【感想】タイムクエイク

カート・ヴォネガット, 浅倉久志 / ハヤカワ文庫SF
(12件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
5
2
3
1
0

ブクログレビュー

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  • ばあチャル

    ばあチャル

    過去、ヴォネガットは3作品を読んでいる
    ​​『プレーヤー・ピアノ』​​
    ​​​『猫のゆりかご』​​​
    ​『スローターハウス5』​
    いま、このブログにある自分の感想を見てみると、どれも好もしくよろしい感

    さもありなん、このもう最後の作品になるのかという、作者73歳か74歳発表の
    『タイムクエイク』
    やはり、なかなかの作物なり

    創作あり、随筆風あり、思い出あり、文学紹介あり
    幾層にも複雑化した構成の中に、いい年輪を感じさせる、その気持ち
    わたしたち年寄り(この本では「古手」といっている 笑)にはよくわかるのである

    タイムクエイク(時空連続体)によってある時、詳しくは2001年2月23日、
    10年前逆戻りして1991年2月17日に戻ってしまい、
    やり直しできるのではなく、繰り返さなければならない日常になって

    いざ、タイムクエイクがストップしても、何をしていいか戸惑う設定
    人間繰り返しが続くと自分の頭で考えることを無くす

    しかも、随筆風の部分の2001年は作者の将来で、長生きするつもりで
    「そんな風に自分はこの世にいる」と想像するのであって
    これもわたしがよくやる手(笑)

    いろいろ文学的な思い出やら、薀蓄もわたしにはおもしろかったですね
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    投稿日:2018.10.13

  • todo23

    todo23

    小説なのかエッセイなのか?
    例によって散文の集合と言う特異な文体で綴られた作品ですが、これまで以上に奇天烈です。もはや物語のストーリーなど無く、むしろ作者自身の意見が中心にあるように思えます。
    者の言いたい事は色々とあるのでしょう。それが、様々な風刺で描かれます。共産・社会主義的な発想、拡大家族。。。
    しかし、何か伝わってきません。言いたい事が沢山有ると言うのは判るのです。でもそれが一体何なのかが判らないのです
    しばらくヴォネガットさんから離れていたせいかもしれません。
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    投稿日:2017.11.10

  • paraparayomu

    paraparayomu

    もう少し読み易いことを希望する小説エッセイとも中途半端
    表紙   7点和田 誠   浅倉 久志訳
    展開   5点1997年著作
    文章   5点
    内容 456点
    合計 473点

    投稿日:2017.06.07

  • 消息子

    消息子

     映画『マトリックス』シリーズを見ていて鼻白んだのは、終盤、すべては主人公の「選択だ」みたいな話になるところ。あれだけ新しい世界観(みたいなもの)を示してくれた映画でも、結局、これだ。自由の虚妄に蝕まれたアメリカ人は本当に自由意志が好きなんだ。

     カリフォルニア州バークリー上空あたりから爆弾を落として、十和田湖に着弾させる、みたいな離れ業な導入、ヴォネガットはうまい。『老人と海』の話の中で、釣り上げた魚を鮫に食われないための方法から話を起こして、『タイムクエイク』の成立に話を落とす。ヴォネガットはまず『タイムクエイク』なる小説を書いて、気に入らず、その美味しいところだけ切り身にして、あとはエッセイみたいなものとごたまぜにしてしまったのだ。
     タイムクエイク=時震とは、2001年2月13日、時間がけいれんを起こして、1991年2月17日に戻ってしまったこと。いや、『フラッシュフォワード』とは違います。
     1991年2月17日から2001年2月13日まで、人々はまたもや同じことを繰り返さなければならなくなったのだ。だからリプレイ。変えようとしてもできないのだ。その間に死んでいた人は1991年に生き返って、また死ぬまでの人生を繰り返すのだ。自由意志はない。何と間が抜けて情けないことか。
     で、2回目の2001年2月13日が過ぎたとたん、人々は再び自由意志で行動しなければならなくなるのだが、その10年間に自由意志で行動することを忘れちゃったのだ。

     エッセイみたいな部分では、第2次世界大戦直後、死にかかったSS隊員が言う。「この十年のわたしの人生はまるきりむだだった」。なんてエピソードも出てくる。
     つまり、ヴォネガットはアメリカ人の大好きな「自由意志」を徹底的に虚仮にしているのである。

     そんなテーマをひっさげながら、この「最後の本」でヴォネガットは自分の人生を振り返りながら、人生というものについて省察する。自分があることにかけてはえらぶつだと思っていても、遅かれ早かれ、その分野で一枚も二枚も上手の誰かに出くわして「ケツの毛まで抜かれる羽目になる」。
     ちょっと文章が書けると思っていてもケツの毛まで抜かれて、「猫のひきずってきた何かのような気分を味わう」。そこでブクログの書評などを書いて「いいね!」がいっぱいついたりすると、「これがすてきでなくて、ほかになにがある?」。
     そういうものだ。

     とはいえカート老いわく「われわれはぶらぶらひまをつぶすために、この地上に生まれてきたのだ」。私ならこう言う。息抜きの合間に人生を送る。

     「あなたは病気だったが、もう元気になって、これからやる仕事がある」。自由意志で行動することを忘れちゃった人たちに向けて、ヴォネガット小説の最重要人物、SF作家のキルゴア・トラウトがこう言って、「自由意志」で行動することを思い出させる。私は総理大臣とか幹事長とかいった人にそう言ってあげたい。
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    投稿日:2016.02.05

  • nois

    nois

    アメリカ人にヴォネガットの作品がどれくらいポピュラーか尋ねた
    すべてのアメリカ人が彼の著書を読んでるらしい
    アレッ!?

    投稿日:2013.02.13

  • あめりか書院

    あめりか書院

    ラスト感漂う筆致で最後の方は涙が出そうだった。出なかったけど。大統領選に5度立候補したユージン・デブスの引用はヴオネガットの好きな部分が詰まってる。優しくて、優しくて、不器用。でもとってもクレバー。

    投稿日:2012.02.02

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