【感想】彼女たちの売春(ワリキリ)

荻上チキ / SPA!BOOKS
(31件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
7
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6
0
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  • 家はあります。「ホーム」が欲しいのです。

    『ウェブ炎上』や『ネットいじめ』など、暴走するネット上での群衆行動の心理を題材に研究、執筆してきた荻上。若者たちに根深く潜んでいる苦しい現実とその闇が浮き彫りになります。

    「ワリキリ」とは、お金だけで割り切った大人の関係のことで、要は売春行為をあらわします。不快な「作業」を淡々とこなし、お金をもらう女性たち。日本では戦後に売春が問題視され騒がれましたが、それ以降は依然あるにも関わらず、売春が表に出て大きな話題となることは少なくなりました。チカ、ミイ、ミキ…、といった100人を超えるワリキリ女性に、生い立ちから月収までインタビューし、収集した3000人分以上のデータがまとまった本書。

    この日本で、月に一度以上の頻度で「ワリキリ」をする女性は10万人前後いるのではないかという調査結果があります。この数字だけでも十分衝撃です。箱入り娘でも彼氏がいても関係なし、彼女たちは安心して暮らせる「ホーム」がありません。精神的な生きづらさを抱えた女性たちの、今なお解決することができない現実が語られます。
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    投稿日:2016.11.14

  • 売春は割に合わない

    売春をする人がどんな人達なのか、興味があり読みました。
    考え方や生き方は人それぞれと言いますが、
    強く感じたのは、売春で得られる対価は全く割に合わないなと言う事です。
    もちろんそこに至るまでの様々な要因を無視する事はできないのですが、
    やはり犠牲が大きい(特に精神的に)なと思いました。
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    投稿日:2013.12.27

  • 知らなかった社会の一部が見えた気がします

    貧困に興味があり、本を手に取りました。内容は重たい本です。
    なぜ、ワリキリをすることになったのか。なぜ、ワリキリを続けるのか などを、インタビュー形式で記載しています。

    ワリキリを行う女性は、風俗経験者が多いのですが、結局、風俗には務められない、または、風俗は効率が悪く、割に合わないと考える女性が多いそうです。
    お金に困って行う人が大半ですが、一部は興味で行う人や、茶飯のみでワリキリは行わないという人もいるようです。
    延長線上には、JK散歩などの商売があるのでしょうか。

    しかし、ワリキリの女性は、貧困の認識もなく、また、社会制度的な救済も求めないのでは?と感じました。

    最後に2010年から2012年に集めた白書(データ集)があります。
    『1日に1万件以上のワリキリが成立し、月に1度以上の頻度でワリキリを行う女性は、少なくても10万人前後存在すると考えられる。』
    この数字は衝撃的で、想像をはるかに超えていました。現実は厳しいですね。

    女性の月収は20~29万円が多く、最終学歴は高卒が多い。ワリキリの価格は地域の経済力に左右され、東京(3)が高く、地方が安く(1.5)なる。
    など、経済学的に興味深いデータが掲載されています。
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    投稿日:2015.02.15

ブクログレビュー

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  • aiko22

    aiko22

    調査しにくい世界について、時間とお金を傾けて行った調査報告。数の持つ説得力は、聞き書きそのものもさることながら生々しいインパクトがあって素晴らしい。別に難しい分析など挟まずとも、数にすることで得られる説得力はあるし、それはとても大事。続きを読む

    投稿日:2020.09.20

  • hirock66

    hirock66

    社会調査のような雰囲気で、同様のテーマを扱っている鈴木大介氏との風合いの違いが気になっていた。が、あとがきを読んで納得。

    投稿日:2019.05.21

  • reinou

    reinou

    このレビューはネタバレを含みます

    2012年刊。出会い系サイトから判明するデータの分析から出発し、同サイトや出会い系喫茶に集う女性に試みたインタビューを交え実情を検証。貧困、格差、社会的セーフティーネットの不在、シングルマザー、DV、児童虐待とその世代間連鎖、そしてその複合が背景にある点は、AV女優、古典的風俗系と同様か。ただ、一部に存在する、非貧困かつ格差・落差型成り上がり系女性が異質かも。自由が効く分、きちんとした自己管理が必要だから、そのような成り上がり系女性の受け皿となっているというが、自由は堕落と紙一重かも、との疑問もある。
    他方、類書には珍しく男性側の意向もわずかだが言及。また、出会い系喫茶の創発者の意思にも言及している。売春する側のリサーチは興味本位のものも含め、それなりに出ているが、買春側のそれは皆無に等しい。もう買春側のリサーチ・統計データも必要な時期に来ていると思われる。性衝動が抑制できないといったステレオタイプ的要因が、その一つだけで現状が生じているというような単純な発想では、問題の縮減・消滅には到らないだろう。

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    投稿日:2017.01.20

  • コジコジ

    コジコジ

    著者自らが、出会い喫茶や出会い系サイトを通して、100人を超える"ワリキリ”女性への取材を基に構成されている。個人売春の実態を「統計的」と言える量まで収集・分析した筆者の取材力が凄い。しかも個々人の人格まで類推できる形で。

    本調査から浮かび上がってきたものは貧困や虐待、孤独といった世代間・個人内での”負の連鎖”だ。売春という金銭獲得手段が目的になり目的が必然になり、自分を傷つけていくスパイラルからますます抜け出せなくなってしまっている。

    「ワリキリ」とは買う側の視点であり、彼女たち側の視点では「アキラメ」や「オリアイ」と言ったほうが正しいかもしれない。インタビューで何人かが語るホストクラブに通う理由が、ホストのためではなくそこに居場所があるから、という発言は何とも物悲しく彼女たちの精神状態を端的に表しているように感じる。

    ”ワリキリ”は慢性的貧困や親の虐待など根深い社会問題を多分に含んでおり、解決まで一筋縄ではいかない問題ではあるが、本書はまず実態を知るうえでの道しるべとなりえよう。
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    投稿日:2015.05.18

  • frenchtoast

    frenchtoast

    ワリキリと呼ばれる売春を行う女性たちを追ったルポタージュ。知らなかった世界にいる女性たちの人生の生々しさに圧倒させられる。社会から排斥されてきてしまった女性たちに、残された選択はそう多くはなかった。

    でも今回のインタビューに答えられた人は、まだワリキリの最中で、どん底まで落ちている人たちではないのではないか。年齢がいって、もしくは精神的にやられて、もしくは病気になって、ワリキリさえできなくなった女性たちは案外と多いのではないか。今後はそういった女性たちもぜひとも追ってほしい。

    ただ、ワリキリをしている若い女性たちの問題を丁寧に浮き彫りにした素晴らしいルポだと思う。
    続きを読む

    投稿日:2015.02.22

  • yuyu9900

    yuyu9900

    売春が「フツー」になってきた現状に驚く。。
    そんだけ病んだ人間も多いってことっすね・・・。
    ( 一一)

    投稿日:2014.12.17

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