【感想】寒い国から帰ってきたスパイ

ジョン・ル・カレ, 宇野利泰 / ハヤカワ文庫NV
(50件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
10
19
14
3
0
  • 伝説の名作です。。。

    独特の世界観をもった重厚な作品です。最近の軽い読み物とは一線を画した読みごたえは、東西冷戦期の息詰まるような諜報活動をリアルに描いているからでしょうか。。。日本語訳も雰囲気に合っています。

    投稿日:2013.09.25

  • 入門として如何

     著作の中では読みやす方で、すべての行動に意味があり、それは最後まで一貫しています。ラストに納得できない人は、ほかの作品を読んでも面白くないでしょう。納得できる人は、との作品もいいと思うでしょう。

    投稿日:2013.09.30

ブクログレビュー

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  • mattaku

    mattaku

    誰が真実を語り、誰が嘘をついているのか、信じる根拠も曖昧な諜報の暗く陰惨な世界。ベルリンの壁建設後の60年代初め、英国情報部員アレック・リーマスは、ある任務を託されるが、その任務自体に幾重もの巧詐があり、真の目的を完遂する為に利用され、騙され、操られ、偽情報を渡される。全て目的は手段を正当化するという原則に基づいた情報部のシナリオ通りだったと気付いた時は…
    複雑な伏線が至る所に張られ、読了後に確認して合点させられる。
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    投稿日:2023.10.27

  • ぼっちぼっち

    ぼっちぼっち

    アマプラで“ナイトマネージャ”を見終えて、手元にあったこの小説を読み始めた。
    流石・・スパイ小説の古典、金字塔である。
    冷戦当時のリアリティと60年代を思わせる「歴史の進行、弁証法の必然性」といった表現等に時代を感じる。全体を覆う暗いトーンは新たな流行だったのだろうか。
    査問会以降は最後まで一気読み。作品中の論述、展開の面白さに引き込まれてしまった。
    翻訳の一部に⁇と思わせる箇所もあるが、これは翻訳小説のあるある、気にはならない程度。
    後で映画の方も見てみるつもりだ。
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    投稿日:2023.08.13

  • ひまわりめろん

    ひまわりめろん

    ジョン・ル・カレを読まずして旅立つことはできないのだよ諸君

    ただ、ひとつだけ告白しておこう
    ずっとジョン・カレ・ルだと思っていたよ
    バーモントか!

    はい、スパイ小説の教科書と言っても過言ではない『寒い国から帰ってきたスパイ』です
    1961年刊行でイギリスとアメリカの最優秀ミステリー賞を同時受賞した傑作であります

    いやー、こっち側もいいですなぁ
    巻末の解説にもありますがいわゆるスパイ小説というのは「超人的な能力の持ち主である主人公が、《手に汗握る危機一髪》的な事件で活躍する《神話》であった」のに対して本作は圧倒的なリアリズムを持ってスパイの世界を描いているんですな

    そしてもちろん、それだけでは英米同時受賞なんてことにはならないわけで、とんでもないどんでん返しとスパイの世界を象徴するような結末が待っているわけです

    いやー、ジョン・カレー・ルー(開き直った)おもろいわ!
    スパイ小説、どっち側もおもろいわー!
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    投稿日:2023.07.14

  • コウ

    コウ

     スパイ小説の古典といっていいほど有名な本。スパイ小説ということもあり、諜報活動において注意しなければならない決まりや原則が所々言及されている。たとえ非道なやり方であったとしても、必要とする情報を得るために容赦なく行動する様は、まさにスパイのあるべき姿である。また、本作の冒頭における男女間の描写も、スパイならではの描写である。異性のちょっとした関係から、活動に大きな支障をきたす職業はほかにないだろう。続きを読む

    投稿日:2023.04.30

  • じゅう

    じゅう

    イギリスの作家「ジョン・ル・カレ」のスパイ小説『寒い国から帰ってきたスパイ(原題:The Spy Who Came in from the Cold)』を読みました。

    先日、テレビでスパイの活躍を描いた映画を放映していて… 久しぶりにスパイ小説でを読みたくなったんですよね。

    -----story-------------
    ベルリンの壁を境に展開される英独諜報部の熾烈な暗闘を息づまる筆致で描破! 
    作者自身情報部員ではないかと疑われたほどのリアルな描写と、結末の見事などんでん返しとによって「グレアム・グリーン」に絶賛され、英国推理作家協会賞、アメリカ探偵作家クラブ賞両賞を獲得したスパイ小説の金字塔!
    -----------------------

    1963年(昭和38年)に出版された「ジョン・ル・カレ」の第3作… 全世界的なベストセラーとなり、「ジョン・ル・カレ」をスパイ小説界の大家に伸し上げた作品で、スパイ小説の金字塔とも呼ばれており、1965年(昭和40年)には『寒い国から帰ったスパイ』として映画化もされている名作です、、、

    スパイなのか、二重スパイなのか!? スパイ(二重スパイ)同士の駆け引き… 何が真実なのか、終盤までわからずドキドキ感が続くことや、「007:ジェームズ・ボンド」のような超人的なヒーローが登場せず、リアリティのある描写が魅力でしたねー 結末は哀しかったけど。


    イギリス秘密情報部のベルリン代表部員「アレック・リーマス」は、東ベルリンとの間にある検問所で協力者の「カルル・リーメック」が現れるのを待っていた… 東ドイツ政府高官である「リーメック」は、これまでイギリスのために働いてきたが、協力者が大量に逮捕され危険が迫り、亡命することになっていた、、、

    検問所を無事に通過したと思われた瞬間、東側の人民警察が発砲し「リーメック」は射殺された… 「リーマス」は、元ナチスで冷酷な東ドイツ諜報部副長官の「ムント」が背後にいることを確信する。

    ベルリンでの諜報網が壊滅し、「リーマス」はイギリスに呼び戻された… 解雇されることを覚悟していた「リーマス」は、秘密情報部のチーフである「管理官(コントロール)」により経理部へ左遷された、、、

    「リーマス」は酒に溺れ、横領の容疑により解雇され、様々な仕事を転々とした後、ベイズウォーター心霊研究図書館の整理係に雇われた… 「リーマス」はここでイギリス共産党員の司書「リズ・ゴールド」と恋人となる。

    「リーマス」は食料品店の店員を殴り監獄へ入れられる… 出所した「リーマス」はベルリン時代の知人と名乗る「アッシュ」と偶然出会い、ある仕事の口を提供される、、、

    この男は東ドイツ諜報機関のスパイで、「リーマス」に情報の提供を依頼してきた… 実は、「リーマス」が転落したのは「管理官(コントロール)」が「ジョージ・スマイリー」らと共に立案した作戦であり、「リーマス」が不当な扱いを受け解雇されたと装って東側の二重スパイとなり、虚偽の情報を流して「ムント」を失脚させる大胆な計画だった。

    「リーマス」は「ムント」への憎悪からこの危険な任務を承諾していた… 「リーマス」は東ドイツのスパイとともにオランダへ渡り、大金と引き換えにイギリス情報部の情報を提供した、、、

    尋問の最中に「リーマス」は、東ドイツ諜報部内にイギリスの二重スパイが潜んでいることをそれとなく暗示する… その頃イギリスでは「スマイリー」が「ゴールド」を訪問し、「リーマス」への援助を申し出る。

    機密保護法違反で指名手配された「リーマス」は東ドイツへと渡った… 東ドイツ諜報部の防諜局長である「フィードラー」が自ら「リーマス」を尋問する、、、

    有能な工作員である「フィードラー」は、それまで「ムント」の元で働くことに満足していたが、「ムント」が二重スパイではないかと疑うようになっていた… 元ナチスである機会主義者の「ムント」と、理想主義的な共産党員かつユダヤ人である「フィードラー」との間には、潜在的に対立する関係にあった。

    「管理官(コントロール)」の作戦では、この「フィードラー」を用いて「ムント」を失脚させる予定となっていた… 「フィードラー」と「リーマス」はイデオロギー的な問答を交わす、、、

    「フィードラー」は、東側の情報活動は平和と社会的進歩のための闘争としての共産主義運動の前衛であり、その目的のためには個人の犠牲は正当化されると主張し、それに対してキリスト教と民主主義思想に基づく西側諸国はどう折り合いをつけているのかと「リーマス」に尋ねる… 「フィードラー」の疑いを知った「ムント」は、「フィードラー」と「リーマス」を逮捕し、粛清を企てた。

    しかし「フィードラー」は既に東ドイツ政府最高会議に対して「ムント」を告発しており、最高会議は「フィードラー」を釈放して逆に「ムント」を拘束した… 「ムント」は「リーマス」の証言に基づき二重スパイの容疑で査問会にかけられた、、、

    査問会において「リーマス」は、イギリス情報部から「ムント」へ提供された金を振り込んだ北欧の複数の銀行の口座の情報を明らかにした… 口座への入金時期と「ムント」がコペンハーゲンとヘルシンキを訪問した期間が一致したことで、「ムント」は追い詰められたかのように見えた。

    ここで「ムント」の弁護人は、交換党員プログラムによりドイツを訪問していた「ゴールド」を証人として召喚した… 状況を理解しきれていない「ゴールド」は、「リーマス」を助けようとするが、自分と「リーマス」が殴った店員に対して何者かから金が渡されたこと、その前の晩に「リーマス」から別れを告げられていたことなどを喋ってしまう、、、

    「管理官(コントロール)」による「ムント」失脚の陰謀が暴露され、「リーマス」もこれを認める一方で、「ゴールド」や「フィードラー」は陰謀に関与していないことを訴える… 「ムント」の放免と「フィードラー」の拘束が決まった瞬間、「リーマス」は真相を悟る。

    拘束されていた「ゴールド」は「ムント」により釈放され、「リーマス」と車で逃走する… ベルリンへと向かう車の中で、「リーマス」は「ゴールド」に対して真相を伝えた、、、

    「ムント」は実際にイギリスの二重スパイであり、作戦の目的は「ムント」を以前から疑っていた「フィードラー」を排除することにあった… コントロールたちは「リーマス」に真の目的を伝えておらず、また「ゴールド」のいる図書館で「リーマス」が働くようになったのも周到に用意された計画の一部であった。

    敵側であっても紳士的であった「フィードラー」を粛清し、冷酷な「ムント」を助ける作戦の矛盾を「ゴールド」は糾弾する… 「リーマス」はこれは戦争なのだと答えるが、作戦の非倫理性と騙されていた自らの愚かさを呪う、、、

    二人はベルリンに到着し、「ムント」の部下の手引でベルリンの壁を越えて西ベルリンへと逃亡しようと試みる… 「ムント」の部下は逃亡方法を細かく指示し、「リーマス」はそれにしたがって壁に登り、「ゴールド」を引っ張り上げようとする。

    その瞬間、探照灯が一斉に灯り、警備員によって「ゴールド」は射殺される… 西側からは、「女は無事か」と叫ぶ「スマイリー」の声がするが、「リーマス」はゆっくりと東側へと戻り「リーマス」もまた射殺された。

    「ムント」は「リーマス」を逃亡させようとしましたが、自身の安全を確保するため、情報を漏らす危険のある「ゴールド」の射殺を許可したんでしょうね… そして、イギリス情報部は、「ムント」による「ゴールド」の殺害を懸念するものの、実際に手をうつことはないんですよね、、、

    これがリアルなスパイの運命なんでしょうね… 哀しいな。



    以下、主な登場人物です。

    「アレック・リーマス」
     英国諜報部員

    「ジョージ・スマイリー」
     元英国諜報部員

    「ピーター・ギラム」
     英国諜報部員

    「管理官(コントロール)」
     英国諜報部のチーフ

    「カルル・リーメック」
     東ドイツ社会主義統一党最高会議のメンバー。リーマス配下のスパイ

    「エルヴィーラ」
     カルルの恋人

    「アッシュ」
     BBC局員

    「サム・キーヴァ」
     フリーの記者

    「ピーターズ」
     ハーグ駐在のソヴィエトの外交官

    「ハンス・ディーター・ムント」
     東ドイツ情報部副長官

    「フィードラー」
     東ドイツ情報部対敵諜報課課長

    「カルデン」
     ムントの弁護士

    「ミス・クレイル」
     ベイズウォーター心霊研究図書館の司書

    「リズ(エリザベス)・ゴールド」
     ベイズウォーター心霊研究図書館の図書館員。英国共産党の党員
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    投稿日:2023.04.21

  • og

    og

    MI6出身の著者によるハードボイルドなスパイ小説。やはりスパイものは冷戦の頃が一番おもしろい。

    実際に存在した高位の役職に着いた二重スパイをモデルにしたのだろうか。

    東ドイツ側のスパイハンターであるムントを失脚させるためのミッションにアサインされたMI6リーマスは東ドイツ側に寝返ったフリをして潜入するが、ミッションの本当の狙いを知らされていなかった。実はムントはMI6側の二重スパイで、ムントへの疑惑を振り払うことがMI6の本当の狙いであった。

    p210 思想について語り合うシーンが印象的。
    続きを読む

    投稿日:2022.09.15

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