【感想】さよなら! 僕らのソニー

立石泰則 / 文春新書
(117件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
11
39
42
12
1
  • 「僕らの」?いやいやいや・・・

    情緒的なタイトルの通り、情緒的な本である。
    本当は「さよなら!」なんて言いたくないのだ、愛しのソニーに。そういう本である(笑)

    まるで恋愛小説のような展開である。
    少年の日の、家電店での出会い。
    れからずっと一緒にやっていけると思っていたのに、
    君はいつから変わってしまったんだ?
    ストリンガーが来てからか?それとも出井の頃から?

    正直感情的過ぎるなあ、と思って一回放り投げた本だったが、
    ここのところの業績不振ニュースで再読。
    ああ、この人、本当ソニーが好きなんだなあ、と笑えてきてしまった。

    ソニーの笑えない現状についての著者の分析は正鵠を得ていると思う。

    要するに「技術のソニー」だったはずが

    「ソフトとハードの融合」などと唱えてみたものの

    明確なビジネスモデルを持たずにやってしまったため

    このありさま(苦笑)

    ということである。製品のこと、幹部役員のことを具体的に挙げて説明している。
    感情的な感じはあるが、残念ながら納得せざるを得ない部分も多い。

    が、やはりひっかかるのだ、「僕ら」という言葉に。
    私の惚れたソニーと貴方が惚れたソニーはちょっと違う。

    著者はこう言う。

    日本のソニー、日本国民のためのソニー、つまり「僕らのソニー」

    と。確かに、ソニーには、戦後、アメリカでの人種差別と戦いながら成長することで、日本人に希望を与えた。
    だが、だからこそ、「日本」という国境を越えることのできる会社で、「日本国民のためのソニー」などで終わるべきではないのではないか、
    と私は思うのだ。私にとってのソニーとは、SONYであること、それだけなのだが・・・。

    また、「ソニーらしさ」をいろいろ挙げているが、ソニーが世界に先駆けて行ってきた電子書籍事業について触れられていないことも残念である。
    現在ソニーが行っている電子書籍事業は著者が批判する「コンテンツ・ネットワーク事業」であるが、
    私はこのストアには、他の電子書籍ビジネスにはない魅力を感じる。それも新しい「ソニーらしさ」ではないだろうか。
    (ただ、電子リーダー端末は継続して出して欲しいのだが・・・)

    古い「ソニーらしさ」は確かに失われたのだろう。
    だが、新しい「ソニーらしさ」も生まれつつある。

    やはり、「さよなら!僕のソニー」だろう、この本は。
    ソニーがいろいろな事業を抱えているように、ソニーに求めるものは十人十色だ。
    この著者のような出会いと別れがあってもいい。

    だが私はまだ、ソニーに「さよなら」を言うつもりはない。
    続きを読む

    投稿日:2014.09.18

ブクログレビュー

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  • パインアレ

    パインアレ

    •ソニーがハードからソフトへと転換を図ったこと、技術軽視に傾いたこと、技術者の流出、経営状態が悪化した経緯がよく分かる。
    •一方で出版後10年以上経った今、ソニーはソフト変換の成果をもとに大復活を見せている。当時の判断は間違っていないとも言える。
    •さらに、ハードの凋落もイメージセンサーやデジカメのコア技術で復活を見せており、その後10年で何が起こったのか、興味深い。
    続きを読む

    投稿日:2024.01.04

  • nomitomo13

    nomitomo13

    このレビューはネタバレを含みます

    「技術のソニー」ブランドはいかにして凋落したのかを、ソニーの経営陣の動きから読み解いた本。

    ソニー暗黒の低迷期とブランド失墜はなぜ起こったのか。本書を読むと、創業の理念からかけ離れていき、自己保身に走ろうとする経営陣が原因であることが見えてきます。

    ムダには未来のために必要なムダ(先行投資)と、本当のムダ(不必要な出費)があります。ソニーの大きな失敗は先行投資までカットしたこと。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.07.20

  • rokkosanjin

    rokkosanjin

    1962年、アメリカ・ニューヨークの一等地である五番街に「SONY」のショールームが開設された。終戦からそんなに経っておらず、まだまだ反日感情の強いアメリカで、その玄関にたなびく日章旗(日の丸)に当地の日本人は勇気付けられたが、それは社長の盛田氏の「悲願」であると同時に「覚悟」でもあった。1980年代の「ウォークマン」や家庭用ビデオカメラ「ハンディカム」など、独特のアイデアと技術力で世界を相手に急成長し、あのスティーブ・ジョブズ氏までが憧れた“SONY”の神話が、その後の経営判断によって崩壊していった経緯をたどる。本業であった「モノづくり」からコンテンツビジネスに、目先の利益を追い求めてハードからソフトに方向転換した「采配ミス」が、日本を代表する企業を苦しめたと分析するのはジャーナリストでノンフィクション作家の立石氏。続きを読む

    投稿日:2020.12.12

  • maple

    maple

    これが現実なのか、と思ってしまうが大企業、グローバル企業はこういう問題をいつもはらんでいることだと思う。

    投稿日:2019.06.12

  • うっちー

    うっちー

    ソニーの迷走を経営陣に焦点を当ててまとめた本。出井氏やストリンガー氏の経営方針が井深氏、盛田氏が創った古き良きソニーをどう変えてしまったかと切々と著している。

    ソニーファンであった著者のソニーへの愛を感じるが、ソニーとの別離(=ソニー復活の諦め)の宣言ともとれる。

    『週刊ダイヤモンド』の特集「さようなら!伝説のソニー」とセットで購入。
    続きを読む

    投稿日:2019.01.03

  • warumet

    warumet

    ド文系・門外漢・言うだけ傍観者・昭和の知識で語る老害・基礎学力が崩壊している人間 による企業分析。その辺で飲んでるおじさんが書いたレベル(著者の立石の本業はスポーツ記者)。こんなものを世に出してしまった文芸新書は要反省です。続きを読む

    投稿日:2016.05.05

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