火星年代記〔新版〕

レイ・ブラッドベリ, 小笠原豊樹 / 早川書房
(86件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
25
32
13
1
1
  • 抒情詩

    この作品は1999年の夏からはじまり、2050年代にかけて地球人によって入植され移り変わってゆく火星を連作短編小説集といった形式にして描かれた作品です。SFというには科学的考証などには無頓着なのでSFというよりはファンタジーというべきでしょうが、それよりもこの作品の真骨頂はその抒情詩的な文体にあると思います。
    作品のオープニングにあたる“1999年 ロケットの夏”と題されたたった3ページほどの部分。ロケットがはじめて発射される時の大人も子供も熱狂する様をこれほど詩的に、優しくつづった文章にはなかなか出会えないでしょう。それより先は地球の人々によって火星がじわじわと汚されてゆく様が描かれてゆきます。ちょうど地球を汚していったように...。
    これを読むと最近の宇宙ビジネスさえ罪深いものに思えてきます。人間って観光旅行でさえ、その土地を汚したりしてますからね。
    続きを読む

    投稿日:2013.09.25

  • ブラッドベリと言えば、これ

     これなくしては語りようのない、ブラッドベリの代表作です。

     未来SF小説ですが、1999年1月の出来事から始まります。
    地球では、第1次 火星探索隊が出発。 しかし、帰還せず。
    そして、第2次 探索隊も行方不明となり
    2000年4月に第3次 探索隊が...
    ようやく、読者には何が起こったのかが分かりますが
    この隊も行方不明になり、地球は未だ何も知りません。

     2001年6月、第4次火星探索隊が着陸した火星は...
    同年8月、第1次 火星移住者のロケットが到着して
    以降、町が建設され、子供が生まれ...
    最後の記述は 2026年10月、
    その時、地球人が見た火星人とは... ?

     銀色に輝くロケット、遥かな宇宙に
    人間は何を夢見て求め、何を見、そして何を知るのか?
    ジャンルは SF, しかし
    悲しく優しく美しく、叙情的ですらあります。
     日本語翻訳本でも、色や音、風や水も感じられる
    豊かな表現に魅了されます。
    (私が読んだのは、旧版です)
    続きを読む

    投稿日:2014.04.30

  • 1950年に思いを馳せる死の星MARS

    2030年(改正版なので1999年から大人の事情により変更)に火星へと人間が到達し2057年までのオムニバス形式で火星にやってき地球人の物語です。レイ・ブラッドベリは戦後間もない頃(1950年出版)の核戦争を想定して地球が滅びる前に第二の地球として遠い遠い火星を選んだのでしょうか。
    新たな惑星への移住、地球を捨ててきた様々ん人々の様々な思い、第2の人生としてやってきた人々がほとんどで、叙情的なストーリーで様々物語を堪能出来ます。火星は第2の母星になるのでしょうか。2016年現在も火星への移住を目的に火星探査が続けられてます。
    続きを読む

    投稿日:2016.12.05

  • 火星と人類の歩み

    人類が初めて火星に向かうところから始まる、連作短編集です。短編作品が時系列順に並んでいるため、読み進むにつれて物語中の時代も進んでいきます。ときどき登場する装飾的な文体がちょっとくどく感じるものの、全体としては比較的読みやすい部類に入るでしょう。
    古典とされる作品なので正直内容はあまり期待していませんでしたが、各短編はそれぞれ雰囲気が異なっていて飽きることなく読めました。怖かったり、滑稽だったり、ちょっとほのぼのしたり、考えさせられたり……これは今でも十分通用する古典ですね。もっといえば、本書の時代設定は現代~近未来ですので、今の時代に読んだからこそ心に響く部分もあったと思います。
    続きを読む

    投稿日:2013.11.04

  • 傑作

    SFの古典的名作です。
    古典的名作というと小説に限らず漫画でも映画でも、「当時はエポックメイキングだったけど、それ以降、その作品を真似た上にさらに新しい要素を付け加えた名作が出ているので、今読む(見る)と、まぁ普通」という作品があります。
    しかしこの作品は今読んでも十分面白いです。それはおそらく、非常に叙情的だからでしょう。
    SFといっても難しい科学的な説明や理屈はありません。そういう点では藤子不二雄の漫画と通じるところがあるかもしれません(もちろん、この作品のほうが藤子不二雄より先にあったのですが)。
    僕は大人になってから読んだのですが、多感な中学生ぐらいの時に読んでおきたかったなぁと思える作品です。
    続きを読む

    投稿日:2013.10.28

ブクログレビュー

"powered by"

  • Moxon

    Moxon

    読みやすかった。火星へ人類が進出していくところは白人が、ヨーロッパからアメリカへ移動したのを下敷きにしているんだろう。

    投稿日:2021.08.12

  • フラニー

    フラニー

    いろいろ寄り道しながらも、ここ最近でいちばん夢中になれた本。
    ラストが
    ラストが!
    なーるーほーどー!
    手法としてはもう在り来りなのかもしれないけど、怖〜。

    最初は、謎系のSF感がとても面白くて読ませます。星新一さんみたいに。

    なかなか火星から地球に帰ってこない地球人。だのに、翌月も、また夏にも、地球人たちは火星目指してやって来て…
    メンタルを損なわれそうなファンタジーが少しずつ短編として連なっていく。

    途中私には難解になったり、すごく腑におちたり、バイロン卿の詩が現れたり。。

    神父たちが、火星には新しい罪があるのではないかと、ロケットにのっていってしまうという…シュールで詩的な画が浮かぶ、2033年11月「火の玉」は、急に面白くて、なんなんだろう??
    解説を読むと、新版でいくつか短編が差し替えられたりしているそうなので、あとで納得できたけれど。

    2036年の、「第2のアッシャー邸」も怖くて面白かった。アッシャー邸を作ったのは、スタンダール氏、
    地球人の政治が本を焼き、「むかしむかし は、二度とこんなことは起こらない になってしまった!」と地球の社会学社たち、有名な人物たちを第2のアッシャー邸に招待して…

    狂った地球人のせいで、火星人もだんだん絶滅していく。。

    時々訳が分からなくなると、「たんぽぽのお酒」を開いて自分を励ましながら、
    怖く、面白く、読み耽りました。
    地球は、核戦争により自滅する!

    SFって、本当に予言に満ちているんですね。
    続きを読む

    投稿日:2021.07.02

  • さんごり

    さんごり

    このレビューはネタバレを含みます

    読んだのが数年前なのでうろ覚えな部分もあるのですが…。
    この作品が書かれた当時は、核兵器というものがともかく驚異(今もそれには変わりませんが)だったのだなという感想を読んだ当時は強く感じました。けれど、緊急事態宣言が出ている今は、火星人が絶滅した原因が感染症だったことの方が気になります。私達もSFの世界だけでなく、病原体を宇宙にばらまいているのかもしれません…。まさに、小松左京のあの小説のような驚異を、異星人に与えるかも。このSFの物語が現実になりませんよう。
    また、火星人は悲しい最期を迎えてしまうのですが、彼らの文化がなんだか美しくて好きでした。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.01.14

  • cinejazz0906

    cinejazz0906

    西暦2029年夏、地球に最も近い二つの月をもつ惑星・火星探検に向けて、新天地の夢を託したアメリカ合衆国のロケットが地球を飛び立ちますが・・・。鬼才【レイ・ブラットベリ】のオムニバス形式による26の挿話で構成された『火星年代記』は、痛烈な文明批判を芳醇な文学の香りで包み込んだ壮大なSF作品です。とどまることのない人間の野望と征服欲、途絶えることのない戦争、破壊と創造を繰り返す文明の歴史を〝地球〟と〝火星〟を舞台に展開されるエピソ-ドは、哀しいまでに人間の愚かしさを感じさせる作品です。続きを読む

    投稿日:2020.04.09

  • popcherry

    popcherry

    これは……さすが名作、と言わざるを得ない。
    わたしが生まれるずっと前に書かれてたのか……。すごい。
    だけど地球人って平和ボケしてるというか何というか……歓迎されると信じ切ってるところがヌケてるというか
    火星人の方が大分上手だ。
    続きを読む

    投稿日:2019.10.31

  • kure1986

    kure1986

    このレビューはネタバレを含みます

    ほぼほぼ独立した叙情的な短編から構成されるが、タイトルの通り、火星(と地球)をめぐる小史といった流れ。

    別々に見ると毛色が違う作品群であるが、話の筋は通っており、随所に差し込まれる衝撃的な展開を動力に一気に読んでしまった。
    私が特に面白かったのは、
    『夜の邂逅』『荒野』
    いずれもイメージが美しい。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2019.09.15

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

本棚の開き方(スマートフォン表示の場合)

画面左上にある「三」ボタンをクリック

サイドメニューが開いたら「(本棚アイコンの絵)」ボタンをクリック

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。