二流小説家

デイヴィッド・ゴードン, 青木千鶴 / ハヤカワ・ミステリ文庫
(105件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
7
29
46
13
2
  • 仕事は選ぼう

    題名通り、二流の小説家が主人公。いつかは自分の書きたいもので稼ぐ生活を夢見つつ、今はエロから吸血鬼ものまで、依頼を受ければ複数のペンネームを使い分けて仕事をこなし、それだけでは生活が立ち行かないので家庭教師のバイトもしています。そんな彼のもとに、ベストセラー作家になるチャンスが訪れます。

    発端は一通の手紙。
    凶悪な連続殺人を犯した死刑囚が彼の小説を気に入り、すべてを告白するから自分のことを書いてほしいと言ってきたのです。
    またとないチャンスとばかりに、刑務所での面会を申し込んだ彼ですが、それは新たな連続殺人事件の始まりでした。

    作品の所々に差し挟まれる彼の小説や、死刑囚の依頼に沿って執筆した物語がアクセントとなって、ラストまで一気に読ませます。

    前評判がとてもよく映画化もされた本作ですが、過度に期待しすぎると肩透かしを食らうかも?
    軽い気持ちで読んだ方が楽しめると思います。
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    投稿日:2014.10.08

  • 何かを作る人間の矜持

    いくつものペンネームを駆使してミステリ、SF、ヴァンパイア小説を手がける二流作家・ハリー。
    連続猟奇殺人犯のためにポルノを書くのと引き換えに告白本の執筆を依頼されるのだが…。

    二重三重に捻られたプロット。魅力的な登場人物。
    殺人犯の過去の事件を浚うのかと思えば、新たな事件が発生し予想もつかない展開になっていく。
    事件に振り回されつつ、小説家としての自分を内省するハリーに、時折挿入される彼の作品の一節。
    これがまたよく出来ていて、続きが読みたい!なんて思ってしまう。
    生きていくために心ならないものも書かなくてはならない二流小説家に、自分を重ねてみたりもした。
    ちょうどそんな心境だっただけに、最後のハリーの決意に妙に胸を打たれた。
    そんな個人的事情はさておいても、事件自体は悲惨ではあるのだけどとても面白い作品で、邦題の付け方もいいなと思った。
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    投稿日:2013.12.23

  • 上川隆也じゃかっこよすぎだなぁ(笑)

    直接起こる事件の描写の合間に、小説家である主人公が書いた小説の一節が挟まれているのですが、それが何気に面白い。できれば、その単独作品も読みたい位。ただ腐女子ターゲットの吸血鬼小説なので、面白いと思った私は腐女子だったのかと愕然ww。
    本編の殺人事件の描写は結構グロテスクなので、苦手な人は苦手かもしれないけど、登場人物すべてが怪しいので、結末がわかる最後までじっくり楽しめるミステリーだと思います。
    映画も見たいけど、上川さんじゃちょっとかっこよすぎるかなぁ・・・。
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    投稿日:2013.11.14

  • 推理小説を愉しむことへの疑問や反省

    同じ年(2012)に、ミステリーファンから喝采を受けた本書と『最初の刑事』が期せずして、推理小説を愉しむことへの疑問や反省を促していることが面白い。

    投稿日:2013.12.12

ブクログレビュー

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  • sources

    sources

    このレビューはネタバレを含みます

    おおいに楽しめる小説だった。まず『二流小説家』という邦題がなんともよろしい。原題では「The Serialist」(連載作家)となっている。主人公であり語り部である「ぼく」は、大衆雑誌にヴァンパイア系小説やポルノ小説を書いたり、バイトで家庭教師をしたりと気ままに暮らす「二流小説家」。その「二流小説家」がある日、連続殺人鬼で死刑が迫る囚人からファンレターを受け、独占の告白本執筆を持ちかけられるが・・・という物語。ミステリー小説なのに私小説風で、最初のうちは「ライ麦畑でつかまえて」のような感触を持ったが、主人公の書く連載作品が微妙な関連性を示唆しつつ並行して挿入され、読んでいるうちに「ぼく」の実在感覚が幻惑されていく巧みな構成に入る。そして「ミステリー」らしく、ちゃんと猟奇連続殺人に「ぼく」は巻き込まれ、作家から探偵に流れが変わり、本格推理を気取った「読者への挑戦状」まで用意されている。やがて明らかになるのは連続殺人犯人と被害者たち、そして「ぼく」の皮肉で悲しい人生の交錯。物語の横軸には愛と別れが綴られる。残されたのは小説家としての「ぼく」独り。そんな終わり方に、なぜかハードボイルドな爽快さが感じられた。評判通りの傑作。

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    投稿日:2020.10.30

  • zippin

    zippin

    異なるペンネームでポルノ雑誌のライター、SF小説、ヴァンパイア小説を手がけている中年の作家が主人公。キャラ設定は軟弱だが、中身はハードボイルド、サスペンス、謎解ミステリー要素がしっかり。更に作中には、主人公の数々の小説が挿入されているので散漫に読むと楽しめないかも。逆に集中するととんでもなく面白い。
    またアメリカンジョークや往年のミステリー談義等もあり、この辺は読者を選ぶ内容かもしれない。
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    投稿日:2020.05.16

  • べそかきアルルカン

    べそかきアルルカン

    本書の中で起こった、あるいは起こる事件は、
    とても残酷で目を覆うばかりに陰惨なものです。
    犯人の狂気、被害者遺族の心情が絡む
    やりきれない物語になるところを、
    二流の作家を主人公に据えることで、
    エンターテイメント小説として
    楽しめる工夫がなされています。
    虚構の中よりも現実の方が謎に満ちているということ、
    そして、すべての命は
    ひと粒の雫に過ぎないということが、
    想像によって創作された
    架空の物語の中で語られていて、
    とても興味を惹かれました。
    最後まで中だるみすることのないサスペンス。
    これが処女作だなんて凄いですね。



    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
    続きを読む

    投稿日:2020.02.03

  • こまいぬ

    こまいぬ

    小説家版「羊たちの沈黙」になるのかと思いきや、どストレートなミステリー。
    それぞれのキャラクターが好み。
    主人公に絡んでくるのは美女ばかり、そこはハードボイル風。

    このキャラクター達の物語を読んでみたい、というほど楽しい読書でした。

    大満足。
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    投稿日:2019.12.31

  • 真珠の助

    真珠の助

    このレビューはネタバレを含みます

    本名を出さずに仮名で色々なジャンルの小説を書いている小説家が主人公。
    主人公のハリーがある日、収監されている死刑囚の連続殺人鬼からの依頼である条件と引き換えに告白することを出版してもいいという依頼があり、死刑囚のダリアンに会うこととなる。

    ハリーの仕事を手伝う女子高校生、双子の姉妹を殺されたダニエラ、ハリーの弁護士のキャロル、その助手のテレサ、刑事のタウンズ等が登場し物語が進んでいく。

    出筆作業中にダリアンの手口と同じ殺人事件が起こり、その第一発見者がハリーであったことから、容疑者扱いされたりする。
    その殺人事件を解決する為にハリーが活躍していくのが、中盤からの流れになる。

    本書の戸途中でハリーの著作が出てくるので、それが謎解きと何か関係があるのかと考えながら読んだが、結局何も関係なかった。
    全体的に読みやすく、ユーモアもあり登場人物にも個性があり面白かった。

    が、焦点が分かりにくいのと、余分な文章が多いためページ数が増えた感があるのでマイナス面も多く、評価を低めにした。
    このミス等では、1位に輝くだけあり面白いのは面白い。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2019.10.10

  • komakiyo

    komakiyo

    このミス海外編2012年版1位。この年の海外ミステリーの年間ベスト1位を独占したもよう。主人公である様々なジャンルで異なるペンネームで小説を出版している二流小説家が、死刑目前の連続殺人魔から刑務所に届いたファンレターの相手への取材を依頼されるところから始まるお話。主人公を取り巻く女性が魅力的なのは現実的にはあまりないとは思うけど小説的には好き。他の登場人物もきっちりかけてる。新たな殺人事件が発生するとこはビックリしたし、他にも意外な展開がときどきあって面白い。たんたんとした文体は論理的で好感が持てるしユーモアもあって緊迫したとこ多いけどあまりドキドキしすぎないのも良い。ただ、なぜか地の文が突然理屈っぽくなったり筆者の主張めいたものが長くなったりしてところどころ退屈なところあって残念。そのせいで寝落ちしそうになってなかなか一気読みまではいたらなかった。続きを読む

    投稿日:2019.05.14

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