【感想】長いお別れ

レイモンド・チャンドラー, 清水俊二 / 早川書房
(142件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
56
37
32
4
1
  • 旧訳もかっこいい

    数年前、村上春樹訳で一躍有名になった同作品。
    へそまがりなので、旧訳で読んでみました。
    非常に硬質で、綺麗な訳文です。原文を読みたくなってしまいましたよ。
    村上春樹訳で、原書の人気が出て、古本で安く出回らないかなあ。
    かっこいい文章を抜書き。

    「(前略)法律は正義ではない。はなはだ不完全な機構なんだ。ボタンの押し方をまちがえないで、そのうえに運がついていたとしたら、正義が飛び出してくることもある。法律とはそんなものだ(後略)」

    死んだ人間ほど世話のかからないものはない。何をいわれても抗弁しないのだ。

    「(前略)妻に近づくなマーロウ。君が妻に惚れているのはわかっている。だれだって惚れるんだ。妻と寝てみたいだろう。だれだってそうだ。ともに夢をわかち、妻の思い出のばらの匂いをともに嗅いでみたいだろう。ぼくだって、そんな気持ちになるかもしれない。だが、わかち合うものなんかない。―何もないんだ。暗闇に一人取り残されるんだ」

    でも、そんな女性が目の前にいたら、普通引かれるよねえ。

    ストーリーもさることながら、訳文のかっこよさを味わって心地よい読書の時間を過ごせました。これって、文体の力だ。
    今度村上訳も読んでみましょう。

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    投稿日:2014.11.28

  • 「アルコールは恋愛のようなものだね」

    私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする長編シリーズ。私は「さらば愛しき女よ」のほうがすきではある。たばこを吸っていないはずなのに、どこからかたばことお酒のにおいが漂ってきそうな作品。主人公のマーロウがけっこうかっこいい。続きを読む

    投稿日:2013.11.08

  • ノスタルジーがとまらない独り言が多い私立探偵マーロウ。

    亡き友のためにコーヒーを注ぎバーボンを加える。
    タバコに火をつけコーヒーカップのわきの灰皿にのせる。
    タバコが燃え尽きると彼に「おやすみ」を言う。

    街で酔いつぶれていたのを助けただけで素性は知らない。それでも何故か気が合った。お互いに深く立ち入らないからこそ良かったのだ。だが事情を聞いておけば彼は死なずにすんだのではないか…

    中盤あたりから探偵であることに目覚めやっと事件は動き出す。早く結末を知りたくて一気読みする類のミステリーとは明らかに作風が違っている。

    スペンサー・シリーズの著者パーカー氏がマーロウに心酔していたのは有名である。少々大袈裟なスペンサーの独り言もポーズもすべてこの作品を読むと納得できる。さらにスペンサーのみならずジェッシーストーン・シリーズ3作目に登場する小説家は本書に出てくる酒びたりの小説家とかなり似たキャラである。本当に敬愛していたのだな~と感慨深く読み進んだ。

    翻訳は古さを全く感じず問題なく読めた。逆に新訳は必要なのだろうか?と思った。

    今回出会ったリンダとの交際がこのあとも続くようなので次の作品「プレイバック」も読む予定である。
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    投稿日:2017.03.24

  • チャンドラーと清水俊二が生んだ文体の奇跡

    『長いお別れ』は20代のころに読んだ。その本は実家に置いたままで失くしてしまった。今度は同じハヤカワ文庫の村上春樹訳『ロング・グッドバイ』で読んでみようかな、と試し読みを開いてみる。冒頭の1行目で「?」。
    あれっと思い『長いお別れ』の試し読みを開いてみる。これだよこれ。本を開いて文字が並んでるの見てるだけでなんかもう幸せな気分。
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    投稿日:2017.09.17

ブクログレビュー

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  • きよきよ

    きよきよ

    昔、大型書店でバイトしていた頃、バカ売れしていたレイモンド・チャンドラー。読んでみたいと思っていた元祖ハードボイルドミステリーを初めて手に取った。
    主人公のフィリップ・マーロウがカッコ良すぎ。極上のいい女も登場。ミステリーに引き込まれ面白くて一気読み。どんでん返しもあり、十分に楽しめた。
    大金持ちの妻を撲殺したと言う友達を逃亡させる私立探偵のマーロウ。友達の無実を信じ続ける。次の依頼人は金髪の美しい女。アル中の人気作家である夫が行方不明で探して欲しい、と言う。そして、2つの事件が交差していく。
    マーロウの癖が強い。ストーリーも粗削り。警察は殴りまくりの違法捜査するし、マーロウは隙だらけで普通は逮捕される事案。事件の結末も謎が残る。そして題名通り…長い。
    でも良いんです。空気感が素晴らしいから。秒で別世界に連れて行かれる。マーロウと女達の描き方が美しい。オシャレな会話に痺れた。
    有名なセリフを記しておこう。

    「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」
    「ギムレットにはまだ早すぎる」

    本作から来てたのか。
    いろいろな訳者が翻訳されている。今回は、オーソドックスな清水俊二訳を選んだが、読みにくさもあった。次は他の方の訳で読んでみよう。理解も感じ方も違うのだろうなぁ。
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    投稿日:2024.03.24

  • notitle

    notitle

    何かを隠すということは本当に難しいものだと思った。人を殺したこと、殺した人を知っていること、自分が殺したのではないこと、自殺したこと、自殺しなかったこと、すべてが苦労に苦労を重ねられて隠されようとしていたが、どこかしらから誰かしらに見つかっている。
    だが、単に悪いことはできないねという話ではなかったと思う。まず、何か「悪い」ことなのかがはっきりしないと思う。イギリスで会ったことか、結婚したことか、行方不明になったことか、忘れられなかったことか、金を持っていることか、道徳がわからないことか、首を突っ込んだことか、首を突っ込まなかったことか、いったい何が誰が悪い「から」こうなったのだろうと考えてみて、結局は社会が悪いからだとしてしまえば済むようには思うが、「社会」ではそれぞれがそれぞれの考えで生きているのだから、つまりは「長いお別れ」をすることになってしまったのは仕方がなかったことだ、どうしようもなかったのだとしか結論づけられないことになってしまうように思う。
    しかし、本当にどうしようもなかったのかと考えてみると、いやほかの方法はあったのではないかとか、一言あれば違ったのではなど、他人目線でなら思えはする。
    社会の中で、すべてを正直にして生きることはできないはずである。名前を言わないでおくとか、気持ちをごまかすとかはぐらかすとか、その時の一瞬のうちに当たり前に行なっていることである。なら、「ほかの方法」も「一言」も、あったかもしれないがなかったのがその時の「正解」であり、そうでなければまた別の何かが起こっていたかもしれない。
    「金にならないこと」を考えてばかりで、そのおかげで隠された何かに気づく主人公マーロウも、こういうことを考えたりもしたのではないかと思っている。
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    投稿日:2024.02.16

  • Kanna

    Kanna

    村上春樹訳
    長編ミステリー読んだの初めてだけど楽しめました。
    エピローグ難しかったけど読み応えあって私みたいにただただ読んでた身としては、なかなか言語化できないこの作品の魅力を伝えていた。
    そして、フィリップマーロウが最高に魅力的なので他のシリーズも読んでみたいと思った。
    ミステリーとして楽しむのはもちろんだけど、人間関係とか当時のアメリカの空気感、ジャンルの枠を超えて評価されるべき作品だとかんじた
    あと、個人的に寝る時にみる夢で作品をみるとかなり没頭してると捉えてるんだけど、今回はそれでした。夢にでてきました。こういうオールドアメリカの世界観に弱い
    続きを読む

    投稿日:2024.01.25

  • yumo

    yumo

    ボリューミーな物語とマーロウの格好良さ全開の一冊だった。
    あの名言の元ネタが本書とは…
    自分の無知が恥ずかしいと思った。
    春樹さんが翻訳した版も読んでみたいな~♪

    投稿日:2023.03.04

  • 薄雪

    薄雪

    翻訳本の中では、わたしの最も好きな本。

    レイモンドチャンドラーの魅力は、その個性的な登場人物と味わい深い会話。どのページから開いても独特な空気感を味わうことができ、何度読んでも飽きません。
    村上春樹訳も清水俊二訳好きですが、装丁は古くからある清水さんの方が好きです。
    物語終盤の「ギムレットには早すぎるね」が決め台詞。

    あいにくとギムレットの味がよくはわかりませんが、まあ、とりあえずやられちゃいますね。
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    投稿日:2023.01.17

  • take9296

    take9296

    再読。60年以上前の翻訳なので、使われている日本語が古くて分かりにくいところもあるが、雰囲気がたまらなくよい。

    投稿日:2022.05.19

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