【感想】「レ・ミゼラブル」百六景

鹿島茂 / 文春文庫
(43件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
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ブクログレビュー

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  • みんた

    みんた

    全体像やエッセンスを掴むのに最適。1冊でストーリー全体を説明している。現代の日常語で書かれているため読みやすい。

    本来なら数冊 → 1冊
    読みにくい言葉 → 現代の日常語
    時代背景など説明なし → 時代背景など解説(地図で地理も)続きを読む

    投稿日:2023.04.05

  • yoshi1004

    yoshi1004

    学生時代に一週間かけて読んだ名作。映画でも何度も見た人生五指に入る作品。仏文学者らしい観点での説明も嬉しくわかりやすかった。年齢も時代も地域も関係なく普遍的な作品を再確認させて頂いた。

    投稿日:2023.03.24

  • へびのルーカス

    へびのルーカス

     世界の名著の一つ、ヴィクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』を全巻読破するのには、実は大変な苦痛を伴う。原作があまりにも長大で、登場人物一人一人の来歴やパリの街の下水道に関する考察、時代背景などをこまごまと書き連ねていて本編から逸脱している箇所が多いからだ。少年少女世界文学全集のような子ども向けの抄訳版でも十分面白いのは、この冗長な部分が含まれないためである。
     本書はフランス文学研究の第一人者である鹿島茂先生が原作の本文を抜粋した上で当時の歴史的背景や作家個人の事情、私生活との関係、執筆エピソードなどについて解説し、1章あたり2~3ページにまとめたものでとても読みやすく物語のあらすじもわかりやすい。しかも著者がフランスで手に入れた貴重な原書の精緻な挿画を全ての章に挟んでいる。これが19世紀フランス社会の雰囲気を伝えるのに大きな役割を果たしていて、このような稀覯本の挿し絵を原作本文・解説と共に見られることは本当にありがたいことである(これにはミュージカル版「レ・ミゼラブル」で今もシンボルとして使われているコゼットの絵も含まれている)。

     例えばジャン・ヴァルジャンの魂を暗闇から救い出したミリエル司教は社会的にどれくらい偉い人なのか。女工ファンチーヌのように男に捨てられて未婚の母となり、生活のために売春婦に身を落とす女性は珍しくなかったのか。欧米文学を読む時に必ず立ち塞がるキリスト教文化の理解の仕方や、その国の慣習を解説してくれるのは本当に助かるし、むしろ原作より面白いかもしれない!という気持ちにさせられる(もちろん、原作に挑戦してみよう、という勇気も湧いてくる)。これほど内容の濃い、価値のある文庫本にはなかなか出合えるものではない。比類なき深い人間愛と貧困にあえぐ民衆の社会に対する怨嗟の声、革命に懸ける激しい情熱は『レ・ミゼラブル』でしか味わえないものだと思う。

     ちなみに『レ・ミゼラブル』は何度も映画化されているが、2012年公開のミュージカル映画(ヒュー・ジャックマン主演)は最初から最後まで泣きっぱなしで観てしまうほどの感動作で、生涯に一度は観るべき傑作。併せてお薦めしたい。
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    投稿日:2022.01.25

  • alpine310

    alpine310

     レ・ミゼラブルの原作をちゃんと読んだことがない、と言い切るのは少し恥ずかしいなあと思っていた。世界的に名高い名作であるし、ミュージカルも映画も実は大好きだ。ミュージカルの中のナンバーは何曲もそらで歌えるし、映画に至ってはわざわざビデオをレンタルして現在入手できる版は全て見たのである。
     でも実はあらすじはWikipediaでざっとおさらいしただけで、一応ストーリーは分かっているけどジャベールの粘着とかちょっとよくわかんないと思っていた。
     というわけで、何かの拍子にこの本の紹介を見かけたとき、著者御自らが「ほとんど読まれることがない」と言い切っているのを見て、なーんだ、やっぱりそうよね、とまず安心した。そして豊富な挿絵とともに筋を追って解説していくという本書のつくりを知り、これなら読めるかも、でも買うのは危険、ということで図書館で借りて読むことにした。
     結論から言うと、大変オススメの良書でした。特に、映画やミュージカルでレ・ミゼラブルには触れたけど、実はストーリーがちょっとあやふやという方に、めちゃめちゃおすすめです。
     おすすめポイントは以下の3つ。
    (1) 各見開きページの右側が文章、左側が挿絵という構成になっていて、各場面の様子を容易に把握することができる。
    (2) ストーリー構成に沿って短いエピソードが並んでおり、1エピソードが4ページ(稀に6ページのものあり)から成っている。つまり文章が2ページ分、挿絵が2枚だが、映画でいうと1シーンくらいにあたり、ストーリーを無理なく追っていける。
    (3) 文章の内容は、ストーリーが半分、解説が半分の場合が多い。場面によっては全て解説の場合もあり、時代背景や当時の風俗など、知っていないと話を理解しにくいものも過不足なく解説されている。
     どうです、読みたくなるでしょう。そして最も大事なことかもしれないが、文章が素晴らしく読みやすい。格調高いが難解でなく論理的でリズムが良い。我ながら絶賛だ。
     ちなみに私はこの本を図書館に返すと同時に、新品を購入しました。
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    投稿日:2021.06.07

  • くすのき

    くすのき

    19世紀フランス文学、文化研究者による、図版入りレミゼラブルの解説。

    原作は読んでおらず、子どもの頃に抄訳を読んだり、ミュージカル映画を観たきりで、全体像がわかっていなかったので、本作をよく知ることができ、大満足。

    それにしてもルイナポレオンとか、7月革命とか、パリコミューンとか、フランス近代史をもう一度おさらいしないと文学も訳わからなくなってしまうなあ。
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    投稿日:2021.01.16

  • boutoumetous

    boutoumetous

     文庫版で再読する。
     英国のディケンズもそうなのだろうが、『レ・ミゼラブル』は当時の庶民から、NHK朝の連続テレビ小説の如く受容されていたに違いない。
     本書は、分冊イラスト入りで定期出版されていたバージョンのみならず、ユゴーの他作品に添えられた挿し絵から、作者による作中人物の似顔絵までも収録した、かゆいところに手が届く1冊。
     完訳版を読んでみて、サブヒロインのエポニーヌに心を惹かれた。映画版やミュージカルでも女優にとって美味しい役回りだろうし、挿し絵を手がけた銅版画家にしても腕のふるいどころだろう。
     エポニーヌの最期を描いた二葉の挿し絵は心を打つ。
    続きを読む

    投稿日:2020.09.26

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