歴史学の名著30

山内昌之 / ちくま新書
(14件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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5
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  • 誠意とこだわりを感じるセレクト

    学問としての歴史学に関心のある学生・社会人のための名著案内である。
    見出しとしては30冊が挙げられているが、各章内で言及されているものも合わせると、
    史学史の授業に出てくるようなものはほぼカバーできるであろう、多分。

    「はじめに」では取り上げなかったものと、その理由も明確にされており、誠意を感じる。
    例えばエドワード・サイードの『オリエンタリズム』など。
    「歴史学」の名著かというと微妙だが、歴史学への影響を考えると無言で外すわけにはいかないだろう。

    また、「歴史学」成立の経緯から、名著といえば欧米のものに偏りがちだが、本書ではイスラームや日本のものもしっかり取り上げているところがまた良い。
    (著者がイスラーム研究者であるのもあってしっかりしている)

    ヘロドトス、司馬遷、ギボン、新井白石、ブローデル・・・
    基本を押さえつつも、他の入門書ではあまり見ないようなものもあり、面白い。

    例えば劉知幾の『史通』。
    8世紀に歴史とは何かを論じた中国の歴史論である。

    また、イブン・アッティクタカーの『アルファフリー』。
    14世紀イラクの帝王学の書である。

    こうした知る人ぞ知るものも取り上げつつ、『史通』の項ではマルク・ブロックの『歴史のための弁明』や
    E.H.カーの『歴史とは何か』といった「定番」を挙げることも忘れていないので、
    歴史学の名著への水先案内として安心して薦めることができる。

    また、本書で紹介されているのは日本語で読むことのできる本ばかりである。
    『アルファフリー』のような本が日本語で読めるということ自体、日本の翻訳文化・出版文化のすごさを感じる。
    本書で紹介されている本が全部電子化されるくらいになれば・・・日本の電子書籍文化もある程度の成熟をみた、と言えるだろう。
    続きを読む

    投稿日:2014.09.05

ブクログレビュー

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  • aokikenichi

    aokikenichi

    体系、理論、システマティックな歴史学の本の紹介を期待していたが、そうではない。
    良し悪しも言えず評価なし

    投稿日:2021.03.13

  • yujiohta

    yujiohta

    ほんと読みたい本ばっかりです。

    ①歴史への問いかけ
    ヘロドトス『歴史』―脱線の名人
    トゥキディデス『戦史』―冷静無比の予言者
    司馬遷『史記』―「激励の書」天道、是か非か
    班固『漢書』―班馬の優劣はいかに
    原勝郎『日本中世史』―日本史の美意識、西洋史の方法

    ②叙述の魅力
    ギボン『ローマ帝国衰亡史』―ペシミズムと諸行無常の物語
    頼山陽『日本外史』―叙事詩の人気
    ブルクハルト『イタリア・ルネサンスの文化』―倫理的遠近法の歴史家
    ホイジンガ『中世の秋』―美しい歴史の世界を求めて
    ブローデル『地中海』―隠された「ヨーロッパ愛国心」
    (付録1)ロレンス『知恵の七柱』―人間観察の芸術品

    ③歴史を見る眼
    慈円『愚管抄』―深夜に語られる道理
    北畠親房『神皇正統記』―日本国とは何か
    新井白石『読史余論』―九変五変論、機勢の変転
    伊達千広『大勢三転考』―玄人好みの時代区分論
    ランケ『世界史の流れ』―19世紀西洋君主の「亀鑑」として
    内藤湖南『東洋文化史』―別種の中華意識の発露か

    ④歴史家の使命感
    『春秋左氏伝』―記録者の意地
    劉知幾『史通』―近代歴史学につながるエスプリ
    イブン・アッティクタカー『アルファフリー』―イスラム帝王学の歴史書
    イブン・ハルドゥーン『歴史序説』―経世済民の歴史家
    トインビー『歴史の研究』―「変わらない東方」の迷妄から文明相対主義の世界史へ

    ⑤大変動のなかで
    カエサル『ガリア戦記』―歴史家から執筆意欲を奪った書
    潘佩珠(ファンボイチャウ)『ヴェトナム亡国史 他』―南海遺民の革命史
    トロツキー『ロシア革命史』―昂揚と挫折の黙示録
    チャーチル『第二次世界大戦』―戦争には決断、平和には善意
    (付録2)石原莞爾『最終戦争論』―永久平和論と世界最終戦の異種交配

    ⑥現代への視座
    ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』―「歴史の名著」、社会科学と歴史学の間
    宮崎市定『科挙』―形を変えた選挙の効能
    バーリン『父と子』―非歴史学的な歴史家、自由主義者の苦悩
    フーコー『監獄の誕生』―毒か、それとも劇薬か
    網野善彦『無縁・公界・楽』―知の「浪漫的煽動者」
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    投稿日:2020.10.15

  • prigt23

    prigt23

    30冊の幅が広い、という当たり前の印象。

    ちくま新書の名著シリーズはどれもクセが強いように感じていてそこが本シリーズの魅力でもあるのだけど、歴史学に疎い自分にとって本書もかなりクセが強く感じられた。

    目次をめくって30冊をまずは確認。マックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』あたりはなんとなくわかるが、フーコー『監獄の誕生』となると、どう歴史学と絡めて名著として扱うのか、読む前からドキドキしてくる。
    ウェーバーやフーコーを、ギボンやカエサル、チャーチルあたりと同列の扱いで歴史学者が語るのだから面白くない訳がないだろうに。
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    投稿日:2019.10.22

  • norinabe398

    norinabe398

    古今東西広く歴史学の名著を紹介してくれる。コンパクトにまとまっていてありがたい。ただちょっとてを出すには骨がかかりそうなホンが多いかな。読みたい気持ちは強まったが読むのは大変じゃあ。

    投稿日:2019.03.21

  • 月猫夕霧

    月猫夕霧

    大分前に買った本ですが、積読の山から取り出して読みました。25年ほど前は歴史文化学科にいた私ですが、そういえばこういった古典をしっかり読まずに卒業してしまったなぁと。とはいえ、今は歴史を楽しむ立場なので、今後も読むことがあるかどうか……続きを読む

    投稿日:2018.12.31

  • キじばと。

    キじばと。

    ヘロドトス、トゥキディデス、司馬遷から、網野義彦の『無縁・公界・楽』まで、歴史学の名著30点を紹介している本です。

    近代以前の日本の本として、頼山陽の『日本外史』、慈円の『愚管抄』、北畠親房の『神皇正統記』、新井白石『読史余論』、伊達千広の『大勢三転考』が選出されており、いわゆる近代的な歴史学の枠組みに収まることのない、著者のメタ・ヒストリー的な関心が反映されたラインナップになっているように思います。

    ただ、どのような読者に向けて書かれた本なのか、ややわかりにくいという気もします。学問としての歴史学を志す読者にとっては、本書にあげられている著作はいずれも古典的名著であることには疑いがないものの、歴史学を学んでいくうえでの手引きとして本書を利用することはできないでしょう。また、一般の読書人に向けて書かれた本だとすれば、本書の解説を通じて紹介されている本の歴史的位置づけを簡潔に押さえることができるかという点に若干の疑問がのこります。むしろガイド・ブックのような形式ではなく、古今東西の歴史書について著者自身が自由に思索を展開したほうがよかったのではないか、と思えてなりません。
    続きを読む

    投稿日:2018.10.11

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