二流小説家

デイヴィッド・ゴードン, 青木千鶴 / ハヤカワ・ミステリ文庫
(105件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
7
28
47
12
2
  • 仕事は選ぼう

    題名通り、二流の小説家が主人公。いつかは自分の書きたいもので稼ぐ生活を夢見つつ、今はエロから吸血鬼ものまで、依頼を受ければ複数のペンネームを使い分けて仕事をこなし、それだけでは生活が立ち行かないので家庭教師のバイトもしています。そんな彼のもとに、ベストセラー作家になるチャンスが訪れます。

    発端は一通の手紙。
    凶悪な連続殺人を犯した死刑囚が彼の小説を気に入り、すべてを告白するから自分のことを書いてほしいと言ってきたのです。
    またとないチャンスとばかりに、刑務所での面会を申し込んだ彼ですが、それは新たな連続殺人事件の始まりでした。

    作品の所々に差し挟まれる彼の小説や、死刑囚の依頼に沿って執筆した物語がアクセントとなって、ラストまで一気に読ませます。

    前評判がとてもよく映画化もされた本作ですが、過度に期待しすぎると肩透かしを食らうかも?
    軽い気持ちで読んだ方が楽しめると思います。
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    投稿日:2014.10.08

  • 何かを作る人間の矜持

    いくつものペンネームを駆使してミステリ、SF、ヴァンパイア小説を手がける二流作家・ハリー。
    連続猟奇殺人犯のためにポルノを書くのと引き換えに告白本の執筆を依頼されるのだが…。

    二重三重に捻られたプロット。魅力的な登場人物。
    殺人犯の過去の事件を浚うのかと思えば、新たな事件が発生し予想もつかない展開になっていく。
    事件に振り回されつつ、小説家としての自分を内省するハリーに、時折挿入される彼の作品の一節。
    これがまたよく出来ていて、続きが読みたい!なんて思ってしまう。
    生きていくために心ならないものも書かなくてはならない二流小説家に、自分を重ねてみたりもした。
    ちょうどそんな心境だっただけに、最後のハリーの決意に妙に胸を打たれた。
    そんな個人的事情はさておいても、事件自体は悲惨ではあるのだけどとても面白い作品で、邦題の付け方もいいなと思った。
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    投稿日:2013.12.23

  • 上川隆也じゃかっこよすぎだなぁ(笑)

    直接起こる事件の描写の合間に、小説家である主人公が書いた小説の一節が挟まれているのですが、それが何気に面白い。できれば、その単独作品も読みたい位。ただ腐女子ターゲットの吸血鬼小説なので、面白いと思った私は腐女子だったのかと愕然ww。
    本編の殺人事件の描写は結構グロテスクなので、苦手な人は苦手かもしれないけど、登場人物すべてが怪しいので、結末がわかる最後までじっくり楽しめるミステリーだと思います。
    映画も見たいけど、上川さんじゃちょっとかっこよすぎるかなぁ・・・。
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    投稿日:2013.11.14

  • 推理小説を愉しむことへの疑問や反省

    同じ年(2012)に、ミステリーファンから喝采を受けた本書と『最初の刑事』が期せずして、推理小説を愉しむことへの疑問や反省を促していることが面白い。

    投稿日:2013.12.12

ブクログレビュー

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  • don

    don

    冴えない小説家が死刑囚から事件の全貌についての執筆を依頼される。そしてその条件として、自分を慕っている女性とのポルノ小説の執筆も依頼される。二流小説家から脱却するため主人公はそれらの女性にインタビューを行うと新たな事件が発生し、主人公は第一容疑者になってしまう
    本筋の物語は面白く、助手との会話もユーモラスで楽しいが間に挟まれる主人公の作品による劇中作や作者の小説のような部分は読み飛ばした。また作者がポルノ業界の出だからか性的な用語が頻繁に出てくるので人を選ぶと思う
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    投稿日:2022.08.12

  • 夕芽

    夕芽

    このレビューはネタバレを含みます

    『二流小説家』 デイヴィッド・ゴードン (ハヤカワミステリ文庫)

    いやー何て言えばいいんでしょう。
    確かにすごい。
    猟奇殺人だもんね。
    なんでそこで腸を引っぱり出す !? と、つっこむ内容もエグイ(苦笑)

    しかしこれをミステリーとして読むと、どうも物足りない気がするのはどうしてだろう。
    一読目の正直な感想は、え?これで終わり?だった。

    いろんなミステリーの賞を総なめしているということで、さぞかし複雑な仕掛けや驚きの大どんでん返しが待ち受けているに違いない、と楽しみにしていたのだが、わりと普通に話は進んで行き、最後の最後に何か来るか?とドキドキしているうちに終わってしまった。
    あれ?ミステリーじゃなかったのか……
    どう読めばいいんだこの本は。

    そして再読。
    ああ、そうか。
    主人公がいい人なんだ。
    これはいいなぁ。


    主人公のハリー・ブロックは小説家である。
    さまざまなペンネームを使い分け(ときには女装もし)、SF、ミステリー、ヴァンパイア、ポルノなど、生活のためには何でも書く。
    が、売れ行きはイマイチパッとしない、うだつの上がらない二流小説家だ。

    同居の恋人ジェインには逃げられ、ビジネスパートナーの女子高生クレアにはてんで頭が上がらないという、冴えない中年オヤジだが、一部のマニアックな読者には支持されているらしく、そこそこファンもついていたりする。


    ある日、ハリーのもとに、連続殺人犯として刑務所で暮らすダリアン・クレイという人物から手紙が届く。
    ダリアンは、自身の事件の告白本の執筆をハリーに依頼してきたのだった。

    が、それには一つ条件があった。
    ダリアンを崇拝する女性たちを取材し、彼女たちを登場させたポルノ小説を書けというのだ。
    ハリーは三人の女性に会いに行くのだが、直後、その女性たちが、ダリアンが過去に起こした事件と全く同じ手口で殺されているのが発見される。
    ダリアンは無実なのか。
    だとすれば真犯人は誰なのか……


    ストーリー的には目新しいものはないが、目を引くのは何と言っても、物語ラスト近くの、殺人遍歴ともいえるダリアンの告白。
    読んでいて気分が悪くなる。
    殺すだけでなく、内臓を全部取り出し、バラバラにした体を並べ、そこに芸術性を見出す。
    人間の体の、しかも“中身”に偏執するダリアンの異常性は、この物語の核だ。

    一方で、はからずも事件に巻き込まれてしまったハリーは、いたって普通の常識を持つ善良な一般市民であり、この二人の、というか二つの世界が交差したときどうなるのか、という部分があまり描かれていないところが、私は物足りなかった。

    この二人は、直に接触を持っているにもかかわらず、互いに影響を与えるでもなく、ハリーはダリアンの心の闇の部分に踏み込むことをしないまま、またダリアンは自己満足に浸ったまま、あっさりと死刑になってしまうのだ。
    死刑の描写が異常に詳しいのが不気味だった。


    ところで、話の途中で挟まれる、ハリーが書いたいわゆる“二流小説”が、結構楽しかった。

    「残虐な殺し屋、冷酷なポン引き」とか、「惑星ゾーグ-さまよえる愛奴船」とか、タイトルも笑える。


    思えばすべてはハリーの女装からはじまった。

    恋人には出て行かれ、生活費のために女子高生の家庭教師をすることになり、ダリアンの依頼を引き受け、あげく殺人事件の容疑者にされ、おまわりさんにグーで殴られ、泥にはまり、真犯人に襲われ……
    最後にはダニエラとクレアとも別れて、またひとり机に向かう。


    ハリー・ブロックの受難物語だと思って読めばこの小説、なかなかに味がある。

    最後にクレアから届いたメールが、ハリーの人柄を表している。

    「わたしが必要なふりをずっとしていてくれてありがとう。」

    実はクレアもいい子だった。
    最後に感動するとは思わなかったな。
    なかなかよかったです。

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    投稿日:2022.07.03

  • mono93

    mono93

    知らずと2回目。
    タイトルでは思い出さなかったが、数ページ読んで思い出した。ということは覚えているということ。

    投稿日:2021.08.07

  • sources

    sources

    このレビューはネタバレを含みます

    おおいに楽しめる小説だった。まず『二流小説家』という邦題がなんともよろしい。原題では「The Serialist」(連載作家)となっている。主人公であり語り部である「ぼく」は、大衆雑誌にヴァンパイア系小説やポルノ小説を書いたり、バイトで家庭教師をしたりと気ままに暮らす「二流小説家」。その「二流小説家」がある日、連続殺人鬼で死刑が迫る囚人からファンレターを受け、独占の告白本執筆を持ちかけられるが・・・という物語。ミステリー小説なのに私小説風で、最初のうちは「ライ麦畑でつかまえて」のような感触を持ったが、主人公の書く連載作品が微妙な関連性を示唆しつつ並行して挿入され、読んでいるうちに「ぼく」の実在感覚が幻惑されていく巧みな構成に入る。そして「ミステリー」らしく、ちゃんと猟奇連続殺人に「ぼく」は巻き込まれ、作家から探偵に流れが変わり、本格推理を気取った「読者への挑戦状」まで用意されている。やがて明らかになるのは連続殺人犯人と被害者たち、そして「ぼく」の皮肉で悲しい人生の交錯。物語の横軸には愛と別れが綴られる。残されたのは小説家としての「ぼく」独り。そんな終わり方に、なぜかハードボイルドな爽快さが感じられた。評判通りの傑作。

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    投稿日:2020.10.30

  • zippin

    zippin

    異なるペンネームでポルノ雑誌のライター、SF小説、ヴァンパイア小説を手がけている中年の作家が主人公。キャラ設定は軟弱だが、中身はハードボイルド、サスペンス、謎解ミステリー要素がしっかり。更に作中には、主人公の数々の小説が挿入されているので散漫に読むと楽しめないかも。逆に集中するととんでもなく面白い。
    またアメリカンジョークや往年のミステリー談義等もあり、この辺は読者を選ぶ内容かもしれない。
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    投稿日:2020.05.16

  • べそかきアルルカン

    べそかきアルルカン

    本書の中で起こった、あるいは起こる事件は、
    とても残酷で目を覆うばかりに陰惨なものです。
    犯人の狂気、被害者遺族の心情が絡む
    やりきれない物語になるところを、
    二流の作家を主人公に据えることで、
    エンターテイメント小説として
    楽しめる工夫がなされています。
    虚構の中よりも現実の方が謎に満ちているということ、
    そして、すべての命は
    ひと粒の雫に過ぎないということが、
    想像によって創作された
    架空の物語の中で語られていて、
    とても興味を惹かれました。
    最後まで中だるみすることのないサスペンス。
    これが処女作だなんて凄いですね。



    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
    続きを読む

    投稿日:2020.02.03

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