む

    投稿日:2016.11.10

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。