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高橋克彦 / PHP文芸文庫 (18件のレビュー)
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総合評価:
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Ryohei
最終巻は伊治鮮麻呂が主役。4巻までが嶋足・天鈴の京視点の蝦夷だったため、少し残念と思っていたが、最後まで読んでそもそも4巻までが鮮麻呂の物語の御膳立てだったのだと思い構成に舌を巻いた。 本巻は陸奥…三部作に劣らない「熱」があった。内外両方から敵と見做されながら耐え続けてきた鮮麻呂の保っていた糸が切れた瞬間(天皇の勅令で蝦夷を獣と呼んだ場面)が鮮明な印象に残った。鮮麻呂は嶋足も同じ気持ちだったのかと思い耽る場面があるが、私はレベルが違うと思う。嶋足は重用はされずとも自ら蝦夷に手を下すことはなかったが、鮮麻呂は忠誠心を示すために仲間を殺さなければならなかった。最後に自死を選んだのはその贖罪もあるのだろうと思う。 鮮麻呂は風、阿弖流爲は炎。風が炎の勢いを強める。まさに言い当て妙。続きを読む
投稿日:2024.03.10
yappinkun
風の陣最終刊。伊治鮮麻呂を中心に展開。蝦夷を狼とし、卑しい蝦夷を刈り取り滅ぼせ、との勅令についに、鮮麻呂は決起を決意する。 阿弖流為という次代のリーダーをみて、鮮麻呂は、 紀広純、道嶋大楯らの首をとり…、蝦夷らを一つにするため、身を捨てる覚悟をする。 自分がかけた橋を阿弖流為らが渡っていくだろう。その先の大地は阿弖流為らが切り開く。たとえ、自分が見られなくても構わない。 素晴らしい、壮大な物語。続きを読む
投稿日:2020.09.07
ARAHOKU
蝦夷の誇りを守るために生きる漢たちの話です。 命をどう使うのか?ということを考えさせられます。 この後、火怨に続きますが、この風の陣を読んでからが、絶対おすすめです。 火怨読んだばかりですが、もう一…度読まずにはいられなくなりました。続きを読む
投稿日:2020.01.01
Bookrium
各章のタイトルに必ず「風」の文字が入っており、タイトルが風の陣。読了して初めてその意味が分かりましたが、この結末を想定して構想していたとは流石です。 陸奥の未来のために自らの命を捧げる蝦夷の男たちの姿…に、見果てぬ夢と知っているからこそ余計に心を打たれました。 この最終巻の清々しさに比べて、それまでの内裏での権謀術数三昧は何だったのか。4巻も費やす必要があったのかは疑問です。更にずっと主人公だった嶋足が何故蝦夷の決起という肝心の場面に顔すら見せないのか。 以上のもやもや感により、読後感は爽やかであるものの、全体の完成度としては些か疑問が残るシリーズでした。 続きを読む
投稿日:2017.11.01
kirikekanan5
鮮やかに描かれる「人として扱われない苦しみ、忌まわしさ」の受け手の感覚。 「蝦夷は人ではないこと」が普通になっている天皇を含めた大和の感覚に随分温度感があるように感じます。 ずっと堪えてきた蝦夷がつ…いに決起。 やっぱりそうこなくっちゃ、と思いつつ、戦の時代に雪崩れ込む予感にゾクゾクします。 個人的には、前半主人公の嶋足が全く出てこないで終わったのが少し残念。。続きを読む
投稿日:2017.10.01
風太郎
奈良時代、陸奥の鮮麻呂は、蝦夷の誇りを懸けてついに決起を覚悟する。朝廷と蝦夷の戦乱を描く歴史大河ロマン最終巻。 シリーズ最終巻の主人公は、今までの嶋足から鮮麻呂に引き継がれ、舞台は陸奥に移り、蝦…夷がどれだけ朝廷からさげすまれていたのかが、描かれています。 これまでの嶋足や天鈴の権謀術数も通じず、戦いを避けては通れなくなった鮮麻呂の苦悩がとてもよく伝わってきました。 戦うことで蝦夷の思いを若い世代に伝えていこうとする鮮麻呂の生き方は、一人の人間として価値あるものだと感じました。 自分が子供たちや次の世代にどんなことを伝えていくことができるのかそんなことも考えさせられました。続きを読む
投稿日:2017.06.25
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