【感想】十三番目の人格 ISOLA

貴志祐介 / 角川ホラー文庫
(243件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
28
89
97
17
2
  • 「範」「満」「憧」・・・漢字の意味の深さ

    またしても小道具使いが上手いなあ、と思った。
    主人公が出会った不思議な少女・千尋が父の形見として持っていたのが漢和辞典(『新字源』)と『雨月物語』。
    タイトルの通り、多重人格の話なのだが、千尋の中にすむ人格たちはそれぞれ名前を持っている。
    まあ、そういうのはよくあることなのだが(?)、その名前の付け方が面白い。

    瞳:「無心に見るさま、無知なさま」と、辞書に書いてあるとおり、
    両親が死んだ交通事故の前に戻りたいという願望を人格化したかのような童女。

    幸生:辞書の「幸生」の項目にこうある。「なまけて、偶然の幸運で生きている」。
    まさにそのような人格。

    ・・・などなど。
    思わず、漢和辞典を繰りたくなる。

    「範子」「満」そして「憧子」
    辞書をじっくり見てみよう。何を表しているだろうか?
    「範」など、なかなか恐ろしい意味を持っている。

    もちろん、ISOLAもあるところに出典がある。
    これがまた怖いのだ!

    名前と人格とストーリーが、上手く絡み合っていて、まあ、作り物っぽいといえば作り物っぽいのだが、やはり、よくできた作り物だと感心する。
    全体にこの作者の「作り物っぽさ」は潔くて何だか好きだ。

    ストーリーは、まあ、この手のものとして普通かな、と思うのだが、
    漢字やことばの持つ可能性の広さと深さを考えさせてくれたことで☆5
    続きを読む

    投稿日:2014.09.26

  • 必読の一冊

    貴志祐介のデビュー作。10数年振りに読み返してもまだまだ引き込まれる名作。エンパスの主人公を通じて、感情という形にできないものに対する深く洞察された作者の考えが物語として展開されていく。憎しみや憂いといったネガティブな感情が蔓延する日常生活のなかに、人はどうやって救いを見いだしていけばいいのか。デビュー作以降も数々の名作を書き続けている貴志祐介だが、本作を読むことでますますファンになってしまうはず。続きを読む

    投稿日:2013.10.02

  • ホラー好きにはたまらない

    エンパス、多重人格、ホラー、名前の漢字に込められた由来、謎の人格イソラ、謎の研究者、様々な要素が絡み合って最高の物語になっています。ホラーが好きなら読んで損なし!とにかくノンストップで読めます。10年以上前の作品でも、今でもまだまだ楽しめます。続きを読む

    投稿日:2015.08.24

  • 前半は心理学、後半は超心理学

    圧倒的な怖さのリアリティーがあった『黒い家』に対して、こちらは相手の意識を読み取る特殊な能力や幽体離脱などの超常現象を扱ったオカルトホラー?でした。
    ISOLAを追究していく過程で恐怖が増していきましたが、もしかしてもうクライマックス?と思うほど、ページ数にもの足りなさを感じました。でも、自分は十分に楽しめたかな。続きを読む

    投稿日:2014.03.15

  • 多重人格

    第三の悪魔の人格。後半からSFっぽい展開になっちゃったのが-1。でもラストの終わり方は嫌いじゃない。

    投稿日:2014.07.08

  • 暇つぶし

    ストーリーは面白いけど、途中からちょっとぶっ飛んでいる。パパパッと読み終わった。最後はもうSFだよ。

    投稿日:2013.10.11

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ブクログレビュー

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  • uri

    uri

    阪神大震災直後の神戸が舞台。
    多重人格の女子高生『千尋』と、人の強い感受性を読み取る能力を持つ『由香里』を中心として展開するホラー小説。
    千尋の中の13番目の人格『磯良』が出現すると、千尋と由香里に関わる人々に不可解な出来事が次々に起こる。
    『磯良』はなぜ現れたのか。そしてその目的とは何か。

    多重人格と怨霊をミックスした、オカルト寄りのホラー。ラストはゾクっとする結末で、その後を想像すると絶望的な気持ちになる。
    『黒い家』『天使の囀り』を読み終えていた為、本書はホラー小説としては全体的にマイルドな印象を持った。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.12

  • かのん

    かのん

    このレビューはネタバレを含みます

    【2024年53冊目】
    人が強い感情をその胸に掻き抱いた時、その対象の心の声が聞こえてくる「エンパス」である由香里は、震災のボランティアをする中で、1人の少女、千尋と出会う。千尋が多重人格者であることを知った由香里は彼女の人格の統合をはかるため、臨床心理士の浩子と協力し始めるが、千尋の十三番目の人格であるISOLAにただならぬ気配を感じていた……。

    またもや幽霊は出てこないホラーものです。ぞわりとする怖さはないものの、どうなるかわからない展開だったので、どちらかというと、ミステリーの毛色の方が強かったかもしれません。

    エンパスや多重人格、物語の核となるとある現象について、「えーそんなのある訳ないじゃん」と思ってしまう人には向かない話かなと思いましたが、「そういうこともあるんだ」と軽い気持ちで臨めばそこそこ楽しめます。

    そして、やっぱり終わりもただでは転ばないのが貴志祐介さんという感じがして、ちょっとニヤッとしてしまいました。解決しました、めでたしめでたし、じゃちょっとつまらないですもんね。

    そして読み終わってから知りましたが、で、デビュー作なの!?すごいですねぇ。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.03.10

  • ゆり

    ゆり

    この本を読む前に想像していたより、はるかに面白かった。多重人格者の話なのだが、多重人格障害、多重人格者に関する話、は実際、現実感がなくて私は非常に興味深かった。
    小説ではあるが、実在するとしたら…と考えると尚更興味をそそられた。
    臨死体験などで見られる体外離脱現象の事など、専門的な部分も出てきて、そこの理解は難しかった。
    しかしイソラという千尋の中の13番目の人格が非常に恐ろしい。
    終盤の、真部とイソラとの対決も恐怖なのだがおもしろい対話のやり取りが見られ、一気に読んでしまった。
    由香里に関しても実際に、こんな能力があったら気分も悪くなるし大変なのだろうが、人の心が読めるのは羨ましい場面もあるかもと思ったり。ただ、自分がそうだったらやはり、かなり疲れそうだなと思ったり。
    なにより長い長いホラーが詰まったストーリー、ホラー好きな私にとって本当に、大好きな一冊になりました。異次元的な世界が好きな人や、心理学などに興味ある人は読んでみたら面白いのではないかと思います。
    続きを読む

    投稿日:2024.02.01

  • はなこ

    はなこ

    このレビューはネタバレを含みます

    そんなことが有り得るのか!と思った。
    あとは由香里がなぜエンパシーの能力を持っているのかがすごく気になった。

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    投稿日:2024.01.23

  • コウ

    コウ

    このレビューはネタバレを含みます

     相手の感情を読み取れる主人公由香里と多重人格で苦しむ少女千尋を中心に展開されるホラー小説。千尋のように見た目は同じでも、雰囲気がまるで別人となる現象は実際に存在する。本作品のように、テストを勉強が得意な人格に任せたり、成人男性並みの腕力で抵抗するなど、特定の人格に任せる現象はフィクションの世界に限らない。このように、本作品は心理学の知識を学べる物語で、心の病で苦悩する人々を想像しながら読むと、少しは理解できるかもしれない。

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    投稿日:2023.10.13

  • 尊

    貴志祐介さんデビュー作

    主人公の由香里は強い感情を読み取るエンパス。
    震災によりボランティア活動をしている最中に多重人格障害である千尋と言う少女と出会う。

    13番目の新しい人格ISOLAが出現したことにより由香里、千尋、2人に関わる人々の周りで不可解な出来事が起こり出す。続きを読む

    投稿日:2023.09.02

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