【感想】サイケ

姫野カオルコ / 集英社文庫
(12件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
2
4
3
0
1
  • 昭和の空気を思い出します

    昭和のノスタルジーに浸れる作品です。
    当時、戦争を知らない子供達という言葉が流行しました。大東亜戦争のことです。
    本作は、サイケを知らない子供達に贈る作品集なのだと思います。
    現代とどちらの時代が優れていたのかなんて二項対立は無用。あれも、これも、まぎれもない日本の文化だったのです。続きを読む

    投稿日:2013.09.29

ブクログレビュー

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  • ゆきやまま

    ゆきやまま

    もう好きだからとしか言いようがない。これは短編集。

    タイトルの「サイケ」や「オー、モーレツ!」が象徴するように、70年、大阪万博が開催されたころの関西に暮らしていた登場人物たちはほとんど著者の投影だと思う。
    特に「オー、モーレツ!」には共感しかなかった。私も子供の頃仲良く連れ立ってトイレに行くの面倒だったし。給食もまずくて大嫌いだった。今は子供の給食食べに行ったことあるけど、めちゃめちゃ美味しいよね。もとい、あの頃の私も主人公の羊子と同じように早く大人になりたいと思っていた。

    この作品集の中ではなんとなく浮いている感のある「通りゃんせ」が怖かった。ホラーには「です・ます」調が効果的なのがわかる。そう、この作品集、どれもなんとなく怖いのである。幽霊が出たり、人が殺されるわけじゃないんだけど、じわっと嫌な感じ。「お元気ですか、先生」もかなりぞっとした。たしかにこういう先生っていた。今だったらすぐにクビになるんだけど、昔は先生の言うことは絶対だったからね
    続きを読む

    投稿日:2022.04.14

  • まっしべ

    まっしべ

    改めて表紙のインパクトがすごい。


    題の『サイケ』の意を検索すると「ドラッグによって起こる幻覚・恍惚状態」とのこと。

    正直私自身が理解不足なのだが、1970年代の日本社会はそれまでの飛ぶ鳥を落とす勢いの高度経済成長とその終焉、停滞を経験した時代。一方で文化的にはテレビ全盛期、歌謡曲の黄金期。漫画文化のはしりもこのあたりらしい。学生運動は終息したが、一方でよど号事件や浅間山荘事件など衝撃的な出来事も続いた。

    ある意味で正気を失っていた時代だったのだろう。


    1刷
    2021.1.29
    続きを読む

    投稿日:2021.01.29

  • こうちゃん

    こうちゃん

    うすっぺらい内容だ。作者は大阪万博にこだわっているが、それがいい方向に向いているとは感じない。読後感も良くない。大阪万博の時に小学生だった人にとってはあるあると感じ懐かしい風俗ではあるだろうが。「サイケ」では全然なかった。続きを読む

    投稿日:2019.03.20

  • マッピー

    マッピー

    なんと言うかこう、必要以上に偽悪者ぶるというか、なんというか。
    確かに性的な嗜好を結構リアルに描いているけど、それも大きなテーマのひとつではあるけど、それだけが姫野ワールドじゃあないんだよ。

    若さゆえにとんがったコピーなのか、売らんがための出版社の営業戦略なのかはわからないけど、薄っぺらい、一面的な内容紹介なのである。

    私にとって姫野カオルコって、おかしいことをおかしいって言えないのはおかしいって怒れる、至極真っ当な人。
    何も考えることなく他人に言われるがままに行動して、何の疑問も持たないのはどうして?って、いい加減若くないのにずーっと気持ち悪く思っていられる稀有な人。
    そう、私が言えないでいることを、私に代わってもの申してくれているありがたい人なんですわね。

    “円周率とは何なのか。なぜ、だれが、どんなふうにして3.14と決めたのか。なぜ3.14を引き出せたのか。それがわからない。円周率を人類が引き出していった過程を納得しなければ、そんなもの鵜呑みに使いたくない。気持ち悪い。(中略)先生は何としても18を2で割らせたがる。もっと前の段階にある私の疑問に彼は全く気付かず、彼が気づかないことに私は気づかない。”

    みんなが簡単に納得できていることが、私にはどういうわけだか上手く納得できない。理解できない。
    仕切りたがりの女子。
    いじめの采配を振るう人。
    連れ立ってトイレに行かなくてはならない仲間。
    強要されるお揃い。

    円周率はどうでもいいが(え?)、そういうことが気持ち悪くてしょうがなかった。
    そして一番よくわからないのが、それにやすやすと従う人たちの変わり身の早さ。

    なんで?どうして?と立ちつくしている私の横を、何のためらいもなく軽やかに通り抜けていくクラスメートが、本当に不思議だった。

    “ひとつのことを考え続けない、その明快な光を私は畏怖した。”

    大人になった今ならわかるんだよね。
    きっと、みんなも多かれ少なかれ、戸惑っていたということを。
    もしかしたらまったく戸惑っていない人もいたかもしれないけど、少なくとも、私だけが世の中に適応できないわけではないということを。

    というか、傍から見たらしっかり適応しちゃっているし。

    多分私も誰かに、理解のできない気持ちの悪さを与えていたのだろう。
    与え続けているのでなければよいのだけれど。

    多様性を否定しないで。
    自分の一存を押しつけないで。
    みんな違って、みんないいのだから。

    でも、円周率は3.14だよ。(笑)
    続きを読む

    投稿日:2015.06.09

  • 宮本知明

    宮本知明

    蠱惑的で年齢を感じさせないヨヲ子もいいが、カスミソウを愛する控えめな目線にも心惹かれた。良からぬ噂には決して耳を貸さない主人公に好感を持った。半径3キロの人生を胸を張って走る主人公が眩い。自分の足元くらいは責任をもった行動のとれる社会人でありたい。続きを読む

    投稿日:2012.07.21

  • koga-himenoshiki

    koga-himenoshiki

    性同一性障害は、同性愛者だけを指さない。ラクウェル・ウェルチを偏愛する小学生女児の目に映った1969年から70年にかけての時代。そしてサイケから 再びサイケにもどった時間を紡いだ短編集

    投稿日:2009.11.26

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