【感想】砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet

桜庭一樹 / 角川文庫
(824件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
253
267
157
39
11
  • 暗黒に射す光

    ハッピーエンドを期待してはいけません。本書は最初から結末がおぼろげに見えていますが、それでも私は、最後の最後できれいな幸せに行き着くことを願ってしまいました。
    もともとライトノベルとして発表された本作は、ライトノベルの範疇にとどまらない黒さと絶望感に満ちています。でも、黒一色ではありません。ラストシーンではかすかな光が感じられます。詳しくは語れませんが、その結末には救われた思いがしました。
    たとえ痛くても黒くても、本作は私にとって桜庭作品ベストワンです。
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    投稿日:2013.10.02

  • 生きること、戦うための弾丸。

    冒頭でとある田舎町で女の子のバラバラ死体が発見され、少し遡って、その女の子、海野藻屑が中学校に転校してくるところから物語は始まります。

    貧乏な家庭で育ち、早く大人になって実弾(自立して生活する手段)を手に入れたいと願うなぎさと、お菓子の弾丸(埒もない空想、妄想)を連射するお金持ちで美人の藻屑の二人の中学生が中心のお話です。

    最悪の結末が確定した地点に向かって物語は進みますので明るい展望は望むべきもありませんが、それでも何が本当で、何が嘘なのか分かりづらい藻屑に引きずられたのか、それを一瞬忘れて、もしかしたら...と思ってしまいました。そして、冒頭の場面にたどり着いてしまったときの無力感は堪りません。生徒たちから空気の読めない言われていた担当教師のセリフが印象に残りました。

    もともと購入を決めたのは、本書の印象的なタイトルに惹かれたのがきっかけです。実際に読み始めるとストーリーよりタイトルを先に思いついたのかなあという印象を受け、物語の前半はあまりに恣意的に使いすぎていて良い印象はありませんでしたが、最後まで読むとそういった印象は消え失せました。

    上記で実弾とお菓子の弾丸について括弧書きしていますが、登場人物の視点、物語の進行具合、または読者によって捉え方が変わってくるかもしれません。
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    投稿日:2014.09.30

  • 青春の傷

    面の皮が厚くなったオッサンなら、そんなことあるさと他人事で済ませることができるかもしれない。残酷さなんてそこら辺にころがっています。

    でも、出くわしたのが思春期ならどうでしょう。消えない傷が心に残ってしまいます

    オッサンの自分にも、ふとした瞬間に脳裏をよぎり、治りかけかさぶたを引っかかれたような痛みを覚えてしまう記憶があります

    そんな出来事を綴った小説です

    最初に読んだのは、初版でライトノベルのレーベルから出ていました。萌え絵の表紙に、おっぱいどぎゅーん、みたいな作品の横に陳列されていました。一読してすごい文章力と主題にビックリしました。これって一般小説なのでは?しかも、結構優れた・・・と思ってましたが、後年作者は直木賞(だっけ?)を取り、この本も一般小説として売られるようになったのでした。めでたしめでたし
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    投稿日:2013.10.03

  • 実弾の意味が深くて面白い。

    少女たちの揺れる心が、こなれた文章で丁寧に書かれており、引き込まれました。
    “弾丸”や“実弾”は当初は単なるお金を意味していますが、読み進めていくうちに様々な意味を持っていくことが分かり、興味がぶれません。
    主人公のなぎさにとっての兄の“神の視点”や、もくずにとっての“人魚”など、その当人にとって力を持ちうる虚構が“実弾”であり、読者にとっては、このストーリー自体が“実弾”になりうると思います。
    未読の方は、ぜひ一読をお勧めいたします。
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    投稿日:2014.01.06

  • 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

    初めに物語の結末が書いてあるというは新鮮だった。その結末に向かってどの様に物語が進んで行くのかを読むのも面白い。
    読み終わった時に、何でこんな結末になってしまったんだ、と思ってしまう。
    この本は読んで間違い無いと思う。続きを読む

    投稿日:2013.10.01

  • 強烈に印象的

     いや出張の移動中に一気読みしてしまいました。とにかく個人的には強烈に印象的でした。もともとこの女性作家の「私の男」(昨年映像化もされましたが,そちらは見ていません)を読んだときも,嫌悪感を抱く内容でありながらも惹きつけられる力強さ,文章力の高さを感じていました。
     この作品を青春文学と呼んで良いのかは分かりませんし,5つ星の評価をしたものの,万人にお勧めしたいとは思いません。読んで見る場合には覚悟して読んでください。生々しい表現はそれほどはありませんが,感受性の強い人もいますから。でも,目を背けずに読むことができるなら,きっと何か得られるものがあると思いますよ。
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    投稿日:2015.04.18

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ブクログレビュー

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  • kyocoo

    kyocoo

    このレビューはネタバレを含みます

    「好きって絶望だよね」

    恋人同士、親子、友人、
    人との関係性は色々あるけど、
    「好き」が絶望も絶頂も引き起こすこともある。

    とことん悲しいお話だった。
    唯一救われるとすれば、
    藻屑が嫌いな相手に命を奪われなかったこと。

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    投稿日:2024.04.03

  • ユリ

    ユリ

    「好きって絶望だよね。」

    親子愛にしろ恋愛にしろ、中学生が発するこのフレーズは重すぎる。
    親も環境も選べず、実弾を手に入れるすべなく、それでも砂糖菓子の弾丸を
    撃ち続ける無力な少女たちに切なくなった

    自分の中学時代に重ねて、そのときの年齢の本当に無力だった感覚を思い出した。
    でもそのときにしか感じられなかったものを、この本で思い出すことができる。

    切ないけれど好きな本
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    投稿日:2024.03.29

  • ぶん

    ぶん

    海野藻屑があのちゃんと重なった。映画化できるのでは。
    もう少し救われる要素があっても良かったのかな。
    動物がむやみやたらに惨殺されるのは、読んでいてとても辛かった。

    投稿日:2024.03.19

  • 2044930番目の読書家

    2044930番目の読書家

    このレビューはネタバレを含みます

    これほどまでにほの暗い気分になるとは思わなかった。もしも藻屑が生きられたら・・・と。

    まず、読者は最初の1ページでこの物語の結末を知らされる。
    つまり、読者は主人公たち藻屑となぎさが救われることはないという事を知った上で物語が進行していく。
    その過程で読者は主人公たちを取り巻く事件、或いは彼らの心情の変化、そして成長を見ていく。
    その過程で形成されたセンチメンタルな心情と、事前に知らされた結末とが組み合わさって、ラストの衝撃的なカタルシスを生む。

    説明すればこんな所なのかな。

    なにも書く気になれません…
    心臓がズキズキする。
    だけど間違いなく最高の小説だった。

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    投稿日:2024.03.18

  • okayamania

    okayamania

    ミステリ?ジュブナイル?ラノベ?何だろうわからん。
    かかった時間 2時間くらい。

    虐待を受け、バラバラ死体となって発見される少女と、その友人の少女の話。
    ついていけない部分(特に同級生の男子とのくだり)はあったが、まあおもしろかった。ある意味での現実を描きたかった小説だと思うが、あまり現実味がなかった。それがはまる人もいるのかもしれないが、自分には合わない。
    たまにはいいか、と思えるくらいには読めた。
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    投稿日:2024.03.13

  • フランメ

    フランメ

    このレビューはネタバレを含みます

    途中まではただかわいそうな子どもの話かと思っていたが、違った。
    【砂糖菓子の弾丸】という表現が素晴らしい。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.03.03

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