【感想】葬儀を終えて

アガサ・クリスティー, 加島祥造 / クリスティー文庫
(36件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
13
13
3
1
0
  • トリックが非常にうまく用いられている!

    巻末では解説として作家の折原一氏が"『葬儀を終えて』クリスティーの全作品中でも最上位にランクされるべき傑作なのである"とも評しているようにクリスティーの知られざる名作の1つであり、個人的にも好きな作品の1つです。
    トリック自体はクリスティー作品では何度か使われているもののアレンジですが、それを劇的な台詞などとうまく絡めることで同じトリックを使うどの作品にも勝るインパクトを生んでいます。さらに推理の過程なども巧みで、うまくヒントが隠してあります。
    登場人物についても1人1人の個性がはっきり描かれており、途中なども非常に楽しんで読めます。
    非常にオススメの作品なのでぜひ読んでみて下さい。
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    投稿日:2015.01.11

ブクログレビュー

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  • 肋骨臀部

    肋骨臀部

    このレビューはネタバレを含みます

    なんとな〜く、家政婦の証言を信じなければアッサリ片付きそう、とは思ったが、ここまで捻られているとは思わなかった。読み返すと確かにウキウキしているシーンではコーラと呼ばれてなかった。脱帽。

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    投稿日:2024.02.03

  • あくら

    あくら

    これぞ隠れた名作。
    初めて読んだ時「うわ、やられた!」と思った。
    今回数年振りに読んだけれど、ホント上手いんだよなあ。
    当主を亡くしたアバネシー家を動揺させた『だって、リチャードは殺されたんでしょう?』という一言。
    その言葉を放ったコーラは翌日死体となってしまう。
    「ポアロシリーズはメジャーな作品しか読んでいない」という人がいれば、ぜひ読んでくださいと言いたい。
    ここまで見事にしてやられると、かえって気分が良いもんです。
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    投稿日:2023.12.17

  • オズ

    オズ

    クリスティの凄い所は傑作、良作が多い事だ。好きな作品を5つあげよと言われればある程度気分により候補が分かれるのだが、簡単にいえば90点以上の作品が物凄く多く、傑作をあげよと言われたら数十作程挙げられるのでは無いだろうか。
     今作「葬儀を終えて」も紛れもなく傑作であり、導入部、少し風変わりなコーラという女性が兄の葬儀の場にて兄は殺されたのでしょ。と口走る。葬儀に参加していた人々はその言動を馬鹿にするが、心の中では疑惑を抱えている。そんな中、コーラが何者かに惨殺される。家族と昔から付き合いのある弁護士エントウイッスルは旧友であるエルキュール・ポアロに真相解明を依頼する。
     イギリスの昔風の田舎の屋敷で起こるミステリーは現代の僕たちからしたら新鮮であり、優秀な執事、料理人やお手伝いさんを抱え、華やかなイメージだが、クリスティの時代背景にはそれらの栄光から消え掛かった、現代風の生活に変わってゆく過渡期が背景になる事が多い。今回の執事の嘆きにある様に、決して過去の栄光に戻る事はなく、そんな舞台が美しく抒情的に思てしまう。
     今回はポアロ単独さくであり、ヘイスティングスもオリヴァも登場しないが、動機やトリックは秀逸であり魅力的な作品だ。少なからずクリスティ作品では、最も犯人と思えない人が犯人であり、最も犯人であるべき人がきちんと犯人になる。そのため、読了後作品に対して納得出来るし、幸せになるべき人物を幸せに描くためとても気持ちが良い。
     僕は過去、この作品を初めて読んだ時(昔の文庫にはバーコードがついていない為、ブクログ登録が出来ないのが残念)動機とトリックにとても関心してしまった。現代であれば、科学的な見地から難しい部分が沢山あるのは事実だが、この時代であればアバネシー家を漂う数々の謎がミスリードになっており十分に読者を惑わせてくれる。
     構成として、既に人が亡くなってからの、葬式から始まるという事がタイトルと相まって暗い印象を創っている。登場人物其々が叔父の死を喜んでおり、遺産によって救われる人達ばかりだ。
     この時代背景も現代に通じる部分がおおく、読み進める負担がない理由だろう。
     
     しかし面白い作品だ。探偵の登場が後半になる作品がいくつかあるがポアロの活躍を十分に見る事ができた。彼も既に歳を取っているが、灰色の脳細胞は健在であり、今回の事件のきっかけ(本筋の殺人の偽装)を見破った事は驚愕だ。
     外国人としての偏見を理解し利用する様もかれの能力だと思う。
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    投稿日:2023.07.19

  • タカツテム

    タカツテム

    ミステリにはパターンだとかテンプレだとかが山のように存在していて「口の軽い人間が不用意な発言をした、又はしそうになって殺される」なんてそれこそ数多のミステリで用いられてきた要素
    本作はその口の軽い人間の死が全てを掻き回していく様が非常に面白く描かれているね

    また、舞台設定の特殊性も言及したくなるかも
    出版されたのは1953年、まだ戦争の残り香がそこかしこに有る頃であり、同時に大英帝国の終焉期。それもあってか登場人物の二極化が見られるね
    発端となったリチャード・アバネシーの大邸宅は時代を間違えたとしか思えない代物。そんな人物が死んで遺産目当ての遺族が睨み合いを始めるなんてやはり時代錯誤
    けれど、登場人物全てが貴族時代の名残があるわけではなく、借金漬けや配給頼りの生活をしていたり、新時代に向けて準備する女性が居たりと様々
    いわば時代の狭間が本作には横たわっていて、それが作品の深みに一味加えているね

    本作で発生する事件はどれも特別なトリックは何も見当たらない。ちょっと人の目を盗めば誰だって犯行可能なタイプ
    だからこそ、事件現場から証拠を見つける方法なんて無いし、むしろ現場を見る意味すら薄い

    そのような事件なら尚更にポアロの出番となるわけだね
    事件に対するポアロの調査方法は現場に赴いて証拠を探し回る遣り方ではなく、ひたすらに関係者の話に耳を傾けるというもの
    その中で発せられる容疑者達の発言が読者を煙に巻きつつ、事件に対し更に奥深さを持たせるものになっているね

    本作を語る際、事件の発端となる「だって、リチャードは殺されたんでしょう?」という発言はどうしたって取り上げたくなるが、もう一つ取り上げようとするならば、犯人の動機だろうか
    上述したような舞台設定が整った作品であのような理由で殺人に及ぶ人間が居るとは!と衝撃を受けてしまう

    とてもしっかりしたボリュームの本作だけど、推理パートは軽めに。それは真相が簡単なものだったというわけではなく、推理ショーの際にポアロは犯人逮捕に関する部分しか語らなかったと言うだけ
    あの推理ショーでポアロが語らなかった部分を想像しつつ隅々を読み直すとまた違った色が見えてくるかもね
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    投稿日:2023.06.17

  • ロッキー

    ロッキー

    みなさんがちょくちょく感想あげていた憧れのクリスティーを遂に読む。

    上流階級の優雅なお喋りと、ポアロの余裕綽々なゆったりとした推理が心地よく、実は夏風邪でしばらく寝込んでいたんですが、格好のお布団の友になった。
    最近流行りの特殊設定ミステリも刺激的で面白いけど、古き良き名作ミステリも、やっぱりすごくいい。
    他の物語も読んでみたい。

    しかし、この結構大胆なトリック、荒々しい犯罪、体を張った隠蔽工作を、意外なあの人が澄まして実行してる様子を想像するとゾッとする。

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    投稿日:2022.08.27

  • y-tegetege

    y-tegetege

    富豪の遺産を巡っての難事件。証拠を探すというより、相手に勝手に喋らせて論理的に推理してく流れに、毎度毎度驚かされる。今回も意外な犯人でした。

    投稿日:2022.07.12

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