【感想】モサド・ファイル イスラエル最強スパイ列伝

マイケル バー=ゾウハー, ニシム ミシャル, 上野 元美 / 単行本
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
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  • 2013年度のインテリジェンス関係の必読本

    読み終えるのが惜しかったし、今後も折りに触れて再読するだろうなと思わせる本。
    一人始末するのに、30人近くが現地入りしたりする。国籍も多彩で、旅行者の格好で現れ、捕まりそうになると各大使館に駆け込む。現地では、弁舌巧みに説得したり、賄賂を贈るかと思えば、誘惑し、静かに引き金を引く。
    決して忘れないのは、受けた仕打ちだけでなく、不運にも捕まってしまった仲間に対しても。決して捨て駒にはしない。
    工作員もそれぞれ頭の回転が速く、機転が利き、とにかく献身的なのだ。
    ただ注意深く読めば、その歴史においてモサドの活動が変質していることがわかるし、いまインテリジェンスの世界で占める地位も不変ではないことがわかる。
    勝ち逃げを決して許さず、一度でもお尋ね者のリストに加えられれば、モサドの手から逃れることはできないとテロリストに思わせることで、敵を動揺させ、危機を未然に防ぐ狙いもあってか、最強神話を自ら作り上げている。
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    投稿日:2013.12.12

  • 現実のミッション・インポッシブルはきれいごととは縁遠い。

    この本にも時々登場するイスラエル人ジャーナリストのロネン・バーグマンのシークレット・ウォーズがホメイニ革命以後のイランvsモサドを中心に書いているのに対し本書では特に1948年の建国から1980年代までのモサドの活躍を中心に書かれている。バーグマンもかなりイスラエルよりだと感じたが、本書は完全にイスラエルの立場で書かれており、暗殺や国外での誘拐など他国の主権を無視する行為も肯定的に書かれている。イスラエルでベストセラーになった理由がよくわかるがちょっと一方的すぎる。モサドの失敗談も書かれているがバーグマンの方が辛辣だ。

    全21章にはナチスのアイヒマン誘拐と処刑、ミグ21の略奪、黒い9月のミュンヘンオリンピック事件、スターリンを批判したフルシチョフ演説の入手などがあり、シリアのクーデーターでバース党が実権を握った際に革命議会に食い込み次期閣僚候補になったエリ・コーヘン、エジプトのナセル大統領の義理の息子となり、サダトの情報担当大統領秘書官になったアシュラフ・マルワン(イスラエルに偽情報を流した二重スパイとの説もあるが、モサドはイスラエルのスパイであったことを認め、エジプトのムバラク大統領は公式には否定した)が取り上げられている。

    直近ではモサドの27名からなるチームがドバイのホテルでハマスの指導者にして武器密輸の要アルマブフーフを暗殺する工作の様子が空港、ホテルのカメラに収められている。現実のミッション・インポッシブルはきれいごととは縁遠い。

    中東和平交渉が再開し始めているがどうなることやら。イスラエルはアラブから信用できる相手に見えるのか?アラファト議長暗殺についてもイスラエルのペレス大統領が関与を認めている。
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    投稿日:2014.01.01

  • キ-ワ-ドは核兵器?

    イスラエルを守るというモサドの活動を、いくつかのケ-スで紹介してあります。諜報活動というより、イランの核兵器開発の関係者を排除する、黒い九月の幹部を排除するといった、特殊作戦のほうが多いようです。それを意識してか、最後のほうで、ヨルダンやエチオピアからのユダヤ人の移送の話に触れています。直接は、本の内容とは関係ありませんが、核兵器を開発しようとするアラブ側の政権を、イスラエルとアメリカが対処するといった視点で考えると、中東情勢が解りやすいような気がします。続きを読む

    投稿日:2017.02.27

ブクログレビュー

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  • yoshi1004

    yoshi1004

    生々しかった。アイヒマンと言うユダヤ人処刑の最前の指揮官とか、北朝鮮とか、漠然としたニュースが、しっかりとフォーカスされた感がある。
    あまりに世界を知らない我々へのシグナルの感もする。

    投稿日:2022.12.28

  • フィドラー

    フィドラー

    ナチによるホロコーストの指揮を執ったというアドルフアイヒマンの補足劇を読みたくてこの本を手に取った。ほかのいくつかの章も興味深かったが、半分まで読んだところで疲れて中断した。

    投稿日:2021.10.14

  • pulse02

    pulse02

    世界最強のインテリジェンス機関と言われているイスラエル モサドの過去のエピソードが綴られている。
    ただし、単にエスピオナージを踏み越えた、国家権力としての国際法を踏み越えたオペレーション(拉致、暗殺)には、ただただ震撼するのみ。
    平和国家日本にとどまっているだけではイメージできないこの地球上で実際に起きた事実が体感できます。
    ただし、イスラエルの方が著者なので、その点は多少のバイアスを考慮した方がいいかもしれません。
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    投稿日:2017.05.07

  • shimu2

    shimu2

    [事実は小説よりも危なり]その全貌については知られていないけれど、泣く子も黙るという形容がピッタリとくるほど圧倒的な存在感を誇る、イスラエルの諜報機関「モサド」。彼らが手がけてきた数々の秘密オペレーションの成功、そして失敗を徹底的な調査を基にしてまとめた作品です。作家としても活躍するマイケル・バー・ゾウハーとニシム・ミシェルによる共著作品で本書はベストセラーとなりました。訳者はミステリー作品なども手がけている上野元美。原題は、『Mossad: The Greatest Missions of the Israeli Secret Service』。


    スパイ小説顔負けの作戦の数々に驚かされること間違いなし。暗殺をも厭わない任務の数々に、読み終えた後に思わず「尋常じゃないな......」とつぶやいてしまうほど。他方、そのモサドを貫く倫理観(これは場外からイスラエルを眺める人間のもののそれとはまるっきり質が異なるものではないでしょうか)の淵源と強靭さを、本書後半のエチオピアからのユダヤ人救出エピソードに見ることができるように思います。


    個人的に本書を読んでいて勉強になったのは、モサドという組織がどのように国家機構の中に位置付けられていて、政策決定プロセスと絡んでいるのかというところ。圧倒的な力を有する機関が人的・組織的にいかにコントロールされているのかという点は、組織運営という点でも参考になる点が多いのではないのかと思います。

    〜だれかが殺しにくるのなら――立ちあがって、その男を先に殺せ〜

    しかしよく調べたな☆5つ
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    投稿日:2015.08.19

  • ichien

    ichien

    これだけで映画20本撮れそう。謀略機関とはそもそも人間らしさから逸脱してるものだけど、イスラエルの場合はもう一段階気が狂っている。

    投稿日:2014.07.23

  • okadata

    okadata

    この本にも時々登場するイスラエル人ジャーナリストのロネン・バーグマンのシークレット・ウォーズがホメイニ革命以後のイランvsモサドを中心に書いているのに対し本書では特に1948年の建国から1980年代までのモサドの活躍を中心に書かれている。バーグマンもかなりイスラエルよりだと感じたが、本書は完全にイスラエルの立場で書かれており、暗殺や国外での誘拐など他国の主権を無視する行為も肯定的に書かれている。イスラエルでベストセラーになった理由がよくわかるがちょっと一方的すぎる。モサドの失敗談も書かれているがバーグマンの方が辛辣だ。

    全21章にはナチスのアイヒマン誘拐と処刑、ミグ21の略奪、黒い9月のミュンヘンオリンピック事件、スターリンを批判したフルシチョフ演説の入手などがあり、シリアのクーデーターでバース党が実権を握った際に革命議会に食い込み次期閣僚候補になったエリ・コーヘン、エジプトのナセル大統領の義理の息子となり、サダトの情報担当大統領秘書官になったアシュラフ・マルワン(イスラエルに偽情報を流した二重スパイとの説もあるが、モサドはイスラエルのスパイであったことを認め、エジプトのムバラク大統領は公式には否定した)が取り上げられている。

    直近ではモサドの27名からなるチームがドバイのホテルでハマスの指導者にして武器密輸の要アルマブフーフを暗殺する工作の様子が空港、ホテルのカメラに収められている。現実のミッション・インポッシブルはきれいごととは縁遠い。

    中東和平交渉が再開し始めているがどうなることやら。イスラエルはアラブから信用できる相手に見えるのか?アラファト議長暗殺についてもイスラエルのペレス大統領が関与を認めている。
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    投稿日:2013.08.01

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