記憶喪失になったぼくが見た世界

坪倉優介 / 朝日文庫
(64件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
16
24
14
2
0
  • 新しい過去を築いていく

    坪倉優介さんは18歳の時に交通事故にあい、それまでの記憶を失います。
    彼は家族や友人との思い出だけではなく、自分が持っていた感覚さえうまく理解できなくなってしまうのです。

    冷たいお風呂にも何も気にせず入ってしまい、満腹が分からず出された料理は無理にでもすべて食べてしまう。
    みんなが当然のように行っている”当たり前”を、坪倉さんはゼロからひとつひとつ学び直していきます。

    読んでいて苦しくなるような場面もあるものの、「ぴかぴか光る物」をごはんと認識したり、自動販売機から人間の偉大さを感じたりと、彼の目線は日常に慣れた僕らには新鮮。

    記憶は戻らないけれど、見知らぬものになってしまった世界を必死に歩き、ひとつひとつ掴み直して新しく手にする記憶を大切にしていく。目の前の景色が持つ意味を、ゼロからつくり上げる物語。
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    投稿日:2014.11.27

ブクログレビュー

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  • mimizuku0125

    mimizuku0125

    記憶を失った著者の驚きと感動の物語。激レアさんを見るまで知りませんでした。「記憶」の上に人間が暮らしているという当たり前すぎる事実。その重要さを改めて感じさせられた。

    投稿日:2019.10.14

  • 梟

    事故で記憶喪失になった本人と家族の手記。

    毎日少しずつ新しい事に触れ、覚えていく過程を本人の視点から読むのはちょっと他にはない感覚。子どもの思考を言語化するとこういう感じになるのかも知れないと思った
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    投稿日:2019.09.22

  • 宇宙猫

    宇宙猫

    テレビで著者を観て話が興味深かったので。まず文章が上手い。言葉も全て忘れてしまった著者の手記なので文章力はのちに手に入れたものだ。なので書き方に「アルジャーノンに花束を」のような演出がされている。でも彼の感性は素晴らしく瑞々しく、記憶はなくても記憶力はある。彼の体験から赤ん坊は世界をこんな風に感じているのかもと想像することができるような内容。
    母親としては彼のお母様による手記の部分もいろいろと考えさせられる。一日中続く質問責めに根気よく対応していたお母様も疲れ果ててついついキツい言葉を発してしまうところはまさに育児ノイローゼ。育て直しといえる状態の苦労は並大抵ではなかっただろう。
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    投稿日:2019.09.12

  • 小野不一

    小野不一

    自我とは記憶の異名である。過去をもとにした感情の反応や関係性の物語が「現在の私」を紡ぎ出すのだ。とすると記憶喪失はそれまで蓄積したデータやソフトなどを消去して初期状態に戻したパソコンのようなものと考えることができる。
    https://sessendo.blogspot.com/2018/11/blog-post.html
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    投稿日:2018.11.01

  • yamasnowboarder

    yamasnowboarder

    「自分、もしくは家族や友人がその当事者だったら...。」と色々考えながら読んでみた。こういったことに急に直面する可能性は十二分に考えられる。今までこういったことを真剣に考えていなかったので、この本を読んで色々考えさせられました。
    本人は、壁を乗り越え新しい一歩を歩み進んでおられるようでよかった!そして、大変な苦難に打ち勝ったご両親の素晴らしいサポートを心から尊敬したいと思いました!!
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    投稿日:2018.09.02

  • yamada3desu

    yamada3desu

     記憶ってなんだろう。
     この本を読んでまず思ったのはそれだった。
     記憶喪失……単純に自分の名前や回りの人たちのことを思い出せないだけでなく、満腹感や睡眠の仕方まで忘れてしまうとのこと。
     これがこの作者固有の症状なのか、それとも記憶喪失とはそういうものなのか。
     食欲とか睡眠欲、あるいは性欲(作者が記憶を喪失してしばらくは女性の裸を見ても何とも感じなかったそうだ)などは、記憶という範疇ではなく、あくまでも生きていくための本能、後天的に積み上げられるものではなく、先天的に備えているものだと思っていたので、かなり意外だった。
     でも、よくよく考えてみるとそれら本能と思われていた事柄も、結構記憶に左右されているんだろうな、と思い直してみた。
     例えば、記憶があまり蓄積されていない赤ん坊などは、昼夜の区別なく、眠りたい時に寝る。
     人間は夜には寝るものだ、というのは、本能ではなく、あくまでも習慣、つまり経験の積み重ね、記憶の積み重ねによるものなのだろう。
     だから作者は「なぜ夜に寝るのか」の記憶を喪失してしまった。
     あるいは満腹感。
     これだけ食べたらもう十分ですよ、という脳からの信号ほど実はあてにできないに違いない。
     もし、その信号が完全に有効であれば、僕のお腹の周りにこれだけの脂肪はついていないはず(汗)。
     どれだけ食べれば満腹なのか、十分なのか、これもきっと記憶の積み重ねなのだ。
     そう考えると、記憶の重要さ、これが今まで以上に重く感じられる。
     そしてそんな記憶を喪失してしまった作者の言葉。
     記憶を喪失した人間でなければ判らない事柄に溢れている。
     もちろん、「記憶を喪失した」後に積み重ねられた「新しい記憶」を土台にして、「記憶を喪失した直後から現在まで」を回想して書かれているのだろう。
     非常に回りくどい言いかただけど、要するに、記憶を喪失した時点に書かれたものではなく、ある程度回復したあとになって、「あの時はこうだったなぁ」と思い出しながら書かれているのだと思う。
     だから厳しい書き方をすれば「純度100%」の回顧録ではないと思う。
     やはりある程度「話を盛っている」場面もあるんじゃないかと思う(決して悪いことではないと思っているので、あえてこう書いている)。
     そんなことを思いながら読んでいたので、実は他の方のレビューにあるように「感動した!」という状態までには至らなかった。
     母親の回想に涙しそうになったり、父親の厳しい中にも愛のある行動に拍手を送ったりもしたが、それでも「感動した!」というところまでは残念ながら達し得なかった。
     きっと僕自身、不純な記憶の堆積でもって生きているからなのだろう。
     そんな記憶を「喪失」する必要はないだろうけど、いつかはきちんと「浄化」しないとまずいだろうな……ブツブツ。
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    投稿日:2018.01.06

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