【感想】彼女がその名を知らない鳥たち

沼田まほかる / 幻冬舎文庫
(356件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
65
105
104
42
7
  • 愛される者が強者

    某所で光浦靖子さんがオススメしていて、手に取った一冊。
    同居する15歳年上の男性に対する描写がすごい。容赦ない。
    嫌悪感をこんなにも露わにする女を、なぜこんなにも献身的に愛するのか?
    何か裏があるのでは?
    主人公の視点に引きずられ、真実が知りたくて、ページを繰る手が止まりません。
    「可愛そうだた惚れたてことよ」この一言が思い浮かぶ一冊。
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    投稿日:2016.01.03

  • 衝撃のラスト!

    は~~。ラストのシーンが衝撃的過ぎて、しばし脱力。
    この作品は、男性と女性で捉え方がだいぶ違うのではないでしょうか。既婚か独身かでも意見が分かれるかもしれません。
    献身的な愛と取るか、ストーカー的な愛と取るか…。

    主人公の十和子ですが、独善的で本当にイヤなオンナです。15才も年上の陣治が自分に惚れているのをいいことに彼に対して傍若無人に振る舞います。

    まぁ、陣治はお世辞にもいい男とは言い難く、生理的に受け付けない面も多々ありますが、だからと言って、陣治に対する十和子の振る舞いはあまりにも酷い…。十和子さん…思いやりって言葉知ってる?と何度ツッコミ入れたか…。

    ただ、これは衝撃の結末のために穿たれた布石なのかと思うとすごい話を書くなあと感心してしまいました。

    ちょっと異質のラフストーリーでしたが、文句なしの★5で!
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    投稿日:2016.04.24

  • 引き込まれるストーリーでした

    この本を読んだ後、なんとも救いようのない
    とても切ない気持ちになりました
    沼田まほかる独特のストーリー構成が
    人間の奥深い心の傷や直視したくない部分
    それを読み手にじんわり見せていく
    そんな展開に一気に引き込まれました

    ミステリーと言うよりは、屈折した愛の形
    病んでしまった心の闇
    そんな形のラブストーリーなのでは
    そう感じてしまいました
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    投稿日:2014.01.08

  • 世界観に引き込まれます

    陣治は不潔でだらしない描写がリアルで、確かに一緒に暮らすには思わず眉を潜めてしまうかもしれない。
    …それにしても十和子は酷い!
    それ陣治のお金!マンション!!とどちらにも気持ちが感情移入できないまま、ただただ傍観者として話に引き込まれました。

    この本の帯には「それでも、恋と呼びたかった」とあります。ラストで私は泣けました。
    泣かない人でも、胸がギュっとなって言い様のない気持ちになると思います。
    ミステリを期待して買って、いい意味で大変裏切られた作品でした。
    続きを読む

    投稿日:2014.11.12

  • まほかるさんの年齢

    若い女性にはまだ得ることの出来ない感性と目線がある作品を沼田まほかるさんは描く。
    その感性はどの女性にもあるのか?無いのか?
    男性からすると、ある意味女性への畏怖を感じる。

    人生のいろいろな経験を経ないと分からないかも知れない、男女間の愛に溢れた良作。続きを読む

    投稿日:2015.11.16

  • まほかるワールド

    恋愛サスペンス、心が壊れている同士の恋愛?
    でも、ここまでじゃないにしろ心情的にはありそうで怖い。
    愛とは?人を好きになるとは?
    十和子に対する陣治の愛はすごい。
    結局女性を愛するにはこのくらいの覚悟が必要なんじゃないかと思った。続きを読む

    投稿日:2014.11.20

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ブクログレビュー

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  • YURIKO

    YURIKO

    このレビューはネタバレを含みます

    面白かった!!!!
    けど、絶対的に好きにはなれない本(笑)
    とにかく最初から最後まで主人公・十和子を好きになれんかった。心に深い傷を負ってることは分かる。
    陣治への嫌悪感みたいなものも描写から理解、共感はできる。けど、だからと言って自分のことを好きな陣治をわざと必要以上に傷つけながらそれで心の安定を保って…しかも生活に関しては陣治におんぶにだっこな上に家事すらマトモにせずに…。
    陣治がそれについて何も不満もってないんやからいいんやけど、絶対好きになれないタイプの女。笑
    姉のリンちゃんの意見に全面的に賛成!!
    確かに十和子は黒崎から哀れな目にあってたけど自業自得というか自分から不幸になりにいってた。どんな甘い言葉囁かれたとしても所詮相手は既婚者で。
    そんな相手の信じられへん要求を…のんだのは自分やもんな。好意を利用されたとはいえ。
    黒崎のこと恨むのは勿論わかるけど、自業自得としか言いようがない。さんざんリンちゃんにも迷惑かけて。頼る時は頼るのに疎ましく思ってるし都合いいなあって思う。やっぱり十和子嫌い。笑
    けど、じゃあ陣治のこと好きかと言われると…
    真実が明らかになる最後の最後では嫌いにはなれんかったけど、それまではもうずっと嫌悪感の塊すぎて。書き方がうますぎて…しみったれたうだつのあがらない卑屈な中年男性…どこに魅力ある?!あのコテコテの関西弁も相まってすごい気持ち悪く感じちゃった。2人だけの時も嫌悪感やねんけど、電車の中、飲食店、そういう場所で周りからの目がある時になおのこと郡司を恥ずかしく思って疎ましく感じられるのとかすごいリアルやった。すぐ「揉んだる」って言うのもイヤ。笑
    でも、じゃあそんな陣治を見下せるほど十和子がいい女なのかって言うとそんなことも無いねんよな。性格とかそういう話でなく客観的に。結局はお似合いやったんやろうなあ…
    そんな十和子やけど寂しいとか男にすがりたいとかそういう気持ちが出てるのか、水島みたいな奴に目をつけられる。美人でもないのに。
    最初また時計の件でクレーム言い始めてスッキリしてる十和子見てなにこれ最悪って思ってたけど、まさかそこから恋愛に繋がるとは思わんくて嘘やん?!てなった。あんたが相手に?!て。
    水島は十和子をバカそうな簡単に黙せそうな女として見てたんやろうけど、とんでもない女に手を出したんやでって感じ。

    真実も結末も意外過ぎたけど妙にスッキリして納得感あった。

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    投稿日:2024.02.22

  • みんみん

    みんみん

    嫌な大人、嫌なという言葉では甘すぎる…
    クソな大人たちしか出てこなく、思い返して浸りたい部分も特にない。

    しかしこの物語でしか表現されることのない“胸糞悪さ”と“恋”(これを当てはめるのはかなり躊躇する)があり、読んでいるうちは妙に癖になる。中盤くらいまでダラダラと十和子と陣治の描写が続くのがちょっとしんどい。続きを読む

    投稿日:2024.02.15

  • wonwoo

    wonwoo

    前半部分は、正直主人公にかなりの嫌気が指した
    だが、このままどう結末を迎えるか気になり完読
    若干真相のイメージがついていたが、最後の畳み掛けは想像を越えた
    自分的には重い1冊

    投稿日:2024.02.12

  • まべ

    まべ

    このレビューはネタバレを含みます

    読み終えた時は衝撃が勝って呆然としていたのに、思い返す度にウルウルきてしまいます。ダメ女のダメな恋愛にうんざりしながら読み進めました。陣治の事は姉と同様「こんな出来た人いないのに…。」と思いつつ、やっぱり自分だったら絶対選ばないな、と。失踪した黒崎の真実はなんとなく予想できていたけど、最後の最後が衝撃的過ぎました。「なんでよぉ…(泣)」って、すぐにはそれが愛なのか判断は出来ません。ただ、あんなに疎ましかった日々が一瞬にして幸せだった過去に変わりました。恐るべし、まほかるマジック。やられたー。

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    投稿日:2024.01.23

  • まさ

    まさ

    読み終わった瞬間、誰にも何にも幸せがもたらされないやるせなさと、何故か虚しさを感じた。小説を読んでいる時は、時には登場人物にすり替わり、時には登場人物の至近距離で物語の行末を見守っている、そしてストーリーの傍観者としてあれこれと空想をしてみる自分がいる。この本を読み進めていると、どの立ち位置にいても何とも言えない不快であり、馬鹿げているとわかっても快楽に依存しようとする人間の哀れさが自分にも備わっていると思えてきて身の毛がよだつ。そんな感情を抱かせる描写のリアルさからしてみれば、ある意味優れた作品なのであれうが、不快な感想が優ってしまった。続きを読む

    投稿日:2023.12.15

  • えつお

    えつお

    読み終わった後に映画化していることを知って、猛烈に観たくなった。北原十和子を蒼井優が、佐野陣治を阿部サダヲが演じ、竹野内豊と松坂桃李が出演しているとなれば、DVDを購入してもいいくらいだ。

    それはさておき。
    十和子は15歳上の陣治と暮らしている。陣治は下品で不潔で貧相で、ほとんどの女性が生理的嫌悪感を抱くような男だ。一方の十和子も、そんな陣治を毛嫌いしながらも、生活のために一緒にいる。働かず何もしていない、ろくでもない女だ。
    十和子には、8年前に別れた忘れられない男がいる。その男は黒崎という既婚者で、十和子はさんざん利用された挙句、ゴミのように捨てられた(ゴミのほうがまだ丁寧に扱われているかもしれない)。
    ある日、十和子はデパートに勤める水島という男と知り合う。彼も既婚者で、小学生になる娘もいる。水島は奥さんと別れて十和子と一緒になりたいと言い、十和子も勿論そのつもりになる。
    そんな矢先、ひょんなことから黒崎が5年前に失踪していることを知った十和子は、実は彼は殺されていて、その犯人は陣治ではないかと疑う。

    黒崎も水島も同じ種類の人間だ。自分の楽しみのためなら、他人の人生や気持ちがどうなろうと全く気にしない。ふぐ刺しより遥かに薄っぺらく、沖縄の遠浅の海よりも浅い人間だ。
    そんな男ばかりに惹かれる十和子は、いいところがひとつもない、ろくでなしの女だ。

    なぜ十和子はそんなに馬鹿なのか。
    なぜ陣治はそんな馬鹿な女を愛し、守るのか。
    なぜあたしは、こんなに苛々しながらこの本を読み続けているのか。
    十和子の中に、且つての自分を見ているのだろうか。

    ラストシーンの衝撃とともに、陣治に感じていたあたしの気持ちが180度ひっくり返る。
    陣治の切なる願いが胸をえぐる。
    映画ではどのような最後を迎えるのか、知りたくてたまらない。
    続きを読む

    投稿日:2023.10.16

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