【感想】ふたりの距離の概算

米澤穂信 / 角川文庫
(358件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
68
159
87
5
1
  • 発想の勝利。

    二年生になった古典部一同。新入生は入部するやいなや―?

    おもしろいのは、奉太郎たちが神山高校のマラソン大会を走る「現在」と、仮入部した新入生の翻意までの顛末を辿った「過去」が、入れ替わり立ち代りすることで構成される形式。シリーズものだから許されるチャレンジが功を奏していて、新鮮。

    日常系のライトなミステリーとしても、学年が上がった古典部シリーズの新展開としても、納得の一冊。
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    投稿日:2013.11.01

  • 古典部シリーズ第五弾です

    入部する予定だった大日向と千反田のすれ違いを、マラソン大会で走りながら奉太郎がどうにかする話です。

    ミステリーは詳しくありませんが、この作品はジャンルとしては安楽椅子探偵に属するんだろうと思いますが、その状況を作り出しているのがマラソン大会というのが、おっと思わせます。本シリーズは全体を通して、題材が殺人や窃盗ではないため、主人公の取り得る行動に大きな自由があります。「ふたりの距離の概算」では存分に生かした形となっています。
    マラソンだと、推理に使える時間があり、場所もばらけるので、先頭の人間から順に後ろの人間まで1人ずつ聞いていくしかない。途中の描写もアクセントになり、読んでいて楽しいです。いいアイデアです。

    結末は本シリーズらしくほろ苦く終わっています

    結局、人間関係は変わらなかったわけですが、新入生の話ということで、月日が容赦なく過ぎていくのを感じました。ということは、最後は奉太郎達は卒業するわけですが、古典部はどうなるのかというのも気になるところです
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    投稿日:2013.10.27

  • シリーズ第5弾!

    主人公は高校2年生になり後輩ができました。
    入部するだろうと思っていた後輩が突然”入部しません”と言ってきた「謎」を解き明かすのが今回のお話です。
    血の流れないミステリーなので気楽に読めるのですが、よくもまぁこんな小さな(失礼かな?)ことをここまで
    掘り下げてしっかりとしたミステリーに仕上げられるもんだと感心してしまいます。
    このシリーズは主人公が高校を卒業するまでは続けると作者さんは言っているようです。
    高校生らしいさわやかさと、ちょっとイライラする奉太郎と千反田さんの今後が楽しみです。
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    投稿日:2015.05.04

  • 目を皿にして読んだのに、距離が縮まりませんでした……

    再読。シリーズの真骨頂。背筋の震える読書体験でした。
    問題提起から始まり、ミステリとしては「さぁ問題を解いてください」と言わんばかりの親切な立ち上がりだった筈です。
    それが幾ら読み進めても、目を皿のようにして描写を拾い集めても、何が糸口なのか、そもそも求める答えに関係のあるエピソードなのかすら解らない。
    そんな状況で解答編まで辿り着いてしまった時の悔しさとも感嘆ともつかない気持ちと言ったら!
    殺人の動機の様な解りやすい感情や事情ではありませんが、高校生の日常がテーマなので充分。
    卒業まで続けて欲しいシリーズです。
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    投稿日:2014.03.16

  • 読みやすくする気遣い

    小説が読みやすいというのはいいことですね。
    きっと、書く人はいろいろなことに気を使っているんでしょう。
    『クドリャフカの順番』では文集の残り冊数で、残りの本はどうなるんだろうと興味をひかれました。
    の本ではマラソンの残りキロ数が、問題解決の制限として書かれています。
    ただ時間を表示するのではないところが、洒落ていていいなあと思います。
    続きを読む

    投稿日:2016.08.15

  • 第5弾

    シリーズもので第5弾となります。1冊で完結するよう作られていますのでシリーズのはじめから読まなくても楽しめると思います。ただ、前作までに出た話題も出てきますのでそういったのが気になる方はシリーズはじめから読むことをお勧めします。(古典部シリーズは「氷菓」、「愚者のエンドロール」、「クドリャフカの順番」、「遠まわりする雛」、本作の順に発表されています。)続きを読む

    投稿日:2013.12.08

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ブクログレビュー

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  • えりな

    えりな

    大きな事件が起こらなくても日常に謎は溢れていて、どこに着目するのか、どうやって観察するのかによって他者との距離が縮まったり、遠のいたりするのかなと思った。
    言葉をたくさん持っていて、使いこなしている高校生たち、すてき!続きを読む

    投稿日:2024.03.18

  • めぐまま

    めぐまま

    恋愛をメインでは書いていないのに、たまに出る感じがなんともいえず良い。個人的には主人公が千反田さんが家に来たことがあることを隠すシーンがすごくよかった。

    投稿日:2024.03.03

  • Quint

    Quint

    途中はアニメで。今までの本と違い、描写や言動で小難しく遠回しな表現が多い。本を読み慣れない人には読みにくそう。でも話は先が読めないし、推理の組み立てが圧巻。すごく面白い!

    投稿日:2024.02.12

  • なお

    なお

    これは弱かったなぁ。タイトルは好きだし、一冊の間ずっとマラソンしてるってのも好きだけど。
    パンチがなかったなぁ。

    投稿日:2024.02.09

  • Riho

    Riho

    このレビューはネタバレを含みます

    マラソンが進んで、様々な人とすれ違ううちに奉太郎の考えも少しずつ進んで、少しずつ真実に辿り着いていく構図がわかりやすく、臨場感が溢れていた。話の中に少しずつ隠されたヒントを探すのも楽しかった。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.02.06

  • きはを

    きはを

    このレビューはネタバレを含みます

    再読。古典部シリーズ第5弾。2年生になった折木奉太郎たち古典部員。そんな古典部に仮入部した大日向友子は、千反田えるたちともすぐに馴染んだ。しかし、大日向はある日、謎の言葉を残し、入部はしないと告げる。部室での千反田との会話にその理由があるようだが、奉太郎は納得できない。彼女が心変わりした理由を入部締め切り日に開催されたマラソン大会を走りながら推理を始める。

    マラソンで物理的な距離を概算できても、心理的な距離を概算するのは難しい。特に中学、高校生の人間関係は一生物の友人ができる時もある。奉太郎が千反田たちをはじめとした古典部員との交流によって、ポリシーをそのままにしつつも、人情に厚くなったように。一方で、何かの思い違いや伝えたいことが捻じ曲がって伝わってしまったばかりに、取り返しのつかない問題を生み出してしまうことがある。大日向とその「お友達」の間で、距離を測り間違えてしまったこと。私だったら、無理強いされる「友達」は離れる方が良いと思うけど、自分が大日向の立場になったら、中学生の頃の私だったら、逃げて離れて安心するかもしれない。学校という狭い社会の中で、「友達」ってすごく便利な言葉だから。ちなみに私は、「友達」は安売りしがちだけど、「親友」は安売りしないタイプ。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.01.23

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