【感想】凍りのくじら

辻村深月 / 講談社文庫
(1528件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
562
556
241
52
9
  • ドラえもん好きな人も、そうでもない人も

    「ミステリー・推理・サスペンス」に分類されていますが、純粋なミステリとはいえないでしょう。実際、物語の前半は大して事件らしい事件も起きず、十代の主人公・理帆子の周辺の状況が淡々と語られます。しかし、物語が進むにつれその世界は不安を帯び、サスペンス味が増していきます。
    高校生の理帆子は物事を冷めた目で見ており、自分はどこでもなじめて、なおかつどこにもなじめない人間だと感じています。「若いころって、なんか生きにくかったなー」という方には特にオススメしたい一冊です。
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    投稿日:2013.10.03

  • 少し不思議な物語

    人の奥底に潜む悪意、負の感情が際立てば際立つほど
    その対比としての温かさ大きく感じる
    実に辻村さんらしい話でした

    投稿日:2013.10.28

  • ファンタジー(幻想譚?)好きなら感動の結末を迎えることができる。

    ラストの種明かし、薄々感づいてはいたが、ファンタジックな内容にまとまっていた。
    自分が現実思考・利己的だと思い込んでいる主人公の唯一の「少し・不可思議」な部分が明かされる。

    やはり斬新なのは、ドラえもんを物語のキーとして散りばめているところ。
    ドラえもんって、大人になってから観ると全く違った感情で接する事ができる。
    ドラえもんとのび太の会話は、私たち、そして主人公・理帆子にも向けられている人生訓だ。

    といいながら、漫画は読んだことない。これを機に読んでみようかな。
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    投稿日:2015.03.05

  • 共感しにくいなぁ

    スロウハイツの神様で,キーとなる人物の一人の,未だ道を見つけられない高校時代のお話。あるきっかけで家族のもとから蒸発した写真家の父との葛藤,そして理解までの過程が描かれています。

    でも,どうも登場人物に感情移入しにくい。そのいらいら感であまり評価できませんでした。続きを読む

    投稿日:2016.08.11

  • 少し不在(SF)

    ストーリーの全編にあふれる「ドラえもん」の世界。『僕らはラブストーリーもSFも,一番最初は全部「ドラえもん」からなんだろう。大事なことは全部そこで教わった』そんな父を追いかける娘。他人と少し距離感を持ってしか接することのできない彼女は「少し不在(SF)」。大切なものを失いながらも,自分を見つけ,別の大切なものを見つけていく。続きを読む

    投稿日:2014.05.26

  • こんなこといいな、できたらいいな

    主人公の理帆子は自分を取り巻く人間関係を何処か他人事のように見つめ、淡々と物語を語っていきます。
    失踪した父、病に倒れた母、彼女はものすごく孤独だけれど感傷に浸るわけでもなく痛々しいほどにクールです。
    でも彼女の心にはいつもドラえもんがあり、道具の名前の付いた章で組み立てられたストーリーは斬新だと思いました。

    私もいい大人なのに、いまだにドラえもんのあの道具があったらと思うことがあり、ドラえもんの影響力ってすごいとあらためて思ったり…。

    辻村作品は他の作品とリンクしていたりしますが、本作品も『ぼくのメジャースプーン』『名前探しの放課後』と少しリンクしています。これらの作品を読んだことがある方、こちらも読んでみてはいかがでしょうか。


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    投稿日:2015.09.10

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ブクログレビュー

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  • catdoll

    catdoll

    最後の結末がびっくりで、すごく面白かった。若尾のヤバさがよく分かって、若尾が次どんな行動をするのかドキドキしながら見ていた。

    投稿日:2024.04.01

  • こみ

    こみ

    このレビューはネタバレを含みます

    藤子F不二雄先生を敬愛する主人公の話、とあらすじを読んでどんな話だろうと思ったけど、面白かった。
    完成した写真集のくだりは電車内で読みながらちょっと泣いた。まだ高校生なのに両親が不在になり、元彼に目の前で飛び降りられる主人公、あまりにも辛い...けど、郁也の存在があってよかった。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.03.31

  • なえまる

    なえまる

    藤子 F ・不二雄をこよなく愛する有名カメラマンの父・芦沢光が失踪してから5年 。残された病気の母と2人、壊れそうな家族を一人で支えてきた高校生・理帆子の前に思いがけず現れた一人の青年・別所あきら。彼の優しさが孤独だった理帆子の心を少しずつ癒していくが、昔の恋人の存在によって事態は思わぬ方向へ進んでしまう。家族と大切な人との繋がりを描いた〝少し不思議〟な物語。

    はじめの50ページは読むのがきつかった。主人公の名前が芦沢(あしざわ)だけど、芹沢(せりざわ)だと思って読んでいたことに途中で気づく。写真のイニシャルがAとなっているから、父の光と別所あきらの関係にあれ?とその辺が不思議な感覚を思わせた。それでも、まさか別所あきらが父の過去の姿だったとは、ドラえもんの話が随所に描かれていたけど、まさかこの物語自体がSFだったなんて…と最後にいい意味で裏切られた感じがした。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.29

  • pedarun

    pedarun

    私たちは、どう自分の周りの人間を見ているのか。主人公・芦沢理帆子は、ユニークなカテゴリー化をしていた。私たちは世界を単純化することでとらえているけれど、つまりそれは、世界がみんなそれぞれの思い込みとそのバランスで成り立っているということなのかもしれない。

    そんな冷めた主人公の元彼は、とっても曲がっている人間で、それでも関わり続ける理帆子を追うのはなかなか苦しいのだけれど、それは、理帆子自身が抱える自分自身の「不在感」を紛らわすための行動だったみたい。

    主人公は、藤子・F・不二雄先生を尊敬していて、いろいろなドラえもんの道具とストーリーを紹介してくれる。私は真剣にアニメを見ていないので知らないものが多いのだけれど、人間の悲劇と喜劇のストーリーでもあるなーと思ったり。

    その想像の世界は、彼女の滞った暗い世界の中で、光を見出していく手助けとなっているよう。

    「少し不思議」なのは、ドラえもんの世界だけじゃなくて私たちの人間の行動、社会も同じだったりするなー。こんなものあったらいいなーって、本当に思って、それは現実逃避ではなくて、不可解な人間社会で、分からないことも想像しながら、ときに思い込みながら、前に進むために必要なのかもしれない。
    https://www.instagram.com/p/C4rJH87SnTs/
    続きを読む

    投稿日:2024.03.19

  • yuu

    yuu

    藤子先生がSFをsukoshi fushigiな物語。と言った事が印象に残った。スラスラ読めて心あったまる晴々させてくれる作品でした。

    投稿日:2024.03.12

  • まる

    まる

    とても良かった。1章ずつ大事に読みました。自分だけの神様がいることは、とても良いことだと思う。少し、不思議な物語。

    投稿日:2024.03.12

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